関西の大学球界でこの春異色の経歴として注目を集めているのが京都産業大の右腕、由上慶だ。関西大倉高校時代はエースだったものの、全国的には無名の存在だった。大学進学後は打撃の良さを買われて野手としてプレーしており、2年春のリーグ戦ではホームランも放っている。一方で投手としては昨年まで1試合しか登板はなかった。ところが最終学年となった今年の春からは投手に専念すると才能が大きく開花。5月13日の大阪学院大戦でリーグ戦初勝利をマークすると、20日の神戸学院大戦では完封勝利を飾るなどチームの主戦へと成長を遂げたのだ。

 190㎝近い長身で体格もたくましく、好調時のストレートは150キロ近いスピードをマークする。変化球の精度にはまだ課題が残るが、落差のあるスプリットも面白いボールだ。しばらく野手としてプレーしている間に体作りが進んだことが投手としてプラスに働いているように見え、まだまだ伸びそうな雰囲気がある。秋にさらに成長した姿を見せることができれば、目標とするプロ入りも見えてくるだろう。

 独立リーグは様々な経歴を持つ選手が多いが、その中でも目立つのがBCリーグ群馬でプレーしている大型右腕の長大聖だ。中高一貫の登別明日中等教育学校、さらに北海道大学ではいずれも軟式野球部でプレー。大学卒業後は北海道独立リーグの美唄で2年間プレーし、昨年から群馬に入団してBCリーグ選抜チーム入りも果たした。

 今年もここまで安定した投球を見せており、5月20日に行われたBCリーグ選抜と日本ハム二軍との交流戦でも1回を被安打0、2奪三振と好投(振り逃げと味方のエラーで1失点)。ストレートはコンスタントに145キロを超え、ボールの角度と勢いも申し分ない。また昨年と比べても明らかに変化球のレベルも上がっているように見える。今年で26歳という年齢を考えるとドラフト指名は簡単ではなさそうだが、硬式野球経験の少なさもあってまだ成長の余地はあるように感じるだけに、リストアップする球団が出てきてもおかしくはないだろう。

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