その際、裏金問題の温床となった「政治資金パーティー」(献金の上限や情報開示の規制の抜け道となっている)を個人向けやネット開催も含め全面禁止することも必要だ。
二階俊博自民党元幹事長が5年で50億円を使った例に見られるように、使途不明で許される巨額の資金を政党幹部に流すことにより、選挙における買収資金などに使われてきたと見られる「政策活動費」の全面禁止も必須である。
これまでの政治資金改革が失敗に終わったのは、この禁止3点セットを実施しなかったことが原因だ。
この本質を国民が理解することが必要だが、そのためには、まず、裏金問題の全容解明を行うことが大前提となる。裏金作りがいつからどのように行われ、その裏金がどう使われてきたかを明らかにすれば、前述の禁止3点セットがいかに重要かが理解できるだろう。
そのためには、忘れられた森喜朗元首相や二階氏を含めた関係者の証人喚問を終盤国会の最大のテーマとすべきだ。これを自民が拒否するなら、野党は全ての審議を拒否し、今回の補選で示された民意に応えよと自民に迫れば良い。
大手メディアの政治部記者たちは、こうした本質論を無視し、証人喚問も忘れたまま、今国会で規正法改正ができるかどうかが焦点だなどと喧伝する。そのために野党も妥協が必要だという方向に世論を誘導しようとしているのだ。
彼らは、「企業団体献金の禁止を野党が主張しているが、これはハードルが高いので実現は難しい」と決めつけているが、過去の経緯を無視した暴論だ。
国会最終盤になれば、全く内容がない自民案に反対する立憲民主党など野党に対して、政治部記者たちは、「今国会で改正を実現する」ためには、「妥協が必要だ」という論調の記事を流すだろう。
その際注意すべきは、維新の出方だ。
維新は、政治資金パーティーについて、個人向けは残すという妥協をする可能性が高い。彼らは、収入が激減するのでこれを絶対に残したいと考えている。政策活動費もなんらかの形で残したいと考える維新はそこでも妥協するだろう。
自民との妥協を選べば、企業団体献金という本丸中の本丸はもちろん禁止できない。
維新との妥協案ができれば、自民は、「議論は尽くした。お互い妥協するのが民主主義だ。妥協案を頭から拒否する立憲の態度は許されない。『今国会中に改正を実現』できなければ、その責任は全て立憲にある」と批判するだろう。
維新も、「立憲は批判だけの『古い』『昭和』の万年野党だ。維新こそ、古い政治に終止符を打つ、真の改革政党である」と攻め立てる。
だが、立憲は、このような批判に怖気付いて中途半端な改正で折り合ってはいけない。そうなれば共犯者となり、次の総選挙で自民批判ができなくなるからだ。