6月29日のロッテ戦で2勝目をあげた東浜(日刊スポーツ)
6月29日のロッテ戦で2勝目をあげた東浜(日刊スポーツ)

人的補償があっても欲しい投手

「石川はチーム事情により、昨年は先発、救援で起用されて難しい役回りでした。選手層の厚さゆえの起用法ですが、選手としてみれば『最も必要とされる球団でプレーしたい』という思いがあるでしょう。東浜は現状をどう捉えるか。35歳という年齢はベテランの域に入りますが、今年の投球内容を見ると衰えは感じないですし、まだまだ先発の第一線で投げられます。推定年俸1億5000万円なので人的補償の必要があるBランクの可能性がありますが、それでも先発のコマが手薄な球団は欲しい投手でしょう」(スポーツ紙デスク)

 他球団の首脳陣は「球の質は申し分ない。1軍で十分に通用します。東浜は右腕の使い方が独特なんですよね。直球の球速は145キロ前後なんですが、打席に立つと速く感じる。カットボールとシンカーも140キロ近く出るので、直球との見極めが難しい。コンディションが整えば先発で2ケタ近く勝てる」と高く評価する。

 現役時代に東浜とチームメートだったソフトバンクのOBは「投球術にたけているだけでなく、クイックが速くフィールディングも巧い。総合力の高い投手です。あとは周りに与える影響力ですよね。ファームで過ごしている時も自分を追い込んで妥協しない。野球に向き合う姿勢は若手の投手たちのお手本です。ソフトバンクは慰留に全力を注ぐと思います」と話す。

35歳の年齢はネックにならなくなってきた

 ベテランではあるが、過去に35歳を超えてFA移籍を決断した選手たちは少なくない。高津臣吾(現ヤクルト監督)は35歳、小宮山悟(現早大監督)は36歳でメジャーに挑戦し、工藤公康(元ソフトバンク監督)も36歳でダイエーから巨人に2度目のFA権を行使して移籍している。昨オフには菅野智之が35歳で海外FA権を行使してメジャーのオリオールズと契約。野手でも小久保監督、中村紀洋、和田一浩、糸井嘉男が35歳のシーズンオフにFA権を行使して移籍している。

 在京球団のトレーナーは「科学的トレーニングの発達で、年齢を重ねても高いパフォーマンスを発揮する選手が増えています。FA権を行使する際に、35歳という年齢がネックになることはないでしょう」と語る。

 13年間プレーするソフトバンクへの愛着は当然強い。今は熾烈な優勝争いを繰り広げるチームのため、リーグ連覇に向けて右腕を振り続ける。

(今川秀悟)

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