フリーアナウンサーとして活動しながら、発達障害の息子さんのために起業して発達障害動画メディア「インクルボックス」を立ち上げた赤平大さん。著書『たった3つのMBA戦略を使ったら発達障害の息子が麻布中学に合格した話。』を出版するなど、実践した知見を同じ悩みを持つ人に共有する活動をしています。高IQとADHDなどの発達障害を併せ持つ息子さんは受験2カ月前に都内男子御三家の麻布中学受験を決め、見事合格しました。なぜ受けることになったのか、実際に行った受験対策についてうかがいました。 ※前編〈元テレ東・赤平大アナが語る、発達障害で高IQの息子の子育て「勉強は息子にとって“身を守る”武器」〉から続く
【写真】視覚優位の息子さんのために赤平さんが活用したツールがこちら中学受験2カ月前に「麻布に行ってみたい」
――ギフテッドと発達障害の両方の特性を持っていた息子さんですが、中学受験の志望校を「麻布中学」にしたいと決めたのは、受験の直前、6年生の12月だったとか。
そうなんです。それまでは一般的な中学受験の対象ではない、神奈川県にある発達障害に理解が高い私立中学校を志望校に決めていて、準備をしているところでした。
麻布中学に最初に触れたのは、息子がまだ小さかったころに、東京都千代田区立麹町中学校の当時の校長である工藤勇一さん(現・横浜創英中高などのアドバイザー)の、”学校改革プロジェクト”のお手伝いをさせてもらっていたころです。私が息子のいじめ被害のことや将来の学校選びで悩んでいたときに、工藤校さんに相談すると、「息子さんには麻布が合うと思いますよ」と言っていただいたのです。息子がまだ小学校3年生のときでした。
今でこそ、私も麻布中学が都内の男子中学御三家と言われる有名な学校と知りましたが、岩手県出身で中学受験を知らない当時の私は「麻布」を知りませんでした。そもそも、「いわゆる進学校」への中学受験をまったく考えていなかったので、息子は進学塾に通っていませんでした。ですので、工藤さんにすすめられても進学先として考えることはありませんでした。
ただ息子は、小学1年生から毎日、家庭で先取り学習に取り組み、四谷大塚の「全国統一小学生テスト」を受け続けていました。これは受験のためではなく、何か一つでも自信を身につけ、いじめから身を守るための手段でした。他人とは競争せず、息子自身が前回より良い成績になれば自己肯定感も高まると思いました。息子の偏差値は6年生の春の段階まで50台半ばでした。
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