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 発展途上国を中心に増え続ける世界の人口。今後、食料不足がさらに進むが、人口・経済力・国際収支がそろった中国とインドが世界の食料の大半を占めるという。愛知大学名誉教授で、同大国際中国学研究センターフェローの高橋五郎氏の著書『食料危機の未来年表 そして日本人が飢える日』(朝日新書)から一部を抜粋、再編集して解説する。

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世界穀物生産は2039年がピーク

 世界穀物生産量(コメはモミ付き・穀物の副産物を含む)は2001年19億8000万トン(実績)だったが、2020年に1.5倍以上の30億3000万トン(実績)に、2039年に36億8000万トン(予測値)に、約40年間で約1.9倍になることを示している。

 この増加をもたらした基本的な理由は化学肥料(窒素肥料だけで2600万トン増加)と化学農薬の大量使用に加え、耕作放棄地が1億ヘクタール以上ある一方で、穀物作付面積がこの20年間で15%に当たる1億1000万ヘクタール増加し、さらに耕地面積1単位当たり生産量が増えたことにある。(使用したFAO[国連食料農業機関]統計によると、増加は10アール当たり小麦59キログラム・トウモロコシ140キログラム・コメ76キログラム・大豆31キログラムなど)。耕作放棄地がもう少し少なければ、穀物生産量はその分増えたにちがいない。

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高橋五郎

高橋五郎

高橋五郎(たかはし・ごろう) 1948年新潟県生まれ。農学博士(千葉大学)。愛知大学名誉教授・同大国際中国学研究センターフェロー。中国経済経営学会名誉会員。専門分野は中国・アジアの食料・農業問題、世界の飢餓問題。主な著書に『農民も土も水も悲惨な中国農業』2009年(朝日新書)、『新型世界食料危機の時代』2011年(論創社)、『日中食品汚染』2014年(文春新書)、『デジタル食品の恐怖』2016年(新潮新書)、『中国が世界を牛耳る100の分野』2022年(光文社新書)など。

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2040年、世界の人口は91億人に