
ヤクルトが苦しんでいる。20日の広島戦(マツダ)では再三好機を作ったがあと1本が出ず、2-3と惜敗して、早くも借金10に到達した。高津臣吾監督就任6年目だが、シーズン37試合目での2ケタ借金到達は最速で、不名誉な記録となった。
ヤクルトを取材するスポーツ紙記者は厳しい表情を浮かべる。
「借金10は危険水域です。シーズンはまだ4分の1を終えたばかりなので挽回できるという声がありますが、他球団と戦力を比較すると上がり目を感じられない。このまま借金が積み重なり、下位に低迷するようだと高津監督は今季限りでの退任が濃厚です。記者としては、次期監督に向けての取材を始めないといけません」
高津監督就任1年目の2020年は前年と同じ最下位だったが、21、22年とリーグ連覇を達成した。破壊力抜群の打線に加え、リリーフ陣を整備することで白星を積み重ねた。だが、23年以降は2年連続5位とふるわない。監督人事が注目された昨オフは1年契約で延長したが、今季は最下位に低迷している。
低迷の要因は不安定な投手陣だろう。チーム防御率3.69はリーグワースト。先発の柱として期待された奥川恭伸、高橋奎二が戦列を離れ、救援陣は「勝利の方程式」を構築できない。打線も村上宗隆、長岡秀樹、塩見泰隆と主力を故障で欠き、迫力不足が否めない。かつて前人未到のトリプルスリーを3度達成した山田哲人も打率.217、3本塁打、11打点と振るわない。スピードが武器の選手だが、今季の盗塁はゼロで二塁の守備範囲も狭くなっている。5月18日のDeNA戦では、5回無死一塁で、一塁走者の林琢真が石川雅規の牽制球で飛び出し、一、二塁間に挟まれたが、山田が挟殺プレーでタッチアウトにできず、林は一塁に戻った。このプレーで試合の流れが変わり、このイニングで一挙7失点を奪われて大敗した。
「山田はチームを引っ張ってきた功労者ですが、近年のプレーを見ると攻守でレギュラーを張る水準に達していない。巨人の阿部慎之助監督が坂本勇人を登録抹消させたように、山田もファームで調整させるべきです。他の選手のモチベーションにも影響します。高津監督が6年間采配を振るい、チームがマンネリ化している部分が正直あります。かつて野村克也さんを監督に招聘したように、固定観念にとらわれず、チームをガラッと変えられるリーダーを据えたほうが良いと思います」(スポーツ紙デスク)
では、次期監督候補はだれだろうか。