立ち止まって、抜け出して、また立ち止まって。子どもの毎日だって右肩上がりじゃなくていい、と思う今日この頃
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 3人の子どもの不登校を経験し、不登校の子どもやその親の支援、講演活動などを続ける村上好(よし)さんの連載「不登校の『出口』戦略」。最終回となる今回のテーマは、「不登校の『出口』の先に何があるのか」です。

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 夏休みが終わりました。学校に行くことができているお子さんもいれば、行くことができないお子さんもいると思います。8年前のこの時期、私も思っていました。「ああ、やっぱり行けなかった」。長男の不登校が現実のものになり、これからどうしようか、と悩んでいたころです。

 それもいまとなっては、「そういえば、あの頃は大変だったなぁ」と思う程度になりました。しんどい思いをしている親御さんもいると思いますが、私のように言える日は必ずきます。そう思っていただくためにも、今回は、実際に不登校を経験したわが家の3人の子どもたちがどうなっているのか、つまり、不登校の「出口」の先に何があるのか、ということをお話ししたいと思います。

 まず、長男です。高校2年で不登校になり、その後引きこもりも経験しました。若者支援団体に出会い、7カ月ほどお世話になって劇的変化を遂げて帰ってきてからは、いくつかのアルバイトを経験しました。いわゆるフリーターです。

 私自身が長男に、「どういう仕事が最終的に合うかなんてわからない。新卒一括採用で就職していないということを活かして、どうせならこの際、いろんな職業を経験してみたらいいよ。そのうちにだんだんと、この仕事は向いている、この仕事は向いていない、あるいは、こういうことやってみたいな、ということが必ず出てくるから。それが見えるまではとにかくどんな職種でもやってみるのがいいんじゃない?」とアドバイスしたことは、以前もお話ししました。

 実際、長男はさまざまな仕事を経験しました。飲食の現場をいくつか経験し、自分なりにやり切ったと感じたようで、次に目指したのは秋葉原。とにかく秋葉原が大好きで「秋葉原で働きたい!」と、カードゲームのお店から、パン屋さん、お土産屋さんと存分に秋葉原勤務を楽しみました。

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村上 好

村上 好

むらかみ・よし/オカンの駆け込み寺代表、JAMネットワーク代表、「ことばキャンプ」認定講師、「まなびのば」代表、ひきこもり不登校支援人材協会認定相談指導員、聖学院中学校高等学校教育相談支援員、中医学養生士、食養生コーディネーター。大手私鉄会社で旅行業、ホテルの営業などを経験後、国際会議運営会社でAPECなど国際会議運営に携わり世界中の人々とかかわるうちに日本の教育のあり方に疑問を持つようになり、自身の子どもが通う学校でPTA改革に着手。2015年に教育団体「まなびのば」を立ち上げる。その後、長男が不登校になった際に出合った「ことばキャンプ」に感銘を受け、このプログラムを提供するNPO法人JAMネットワークの講師を経て2024年代表に就任。2019年からは、中高一貫校で教育相談支援員として不登校のサポートに従事。また不登校を「ことば」「食事」「住環境」の観点からサポートするオカンの駆け込み寺を開設し、不登校解決の支援や講演活動をしている。

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長男と二人で「親子講演会」