
日本に数多くあるラーメン店の中でも、屈指の名店と呼ばれる店がある。そんな名店と、その店主が愛する一杯を紹介する本連載。鶏清湯で3年連続の『ミシュランガイド』掲載を果たした店主の愛するラーメンは、同じ店で修行した店主が紡ぐ、手もみの自家製麺が光る珠玉の一杯だった。
【写真】ミシュラン獲得店主が愛する「手もみ自家製麺」が光る珠玉のラーメン!
■「あえて自家製麺にしない」 ミシュラン獲得店のこだわり
西武池袋線・東長崎駅南口から徒歩2分。小さなビルの2階に「カネキッチン ヌードル(KaneKitchen Noodles)」はある。つけ麺の名店「六厘舎」出身の店主・金田広伸さんが、「六厘舎」とは真逆の清湯系のラーメンで勝負した店。「ミシュランガイド東京」で3年連続のビブグルマンを獲得し、頂点を極めた。

「カネキッチンヌードル」のラーメンは、“鶏清湯”と分類される。地鶏の丸鶏をぜいたくに使ったダシ感の分厚いスープ。ここに黄金の鶏油を合わせ、うまみを倍増させる。ここに柔らかくゆで切った麺をくぐらせ、至高の一杯が完成する。
2019年5月まで鶏清湯を提供していた「飯田商店」(神奈川・湯河原)の大ブームや、「トイボックス」(東京・三ノ輪)や「カネキッチンヌードル」などの名店がミシュランガイドに掲載されたことをきっかけに関東を中心に鶏清湯の店が増え、空前の鶏清湯ブームが到来した。
「いきなりの大ブームで、自分の実力以上に後ろから背中を押されている感覚でした。お店がたくさん増えて鶏清湯が一般化してからは差が生まれにくくなっていると思います。私はラーメンがおいしいのは当たり前として、差別化できる他の目線をはじめから探していました」(金田さん)

金田さんが他店との差別化のために注力したのは、とびきりおいしいチャーシューの開発だった。レアチャーシューとくんせいチャーシューをいち早く取り入れ、“チャーシューのうまい店”としてメディアで引っ張りだこになった。
「スープをこれ以上頑張ってもマニアックになるだけだなと思いました。“こだわり”というのはお客さんにわからなければ意味がないと思っています。もっとお客さんがおいしいと思うポイントは他にあるはずと思って、チャーシューに行きつきました」(金田さん)