パ・リーグでは清宮虎多朗(楽天日本ハム)を挙げたい。2018年の育成ドラフト1位で楽天に入団。2021年2月にはトミー・ジョン手術を受けて長期離脱となったが、リハビリ中に大きくスピードアップを果たして2023年にはイースタン・リーグで最多セーブのタイトルも獲得した。昨年4月には支配下に昇格。しかし一軍では3試合の登板で防御率12.00と結果を残せずにオフには自由契約となり、日本ハムに育成選手として移籍している。

 18日に行われた中日との練習試合では8回に登板して1イニングを三者連続三振と圧巻の投球を見せた。ストレートはこの時期でも楽に150キロを超えており、調子を上げていけば160キロに迫るスピードをマークすることも期待できる。新庄剛志監督も育成選手のレベルが高いとコメントしており、その候補の1人として清宮が入っていることは間違いない。課題であるコントロールが安定してくれば早期の支配下登録も見えてくるはずで、名前が似ていることでも話題となった清宮幸太郎と一軍で共演することも期待できそうだ。

 外国人選手ではヤクルトを自由契約になって楽天に移籍したヤフーレが戦力になりそうな予感を漂わせている。来日1年目の昨年は5勝10敗と大きく負け越したものの、チームで2位となる129回1/3を投げて防御率3.34と投球内容は決して悪くなかった。このキャンプでも順調にメニューを消化しており、三木肇監督もローテーション候補として名前を挙げている。年齢的にも今年で27歳とまだまだ若いだけに、ここから大きく成長することも期待できそうだ。

 今回は4人の投手をピックアップしたが、他にもまだまだここからのアピール次第で戦力になる可能性を秘めた選手は少なくない。一度自由契約を経験した選手が戦力になるとチームの活性化に繋がるケースも多いだけに、ここから開幕までにさらに多くの選手が浮上してくることを期待したい。(文・西尾典文)

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。
 

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