■松井裕樹(桐光学園→2013年楽天1位)
501試合25勝46敗236セーブ76ホールド 防御率2.40

小笠原慎之介(東海大相模→2015年中日1位)
137試合41勝54敗0セーブ0ホールド 防御率3.71

■寺島成輝(履正社→2016年ヤクルト1位)
36試合1勝1敗0セーブ3ホールド 防御率4.37

 どこを成功の基準にするかは難しいところだが、誰が見ても一軍の主力投手となったのは菊池、松井、小笠原の3人であり、7人中3人が成功として考えると成功率は42.9%となる。スカウトの世界では打率同じく「3割当たれば大成功」という言葉があり、ドラフト1位の選手に限れば成功率はそれよりも高いと言われているが、それを考えると高校生左腕だからといって成功率が低いということはないと言えるのではないだろうか。

 その年の目玉とまでは言われていなかったものの、1位指名でプロ入りした高校生左腕の中にも片山博視(報徳学園→2005年高校生ドラフト楽天1巡目)、村中恭兵(東海大甲府→2005年高校生ドラフトヤクルト1巡目)、吉川光夫(広陵→2006年高校生ドラフト日本ハム1巡目)、田中健二朗(常葉菊川→2007年高校生ドラフト横浜1巡目)、岡田俊哉(智弁和歌山→2009年中日1位)、堀瑞輝(広島新庄→2016年日本ハム1位)、宮城大弥(興南→2019年オリックス1位)もチームの主力となっている。これを見てもドラフト1位の高校生左腕というだけで危険視するというのはナンセンスと言えそうだ。

 それでは「高校ナンバーワン左腕は大成しない」というジンクスはどこから来ているのだろうか。その大きな理由の一つが、高い注目を集めた選手が全く一軍の戦力にならなかった例が目立つという点にある。冒頭で触れた川口以外にも辻内、寺島などは甲子園でも活躍していたこともあって期待も大きかったため、その分結果が出なかった時のファンの落胆も大きかったと言えるだろう。成功したことよりも失敗したことの方が印象に残るというのは他の世界でもよくあることと言える。

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