ある日の親子講演会。いまや、不登校も引きこもりも完全に「ネタ」です。人生は本当に、何が起こるかわかりません

 元々はとても人懐っこい性格で、いまも最初のアルバイトで一緒に働いた仲間とよく出かけています。職場の人には恵まれているようです。不登校をきっかけにいろいろなことを経験し、本人の物事の捉え方も変化したと感じています。

 昨年からは、ある会社の特例子会社の契約社員になりました。障がいを持つ方を支援をするのが仕事です。私自身は、長男がサラリーマンになるとは思っていなかったのですが、本人は意外と居心地が良いようで頑張っています。

 さらに、長男とは年に数回、親子講演会も開いています。不登校と引きこもり当事者として、その場に集まった悩み多き親御さんたちに、当時の自分が考えていたことなどを話しているほか、一番大変だった時の様子を再現する「寸劇」まで披露しています。

 この親子講演会は、毎回、長男の知らなかった一面を見ることができて、私自身にとって興味深いものですし、何より、自分の過去を人前で話すことで、長男自身が不登校や引きこもりの経験を消化できているのではないかと思います。そして、自分の話が他の人の役に立つという経験が、彼自身の「過去」に対する捉え方を変化させました。「あの時の出来事には、意味があったのだ」と本人も思っていると思います。

 次に次男です。中学3年生の時に8カ月ほど不登校の状態になりました。その間は、ホームスクーリングを試しました。平日の博物館などに入り浸り、ひたすら次男の「好き」を掘り下げたのです。

 日本史が好きだった次男は博物館のガイドさんと親しくなり、しょっちゅう通っていました。十分掘り下げると、今度は動物に興味が移りました。人を癒す動物に魅了され、そこから、動物の飼育技術が学べる専門学校に進学、その後、もう少し学びを深めたいということで、動物の看護大学に進学しました。

 イスに座って授業を受けるのは数年ぶりだったので、大学に入学後しばらくは大変だったようですが、いまはすっかり慣れて、サークル活動やアルバイトも楽しんでいます。

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自分と徹底的に向き合った