「学祭のライブというと、複数の芸人さんが出演するのが一般的です。ただ僕は『ロバートだけ』のライブがやりたかったんです」
通常であれば、あり得ない構成。だが、ふたを開けると3千人が集まる盛況ぶり。このとき、篠田さんの目標がより明確になった。
「マネジャーも考えましたが、ロバートと一緒に面白いものを作りたい。テレビ局に入るのが最初の一歩だと考えるようになりました」
メ〜テレの採用試験では、ロバート愛をとことん語った。その根底には、楽しいこと、面白いものを視聴者に届けたい。そんな思いがあることもアピールした。
入局後は音楽番組やバラエティー番組を担当。そこで培ったキャリアとこれまで醸成してきたロバート愛が爆発したのが、冒頭の音楽特番「秋山歌謡祭」だった。
ステージに立つのは秋山さんただ一人。異色の番組が異例の大ヒットになったのは、篠田さんの「好き」があふれたからに違いない。
「秋山さんと打ち合わせをするときは、濃いファンの一人に戻るんです。ロバートのライブを網羅している自分だからこそ、他にはない提案ができると思っています」
秋山さん本人が忘れていたネタを掘り返したことも、一度や二度ではない。ただ、テレビというマスメディアでのマニアックすぎる演出は視聴者を置いてけぼりにする可能性もある。それを防ぐためにチームで動くことを心がける。
「社外でファンとして打ち合わせをして、社内では客観視できる環境をつくる。ロバートさんをリスペクトして、面白いと思っているメンバーと作ることでバランスを取っているような気がします」
秋山さんと同じく、硬軟あわせ持つからこそ生まれる魅力がある。(編集部・福井しほ)
※AERA 2024年6月17日号