焼きたらこの素麺茶漬け(撮影/文田信基)
焼きたらこの素麺茶漬け(撮影/文田信基)

 暑い夏は食べるのも作るのも億劫になる。そんな時、素麺は強い味方だ。飽きのこないカラフルなレシピを、科学する料理研究家のさわけんさんが考案してくれた。AERA 2023年7月24日号の記事を紹介する。

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「夏の味方は麺類でしょ」


 こう言うのは、東京都23区内に住むシングルマザーだ。中でも素麺はすぐゆであがり、かつ家計にも優しいので重宝している。ただし、小学生の息子には「またぁ?」と不評だ。素麺だけでは腹持ちが悪く、栄養面で偏りが出るのも気にはなる。薬味を増やしたり、レシピ本を参考にしたりしている。


「行き詰まってます。斬新なメニュー、ないですか?」(女性)


■ガツンとつけめん風


 お任せあれ、と胸を叩くのが、科学する料理研究家・さわけんさんだ。家庭料理の基本は、「簡単」「時短」「栄養たっぷり」。


 なにしろ、今夏も暑い。日本気象協会によると、8月は東日本や西日本で気温が平年より高くなる見込み、9月も平年並みかそれ以上になるところが多いという。長く続く暑さを、夏バテせずに楽しく乗り切りたい。


「さっと作れて、インパクトもある9品です」(さわけんさん)


 試食した全員が「1等!」と声をあげたのが、「肉つけめん」。


「ガツンと来る。コレ、食べ応えがありますね」(ラーメン好きのカメラマン)


 ニンニクチップが利いている。添えた卵は、半熟ゆで卵をめんつゆに半日ほどつけた煮卵風。たくさん作って冷蔵庫で保存すれば、数日はもつという。


 次点は、「イタリアントマト素麺」派と「豆乳麻辣麺」派に、真っ二つに分かれた。


「イタリアン」は、ざく切りトマトとオリーブオイルと共にサラダ感覚でいただく。バジルが爽やかだ。冷製パスタにしてもおいしそうだが、素麺はパスタよりグンと優しい口当たりで、老若男女に喜ばれそうだ。


「麻辣」は昨今の麻辣人気を意識した一品だ。


「お子さんでも美味しく食べられるよう、麻辣が突出しないように、豆乳を加えています。麻辣の“麻”、つまり痺れ感は中国の山椒、花椒によるもの。日本の胡椒とは風味が違います。一般のスーパーでも手軽に買えるので、ぜひ花椒を使ってみてください」(さわけんさん)

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