プロ野球のキャンプも目前に迫り、オフに自由契約となっていまだに去就が未定の選手にとっては決断へのタイムリミットは迫っているが、近年増えているのが独立リーグや社会人で現役を続行する選手だ。毎年行われている12球団合同トライアウトでも多くの独立リーグチーム、社会人野球チームの関係者が顔を見せており、すぐにオファーを出すケースも少なくない。そこで今回は独立リーグや社会人からNPB復帰を狙えそうな選手はいるのか。探ってみたいと思う。
まず投手で実績のある選手で可能性がありそうなのが福井優也(楽天→BCリーグ・福島)だ。広島では2011年に8勝、2015年に9勝をマークするなど活躍。しかし2017年以降は成績を落とし、トレードで移籍した楽天でも目立った結果を残すことができずに昨年限りで自由契約となった。
ただ昨年の二軍成績を見るとリリーフで20試合に登板して防御率1.37、奪三振率も9.61と見事な成績を残している。また昨年11月に行われた12球団合同トライアウトでも打者3人を完璧に抑え、ストレートの最速も145キロをマークするなどまだまだ力があるところを見せた。プロ通算12年で106試合に先発した実績は申し分なく、ここ数年はリリーフに回っても腐ることなく二軍で結果を残しているのは立派だ。独立リーグで圧倒的な成績を残すことができれば、投手陣のコマ不足の球団が獲得を検討することも十分に考えられるだろう。
一方で実績はないものの、年齢的にこれからの成長も期待できるのが広島を自由契約となった山口翔(九州アジアリーグ・火の国)だ。熊本工ではエースとして3年春のセンバツ高校野球に出場。九州でも屈指の本格派右腕として評判となり、2017年のドラフト2位で広島に入団している。プロ入り後も2年目には二軍ではチームトップの6勝をマークし、一軍でもプロ初勝利を記録するなど順調なスタートを切ったかに見えたが、その後は制球難に苦しんで低迷。2020年以降は二軍でも結果を残せずに昨年自由契約となった。
プロでの結果だけを見れば苦しいのは確かだが、長いリーチを生かした鋭い腕の振りは魅力で、11月の12球団合同トライアウトでも146キロをマークして三者凡退に抑えるなど、能力の片鱗は見せている。チームを指揮する馬原孝浩監督(元ソフトバンクなど)は引退後に柔道整復師と鍼灸師の資格を取得するなど、勉強熱心な指導者であり、特に投手の能力を伸ばすことに関しては定評がある。今年で24歳とまだまだ若いだけに、何かきっかけをつかめば大化けすることも期待できるだろう。