ちなみに2022年の日本の耕作放棄地面積は39万6000ヘクタール(農水省)、全耕地面積432万5000ヘクタールの9.2%に当たるから、世界にも同じくらいの割合の耕作放棄地があっても不思議ではない。

 FAOがいう世界の作付可能地面積13億8700万ヘクタールのうち、少なく見積もっても8%は耕作放棄地となっていると仮定すれば、その面積はおよそ1億1000万ヘクタールもの広さとなる。10%とすれば1億4000万ヘクタールにも達する。中国の全耕地面積とほぼ同じくらいの、とてつもなく大きな面積である。

 1989年のソ連の解体以後、ロシア・ウクライナ・ベラルーシでは急速な耕作放棄が起き、ポーランド・ルーマニア・リトアニア・ラトビア・トルコ・モルドバ・カザフスタンなどでも、耕作放棄地は急速に増えているという報告がある(カミラ、アルカンタラ他「MODIS時系列衛生データを用いた中欧・東欧の耕作放棄地面積のマッピング」2013年)。

 これらの国々では、2005年の段階で、ロシアの3200万ヘクタールをはじめ、ウクライナ920万ヘクタール、ベラルーシ340万ヘクタール、ポーランド150万ヘクタール、ルーマニア100万ヘクタール、リトアニア90万ヘクタール、ラトビア60万ヘクタールの耕作放棄が起きたという。

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なぜ多くの耕地が放棄されているのか