合わせると約5000万ヘクタールを優に超える。世界の食料の絶対量が不足する原因の一つに、耕地不足があることは否定しようがないと思う。にもかかわらず、世界には多くの耕作放棄地がある。それを放置したままとなれば、食料危機対策は十分な効果を発揮しないまま永遠に残り続けるだろう。
世界の耕地面積の8~10%に当たる1億ヘクタール以上の耕地が、何も栽培されることなく放置されている理由を考えてみよう。
作り手がいない、採算が取れない、バイヤーが求める品質をクリアできない、自然災害や戦争や内紛の影響、農地土壌の悪化や乾燥など環境悪化、灌漑施設の劣化を含む地下水の枯渇などさまざまな理由が考えられる。
FAOや世界銀行などの国際機関は、先進国や農業大国の農業改革や世界の食料市場を支配するフードメジャー、多国籍の巨大な食品加工メーカーなどの利益追求のビジネスモデルに切り込む力を到底持っていない。
食料危機・飢餓を解消あるいは緩和するために先進国を含む全世界の食料をいかに増やすかという対策に共通目標として取組むべきなのだが、増えることで価格が低下することを嫌う勢力に対して抗う力は非常に弱いし、そもそもそのような感覚を持ち合わせていないことは問題であろう。