大宮:どうしたらいいんでしょうね。
泉:東大はなくして、大学院だけにしたらええと思う。私の分析では、東大は「過去問主義」やわ。前例主義。過去問をいっぱい解くし、記憶力や作業効率はいい。でも目の前で起こっていることに、脳みそ動かすことをやっていない。それは賢いと呼ばなくて、単に要領がいいって話。
大宮:なるほど。
泉:コロナのときに思ったけど、コロナ対応には過去問がないから、動けなくなって、国は指示できなかった。しかも、変にプライドが高いから、市民に聞けないわけですよ。それが政治なんだから、庶民の求めていることを聞きゃあいいのに。でもね、大嫌いと言いながらも、実は東大とは今も結構つながってて。
大宮:そうなんですか!
泉:早稲田、慶應に比べて、東大生は仲間意識が弱くて、同窓会活動がほとんどないんですね。それで、「赤門市長会」という東大出身の市長の会を私が立ち上げて事務局長に。そしたら面白いよ。みんな、市長選のときに「東大卒」とは言われへんわけ。早稲田と慶應は言えるけど、東大卒って言うと票減るから。
大宮:票減るんですか!
泉:ところが、同窓会の会合の最後に東大の応援歌「ただ一つ」を歌ったら、この場だけは東大って隠さなくていいんやって感じで、全員が大声で歌ってた(笑)。
大宮エリー(おおみや・えりー)/1975年、大阪府出身。99年、東京大学薬学部卒業。脚本家、演出家などを経て画家として活躍。クリエイティブのオンライン学校「エリー学園」「こどもエリー学園」を主宰。瀬戸内国際芸術祭(岡山県・犬島)で「光と内省のフラワーベンチ」を展示
泉房穂(いずみ・ふさほ)/1963年、兵庫県明石市出身。兵庫県立明石西高校卒。87年、東京大学教育学部卒。NHKディレクター、石井紘基氏の秘書などを経て、弁護士に。2003年、衆院議員初当選。社会福祉士の資格取得。11年から明石市長。23年4月末で政治家引退
※AERA 2023年4月10日号