大学の「学費値上げ」が話題になっている。東京大は“20年間据え置きだった授業料を値上げする”という報道に対して、「改定を検討しています」という藤井輝夫総長のコメントを発表した。一方、早稲田、慶應はすでに値上げをしている。値上げの理由はいかなるものか――?『大学ランキング2025』(朝日新聞出版)に掲載している「初年度納付金の安い大学ランキング」も併せて紹介する。
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今年、早稲田大は初年度納付金を値上げした。
おもな学部の納付金金額を紹介しよう(2023年度→2024年度)。
文学部 121万3000円→129万5000円
政治経済学部 121万6700円→129万2900円
先進理工学部 174万9000円→188万7000円
早稲田大は値上げの理由を次のように説明している。
「様々な教育改革を実現しながら、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大による経済情勢の悪化等を鑑みて、2023年度入学者までの学費を据え置きとしてまいりましたが、昨今の物価高騰をはじめとする本学を取り巻く状況を総合的に勘案し、これまでの教育改革の成果を維持しさらに発展させていくため、また、教員学生比率(ST比)の向上や施設設備の充実等も含め教育の質向上を図るため、2024年度入学者学費(各学部の授業料、および修士課程、専門職学位課程の入学金)を改定することを決定いたしました」(大学ウェブサイト 2023年5月23日)
慶應義塾大も初年度納付金を値上げした(2023年度→2024年度)。
文学部 137万3350円→140万3350円
経済学部 137万8350円→140万7350円
理工学部 190万3350円→196万3350円
慶應義塾大の学費は3年連続の値上げとなった。2024年度は過去3年でもっとも値上げ幅が大きい。
同大の学費はスライド制によって算定される。簡単に言えば、物価が上がれば学費が値上がりするシステムだ。
学生新聞はこう解説している。
「スライド制とは物価などの諸価格の変動による費用の増加を学費に反映させる制度だ。慶大は今後も現行のスライド制を適用するとしている。スライド制の性質上、物価などの上昇が今後も続けば、来年度も学費の上昇が懸念される」(慶應塾生新聞 2023年12月20日)