インドの2020年当時の食料輸入量は国内需要の1%にも達していないが、これは経常収支が恒常的に大幅な赤字構造にあり、輸入制限がかかっているためでもある。

 1人1日当たりの摂取カロリーでは、インド人は2320キロカロリー、中国人を120、日本人をも100キロカロリーも下回っている。インド人の青年男子の平均身長はほぼ日本人並みであり、体格を基準にすると摂取カロリーが少ないことがうかがわれる。

 もっと食べたいインド人は経済的理由から、食料の輸入が増やせない状態に甘んじてきたのである。しかし経済成長が本格化しつつある中、経常収支は黒字に転換することが予想され、輸入を抑えてきた足かせは一気に解けるであろう。

 となると、食料輸入は国内消費の必要な分だけ増える可能性がある。食料輸入を決める基準は経済力だからだ。

 人口・経済力・国際収支、三拍子そろった力をつける中国とインドは、世界食料需要の面でも世界の頂点に立つ可能性が十分にある。

 将来、たとえば2035年の主要穀物(小麦・コメ・トウモロコシ・大豆)の需要見込み量は中国が8億8000トン、インド7億8000万トン、合わせて16億6000万トンに達するとみられる。中国の人口はピークを越えたといわれるが、再び増加する可能性もあると同時に、所得の向上が社会の隅々に浸透することによって濃厚飼料による高級な畜産物需要が大幅に拡大するだけでなく、高級小麦粉やスイートコーン、ビール原料の大麦などの需要が高まることが予想される。

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