この夏は、戦国時代が熱かった。「本能寺の変」で岡田准一演じる織田信長が姿を消し、「小牧・長久手の戦い」では、松本潤演じる徳川家康とムロツヨシ演じる豊臣秀吉が直接対決。言うまでもなく、NHK大河ドラマ「どうする家康」のことだ。
物語は秋の訪れとともに、関ケ原の戦い、江戸幕府開府へと向かって行く。江戸に幕府を開いた家康だが、実は京都にも家康と縁が深い名所は少なくない。この秋は京都でも、家康ゆかりの地を巡ってみてはどうだろう。
刊行されたばかりのムック「秋の京都 2023」では、地元の最強ナビゲーターによる京都の紅葉徹底ガイドはもちろん、家康ゆかりの名所も掲載している。美しい紅葉とともに家康の足跡をたどる〝ツウな旅〟を、この「秋の京都」から紹介したい。
家康ゆかりの地めぐりのスタートは、世界遺産「元離宮二条城」。1603(慶長8)年、江戸幕府初代将軍になって間もない家康が、御所の守護と将軍が上洛した際の宿泊所とするために築いた。豊臣秀頼との会見、大坂冬の陣・夏の陣の軍議と出陣は、ここ二条城で行われたという。3代将軍家光の時代、後水尾天皇の行幸に伴い大規模改修され、現在の規模となった。二の丸御殿の絢爛(けんらん)豪華な障壁画を見ると、徳川家の強大な力を実感できる。
二条城から電車と徒歩で移動すること約25分、浄土宗の総本山「知恩院」にたどり着く。浄土宗を信仰した家康は、1603(慶長7)年に知恩院を生母・於大の永代菩提(ぼだい)所とした。それ以降、ここは徳川将軍家の京都の菩提寺となり、多くの堂宇が建てられた。御影堂に木造徳川家康坐像が安置され、方丈庭園の奥には家康・秀忠・家光の三代将軍を祀る権現堂がある。
知恩院から20分ほど歩くと見えてくるのが「金地院」。家康からの信任が厚く、幕府の政治に深く関わり「黒衣の宰相」とも呼ばれた以心崇伝が、自坊として暮らした寺院だ。家康が3カ所に建てるよう遺言した東照宮のうちの一つがあり、東照大権現坐像、家康の遺髪と念持仏が安置されている。また、祝儀の庭とも言われる「鶴亀の庭」は、徳川家の末永い繁栄を願って、崇伝が作らせたものだという。