
金田さんは、繁盛店は長く続けられるようにすることこそが大事だという。こだわり続けることも大切だが、原価や工数との戦いも待っている。「六厘舎」出身の金田さんは、続けることの大変さとその術を知っているのだ。あえて自家製麺にしないなど、こだわりの中にも取捨選択が必要だという。
今後、店舗を増やしたい思いはあるが、路面店の展開は考えていない。今のラーメンをしっかりレシピ化し、フードコートなどに展開できるようにしていきたいという。「六厘舎」での商品開発経験を役立て、次なる挑戦をしていくという。

そんな金田さんの愛するお店は、「六厘舎」時代の後輩が埼玉でオープンした店。西武ライオンズを愛する夫婦が所沢で開いた名店だ。
■テレビで同級生の活躍を見て… ラーメンの世界に飛び込んだ男の挑戦
西武池袋線・狭山ヶ丘駅の西口から徒歩1分のところに、連日大人気のラーメン店がある。「自家製手もみ麺 鈴ノ木」だ。開店4年目ながら埼玉でもトップレベルの人気を誇る有名店。店主の鈴木一成さんが一玉ずつ手もみするモチモチの自家製麺が自慢で、ダシ感たっぷりのスープとの相性は抜群だ。

鈴木さんは埼玉県幸手市に生まれた。小中高と野球をやっていて、西武ライオンズの大ファン。西武は当時常勝時代で秋山・清原・デストラーデが大活躍していた頃だ。幼い頃から、家族旅行で訪れた栃木県佐野市や福島県喜多方市のラーメンが大好きだったという。
高校を卒業し、ヤマト運輸のドライバーとして働いた後は、お菓子の工場で働いていた。ある日、テレビで東京都品川区大崎にある「六厘舎」の行列がすごすぎて、移転を余儀なくされているというニュースを見た。そのとき、店長としてインタビューに答えていたのが、中学の同級生・瀬戸口亮さんだった。仲の良かった同級生が繁盛店で店長をしていることに衝撃を受けた鈴木さん。久しぶりに瀬戸口さんに連絡をすると、「今、人がいないので良かったら来ない?」と誘われた。そこからが鈴木さんのラーメン人生のスタートである。27歳の頃だった。