世の中には、「求める生き方」と「求められる生き方」の2つがあると思っています。

 若いうちは、前者の生き方に傾きがちです。こんな仕事がしたい、もっと年収を上げたい、異性からモテたい、人から評価されたい……。こうした野心があるのは悪いことではありません。

 でも、年をとったら尾畠さんのように、後者の生き方にシフトしていくほうが幸せな人生を送ることができる気がします。

 ここで重要なのは、「自分はどこから求められているのか」を知ることです。

 会社員の人なら、「会社」と答える人が多いでしょう。もしくは、「子ども」と答える人も多いかもしれません。

 ところが、会社を定年退職し、子どもが巣立ってしまうと、自分はどこから求められているのかがわからなくなります。「自分なんて誰にも求められていないんだ」とふさぎこんだり、閉じこもりがちになったりする人も多いようです。

 そうならないためにも、「自分はどこから求められているのか」を知る、もしくは探すという作業が必要になってくるのです。

 それは町内会の活動をすることかもしれませんし、よき祖父母として孫の世話をすることかもしれません。私の父のように、家庭教師として地域の子どもたちに勉強を教えることかもしれません。

 いずれにしても一つ言えるのは、あなたを求めている人は必ずどこかにいるということです。もしいないと思うのなら、まだ見つかっていないだけです。

 それなら自分から積極的に動いて、自分には何ができるのか、何が向いているのかを探しにいきましょう。

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小林弘幸

小林弘幸

小林弘幸(こばやし・ひろゆき) 順天堂大学医学部教授。日本スポーツ協会公認スポーツドクター。1987年、順天堂大学医学部卒業。92年、同大学大学院医学研究科修了。ロンドン大学付属英国王立小児病院外科などの勤務を経て順天堂大学小児科講師、助教授を歴任。腸と自律神経研究の第一人者。『医者が考案した「長生きみそ汁」』など著書多数。テレビなどメディア出演も多数。

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