こゆきさん(撮影/写真映像部・和仁貢介)
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 ギフテッドと呼ばれる人たちがいる。高い知性や能力を発揮する一方で、発達の偏りや気性の激しさなど、さまざまな困難を抱えるケースも多い。好評発売中の書籍『ギフテッドの光と影 知能が高すぎて生きづらい人たち』(朝日新聞出版)では、そんなギフテッドたちの声を取り上げてきた。東京大学で教育心理学を学ぶこゆきさん(21)もその一人だ。2歳ごろから自分で本を読み、物語の世界に没入。その一方で、学校に行きたくない一心で激しい感情をあらわにし、両親を困らせた。次第に、こゆきさん自身も、小説の登場人物たちのように人と仲良くできない自分を責め、苦悩を深めていった。

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 9歳まで東京で育ち、そこから18歳までを茨城県で過ごしたこゆきさん。昔から、友達と遊ぶよりも、ひとりで本を読むのが好きだったという。

「本を読んでいる記憶で一番古いのが、2歳ごろの記憶。物心がつくのと本を読むの、どちらが早かったんだろうというほどでした。母によると『読み聞かせをされるよりも、自分で読むほうが好きだった』そうです。そのころの自分は『物語の中の人たちのほうが、現実の世界の人たちよりもイキイキしてるし、楽しい』と思っていました。そういう風につくられているから当然なのですが(笑)、物語ってすごく面白いですよね。だから、当時の自分にとっては、本の世界のほうが、現実よりも大きな存在だったんです」

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未就学の頃は感情的で手がつけられなくなることも