最後に娘です。中学2年生の時に行けない時期がありました。さすがに3人目ともなると、私も不登校に対する免疫ができていましたから、「学校?行けない時期があっても全然平気!まずは学校のことも勉強のことも一旦忘れよう」と言って2人で旅に出たエピソードは、お話ししましたよね。
2週間ほど休んで学校復帰しましたが、中学生の間はほぼ毎日遅刻、週に1回は休むという通学スタイルが続きました。それが、高校生になってから急にスイッチが入ったようで、ものすごい勢いで勉強するようになりました。
朝早く出かけて図書室で勉強し、放課後はそのまま塾へ。学校の先生が気にかけてくださったことも娘にとっては心強かったと思います。不登校気味の下級生の勉強を見てあげることもありました。不登校を経験したことで、「生きづらさを抱えている人のことをもっと知りたい」と、大学進学後は心理学を学んでいます。大学生活も楽しんでいます。
「3人も不登校になって大変だったでしょう?」とよく聞かれますが、意外にそんなことはありません。その都度、立ち止まって考えましたし、百発百中の不登校に「あれ?なんでかな」と思うこともありました。でも、よく考えれば、当時は私自身が学校教育に疑問を持っていて子どもたちともよくそのことを話していましたので、「学校に疑問を持つ」ことはわが子とって当然の通過儀礼だったのかもしれません。
疑問を持ちながら我慢して流されて登校するより、一度は学校に行かない選択をしてみる。これが、彼らなりの主張だったのだろうと思うと、わが子ながら「勇気があるな」とも思えるのです。
不登校のありようは3人3様でしたが、共通しているのは、徹底的に自分と向き合ったことです。
「自分はどういう人間なのだろう」
「自分は何を考えているのだろう」
「自分は何をしたいのだろう」
こんなことをじっくりと考える時間だったようです。いまは、いい時間を過ごしたと思っています。もちろん、私自身にも意味のある時間でした。自分の子育てを見直す良いきっかけになりましたから。学校に毎日通い、授業に宿題、部活や塾に忙しくしていたら、そんな時間は持てなかったでしょう。子どもたちは、自らの意思で大いなる休暇を過ごし、本当にやりたいこと、そのためにやるべきことが見えるようになったのだと思います。