ウチヒサル村

 紀元前から人びとはこの岩を住居などに利用してきた。カッパドキアはギョレメ、ユルギュップ、ウチヒサル、オルタヒサルの四つのエリアに分かれており、筆者は観光地の一つとして人気のあるウチヒサル村に滞在した。滞在先の家族トゥルケ家は先祖代々60年以上に渡って洞窟住居に暮らしてきた一家である。この村の人口はおよそ4600人。現在はそのうちの100人ほどが洞窟を住まいとしている。

 一見同じように見える洞窟にも実は種類があり、大まかに3タイプに分かれる。一つはとがった煙突のようにそびえる洞窟。このタイプは人の住まいには適さず国が所有している。そして現在、人が住んでいる地下に広がるタイプの洞窟。もう一つは鳩小屋として利用する洞窟。

国が所有するタイプの洞窟
鳩小屋の洞窟

 最近では洞窟住居に空きが出ると、大手のホテル会社がすぐに買収し、高級ホテルの資源として利用している。ユネスコの世界遺産にも登録されているこの地域では、年々ホテルの数が増え続けており、地元民の多くが観光業に従事する傾向にある。

洞窟ホテルが立ち並ぶ通り

オスカー受賞映画「雪の轍」のロケ地にも

 トゥルケ家の洞窟住居は、この家で生まれ育った家長のメフメットさんの曽祖父ハッサン・アリさんが掘った。洞窟住居は基本的に入り口からアリの巣のように、地下に向かって部屋が広がる構造になっている。広い庭には畑があり、野菜や果物はここで育てて自給している。カッパドキアの昔ながらの伝統的な生活スタイルだ。

 またトゥルケさんの住居は、第67回カンヌ国際映画祭でパルムドール大賞を受賞した長編映画「雪の轍」のロケ地にもなった。この映画では、カッパドキアの昔の伝統的な村の暮らしや価値観を知ることができる。

トゥルケ家の洞窟住居.jpg
トゥルケ家の畑
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