岸田首相。毎日新聞の世論調査では不支持率79%。1947年7月以来、最も高いという。

 絶体絶命とも思われる危機の中でのこうした奇妙な「短期的安定状態」により岸田首相は政権継続のための閣僚人事を行い、23日までに来年度予算の編成を終えるつもりだ。その直後に安倍派の党役員の交代も予定されている。

 だが、国民から見ると、これはいかにもおかしい。元々、自民党は全有権者の5分の1程度の票しか得ていない。国民全体から見れば少数派政権である。世論調査でも支持される割合がこれと同水準またはそれ以下になってきたわけだが、そんな政党が牛耳っている政権が国民生活に大きな影響を与える来年度の税制改正の法律案や予算案を作り、無理やり3月31日までに成立させることが、本当に優先すべきことなのだろうか。

 普通に考えると、ここまで国民の支持を失った政権にそんな重要な仕事を任せるべきではないということになるのではないか。

 もちろん、今、解散総選挙を行えば、来年度予算などの成立は2カ月程度遅れる可能性が高い。その間は暫定予算を組んで必要最小限の行政ニーズに対応することになるから、全くなんの支障も出ないとは言えない。

 しかし、今、岸田政権がやろうとしていることは将来の増税隠しと目先の人気取りのためのおかしな減税である。そんなことを3月31日までに決めるのは百害あって一利なしではないのか。2カ月政治空白ができても、民意を受けた政権を作り直して、まともな政策を実施した方がはるかに良い。こうした理由から私は直ちに解散総選挙を実施すべきだと訴えたい。

 これに対して、選挙をやっても、また自民党が勝って、禊は済んだとばかりに同じ金権政治を行うのではないかという声が聞こえてきそうだ。

 確かに、野党第一党の立憲民主党は、金権腐敗政治への国民の憤りがここまで高まったのに、臨時国会閉会直前まで、内閣不信任決議案の提出を逡巡していた。せっかく進んでいる裏金疑惑の捜査に支障が出るからというような屁理屈を並べていたが、今解散総選挙をやられると大勝は難しく、議席を増やしたとしても、日本維新の会に野党第一党の座を奪われる可能性があるので、それを恐れていたというのが真相ではないだろうか。

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自民の過半数割れも十分あり得る