「首尾よく達成できた場合は、腫れや痛みがなくなった患者さんが、日常生活のなかでほかに困っていることがないかを確認します。例えば、化粧や整髪、着替え、階段を上る、洗濯物を干す、料理を作る、外出するなど、日常生活におけるさまざまな動作で、痛みなどの症状が改善した後もできずに困っていることがあればその原因を探り、解消するための治療を考える。それが2番目のポイントです。そして3番目のポイントは、関節や骨の破壊を抑えることです」(針谷医師)

 このように、治療のゴールに到達するために、まずは炎症や痛みを抑える。次に患者のQOLを確認する。さらに関節や骨の破壊を抑える、という流れで患者さんの症状や生活の状態を確認しながら治療が進められます。

患者自身で判断せず医師に相談を

 関節リウマチという病気を持ちながら生活するうえで大切なこととして、「治療をきちんと続け、何かあれば主治医に相談すること」と話すのは、関節リウマチの早期発見や予後改善をめざし診療や啓発に力を入れている、横浜市立大学附属市民総合医療センター、リウマチ膠原病センター診療教授の大野滋医師。

 患者のなかには、治療によって痛みがなくなると自身の判断で薬をやめてしまう人や、副作用がつらいことを医師には伝えず薬を飲むのをやめてしまう人もいるといいます。

「症状が安定したら薬を休むこともありますが、減薬や休薬にも進め方があるため、患者さん自身で判断せず必ず医師に相談してください。副作用についても、起こる可能性のある症状を知っておき、気になる症状があった場合などは医師に伝えましょう」(大野医師)

病気を知ることが治療継続のモチベーションに

 針谷医師は、「病気を正しく知ること」と「自分の治療を医師と一緒に考えること」が大切だと話します。

 長く治療を続けるためには患者自身がやる気になることが欠かせません。関節リウマチという病気が免疫の異常で起こること、一生続く病気であること、治療を怠ると肺や内臓にも症状が起こる可能性があることなどを理解することで、治療の必要性を実感し、治療を続けるモチベーションにつながるといいます。

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治療選択に自分も参加したと思えることも重要