古賀茂明氏
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 最近、自民党議員と色々な場で話をする機会があった。たまたまかもしれないが、彼らはみな、裏金作りなんかやってないと自信たっぷりに語る面々だ。だが、今後の日本や自民党についてはみな悲観的だった。

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「古賀さん、岸田政権はもうどうしようもないね。このままじゃ本当に日本は終わるよ」

 そう言って、ある自民党の閣僚経験者は溜息をついた。怒りを超えて、諦めに近い力のない声だ。

 別の自民党の閣僚経験者はこう憤る。

「あんな裏金やってるなんてどうかしてるよ。規制も何もあったもんじゃない。自民党はもうぐちゃぐちゃになるしかないよ。一度どん底を経験しないと変われないね」

 他の若手議員は、

安倍派だけかと思ったら、うちの派閥もやばいかも。もう次の選挙じゃ勝てそうもありません。地元でなんと言えばよいのか」

 と、自分の選挙のことで頭がいっぱいのようだった。

 報道によれば、安倍派の幹部の中には、安倍派の閣僚らだけをパージしようとする岸田文雄首相に対して強く反発している議員もいるという。今月12日には、岸田派でもパーティー券収入の不記載があったと報じられ、首相自身の責任問題も浮上している。

 岸田内閣の支持率は低下を続け、11月には読売24%、毎日21%、朝日25%と軒並み20%台に落ち込んでいたが、12月の世論調査では、裏金疑惑の直撃を受け、時事17%、毎日16%などと、10%台に落ち込んでおり、ほかにも10%台が出ることが予想される。

 普通に考えると、これほど国民の支持を失えば、自民党内でも、「岸田おろし」の動きが出て当然なのだが、各派閥とも裏金疑惑の進展次第で捜査対象になる議員が出るかもしれず、動くに動けない。今動けば、逆にKYと言われ孤立するのは目に見えている。また、とにかく年末の予算編成を終えないと、来年度予算の年度内成立ができなくなり、経済に大きな影響が出るという「理屈」もあって、今すぐに政局を仕掛ける動きにはならない。

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自民は5分の1程度の票しか得ていない