関節リウマチは、一度発症したら根治させることは難しく、一生、治療や経過観察を続けていくことが必要な病気です。ただし、きちんと治療を続ければ、関節の痛みや腫(は)れなどの症状を抑え、ふつうの日常生活を送ることも十分に可能な時代になっています。治療を続けるうえで大事なことや日常生活で注意すべき点など、患者が関節リウマチとともに生活するために理解しておきたいことを専門医に聞きました。
この記事は、週刊朝日ムック「手術数でわかる いい病院」編集チームが取材する連載企画「名医に聞く 病気の予防と治し方」からお届けします。「関節リウマチ」全3回の3回目です。
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発症前と同じような生活を送れることが治療のゴール
関節リウマチは、良くなったり悪くなったりを繰り返しながら進行する慢性の病気です。そのため、治療目標は「病気の根治」ではなく、「生活の質(QOL)の向上・維持」と考えられています。
関節の炎症を止め、痛みや腫れなどの症状をコントロールすること、関節や骨の破壊を防ぐことが治療の目標であり、患者が発症前と同じように家庭や社会で生活できるようになることが治療のゴールといえるでしょう。
治療目標を達成するためには、「医師が治療の過程で何度かその成果をチェックしていくことが必要」と、東京女子医科大学病院膠原病リウマチ内科教授の針谷正祥医師は話します。針谷医師は、大学病院で長年関節リウマチの診療にあたりながら、ガイドラインの作成などにも携わっています。
治療における最初のチェックポイントは炎症を抑え、腫れや痛みをなくすこと。「できれば治療開始後3カ月、遅くとも6カ月で達成したい」と針谷医師はいいます。