日本の公共交通は単独の収支で評価され、「赤字」か「黒字」かで判断される傾向が強い。宇都宮LRTも当初、採算性が議論された。しかし、宇都宮教授はこう強調する。
「市民体育館や図書館も、利益は出ていませんが豊かな社会を支えるためのインフラです。欧州では、公共交通は採算性で評価しません。街づくりの装置として位置づけられています。車以外の選択肢があり誰もが移動しやすい街は、魅力にあふれています。長期の視点が必要です」
路面電車の走る風景は、どこか懐かしく温かさも感じさせる。次の旅の計画は路面電車のある街を選んではどうだろう。(編集部・野村昌二)
※AERA 2024年7月15日号