2019年の高校日本代表の合宿で。左から奥川恭伸(星稜→ヤクルト)、佐々木朗希(大船渡→ロッテ)、石川昂弥(東邦→中日)、西純矢(創志学園→阪神)、及川雅貴(横浜→阪神)

 阪神では投手に専念しているが、他球団のスカウトは「打者としての西のほうが魅力的」と話す。

「投手としてのスケール、総合力では佐々木、奥川より落ちるが、打者なら球界を代表する選手になれる。この年のドラフトでは同学年の石川昂弥(中日)が『高校生№1野手』といわれ3球団が1位指名で競合しましたが、西のコンタクト能力は石川に決して見劣りしないという評価でした。プロで打率3割、20本塁打をクリアできる素材です。今の打撃を見てもその印象は変わらないですね」

 プロ入り後も打撃で強烈なインパクトを与えている。22年5月18日のヤクルト戦に、「8番・投手」で先発起用されると、2回に左腕・高橋奎二の150キロ直球を左翼席へ叩き込むプロ初アーチ。普段は打撃練習をしていないにもかかわらず、快速球を完璧に捉えた。投げても1失点でプロ初完投勝利。二刀流の大活躍で勝利に導いた。

 同年10月10日のCSファーストステージ3戦目・DeNA戦では7回の打席で、左腕のエドウィン・エスコバーの155キロ直球を振り抜き、左翼手の頭上に二塁打をはじき返した。昨年8月1日の中日戦でも6回2死満塁の好機で、小笠原慎之介から右翼の頭を越える走者一掃の二塁打を放っている。

他球団はミーティングで「打者扱い」

 他球団のスコアラーはこう分析する。

「ひじをうまくたたんで内角をさばく技術は1軍の強打者レベルです。逆方向にも長打を打てる技術とパンチ力がある。うちのバッテリーミーティングでは『西は投手としてではなく、打者の1人として配球を組み立てよう』と戦略を立てていました。『打撃の良い投手』じゃなく、完全に打者扱いです。雄平(現楽天2軍打撃コーチ)が投手から野手に転向して活躍しましたが、西がもし野手に専念したら、それほど時間が掛からず1軍に定着できると思います」

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