最期の治療の時、ののが「病院行きたくなかった」と訴えるような顔をしたように見えたけど、あの日に病院に行き、あのタイミングでやめたからこそ、平日にひとりで逝くことがなかった。すべてが必然だったのかな……。今はそう思うようになりました。
考えてみると、ののなき後、ずいぶんと周囲の言葉にも支えられました。
次男は「きっと寿命だよ」と言ってくれたし、実家の両親は「野良ちゃんのままだったらもっと早く逝っていたかもしれないし、幸せだったに決まってる」と。外猫の餌やりをしている会社の同僚は、「16は(野良だと)長生きすぎだよ」。猫の看取りを経験された家の前の方も、話をよく聞いてくださいました。
そして、親しかったお友だちが、「(亡くなったけど)いつも一緒にいられるように」と、「のの」の写真を転写したマグカップを贈ってくれたのです。毎日、会社で使ってます。
もう少し長く一緒にいられたら、と思ったけど、ののは十分に私たちを幸せにしてくれたので、ありがとうの気持ちでいっぱい。今の夫との間には子どもがいないので、ののはまさに子どものような存在でした。
いつかまたどこかで、ののみたいに母猫から離れたりした、でもすばらしくいい子に、巡り合えたらいいなと思っています。
(水野マルコ)
【猫と飼い主さん募集】
「猫をたずねて三千里」は猫好きの読者とともに作り上げる連載です。編集部と一緒にあなたの飼い猫のストーリーを紡ぎませんか? 2匹の猫のお母さんでもある、ペット取材歴25年の水野マルコ記者が飼い主さんから話を聞いて、飼い主さんの目線で、猫との出会いから今までの物語をつづります。虹の橋を渡った子のお話も大歓迎です。ぜひ、あなたと猫の物語を教えてください。記事中、飼い主さんの名前は仮名でもOKです。飼い猫の簡単な紹介、お住まいの地域(都道府県)とともにこちらにご連絡ください。nekosanzenri@asahi.com