なんでも読む乱読派だが、特に好きだったのは『ハリー・ポッター』『ナルニア国物語』、日本だと上橋菜穂子の『獣の奏者』、宗田理の『ぼくら』シリーズなど。ハリーやロンと比べれば、現実の人間はそこまでイキイキしてないのは間違いない。
このような気持ちだったため、周囲の子どもたちに関心が向くことは少なく、友だちもなかなかできなかった。両親は「友だちと遊ばなくていいの?」と心配したが、物語の世界に没入していたこゆきさんの耳には、届いていなかった。
また、両親は別の部分でも難しさを感じていた。当時のこゆきさんは人並み以上に気性が荒く、両親(特に母親)を困らせることが多かったという。
「とにかく、幼少期から負けず嫌いな性格でした。大人たちと対等に話したい気持ちが強かったんですね。主張したいことを言葉にできず、両親や大人に言い負かされて、すごく荒れていたように思います。母によると、とくに未就学の頃は感情的で、手がつけられなくなることが多かったそうです。小学生になると言語的にも発達して、母親と論戦を繰り広げるようになりました。『食事中に本を読むのはやめなさい!』と言われて『なんでダメなの?』と言い返したり」