
春先は出遅れたが、5月以降は白星を重ねて優勝争いに絡んできたソフトバンク。強さの源は選手層の厚さだ。主力に故障者が出ても、別の選手がその穴を補って余りある活躍を見せる。投手陣も球界屈指の陣容で、先発はモイネロ、有原航平、大関友久、上沢直之、松本晴の5投手が中心。その中で、少ないチャンスを生かそうと必死なベテランがいる。チーム投手陣で最年長の右腕、35歳の東浜巨だ。
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2012年ドラフトで3球団が1位で競合し、ソフトバンクに入団。2017年に16勝5敗で最多勝のタイトルを獲得するなどエースとして活躍した。22年に10勝をマークし、同年オフに3年契約を結んだが、翌23年以降は登板機会が減っていた。昨年は11試合登板で3勝2敗、防御率3.38。ポストシーズンで登板のチャンスは巡ってこなかった。
今年は開幕2軍スタートとなったが、4月20日に1軍昇格すると同日の西武戦で7回3安打1失点の快投を見せて初白星をマーク。その後の登板で2連敗し、5月上旬から1カ月以上ファームで調整したが、6月29日のロッテ戦で6回4安打無失点、69球の省エネ投球で2勝目を挙げた。7月6日の西武戦でも好投手・隅田知一郎との投げ合いを制し、7回3安打1失点で3勝目。すでに昨年と同じ勝ち星となった。登板間隔が空いて調整が難しい中、ほぼ完ぺきな投球を見せたことは大きな価値がある。
「以前の東浜は慎重になりすぎるあまり、カウントを苦しくして痛打を浴びるケースが目立ちましたが、ファームで再調整後はシンカー、カットボールを中心に変化球を有効に使ってストライク先行の投球ができている。この投球ができれば、先発ローテーションで十分に計算ができます」(スポーツ紙記者)
東浜はFA権を保有し、今年でソフトバンクとの3年契約が切れる。スポーツ紙デスクは「FA権を行使したら、先発陣のコマ不足が深刻な球団は獲得を検討する可能性が十分にある」と分析する。
ソフトバンク投手陣では、昨オフに石川柊太がFA権を行使してロッテに移籍している。推定年俸1億2000万円で金銭、人的補償が必要ないCランクだったことも影響し、複数球団による争奪戦となった。