うつ病を克服し、偏差値29から東大に合格。ベストセラー『偏差値29から東大に合格した私の超独学勉強法』の著者・杉山奈津子さんが、今や4歳児母。日々子育てに奮闘する中で見えてきた"なっちゃん流教育論”をお届けします。
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私が子どもの未来のために今やっておいてあげたいと思うこと。それは、子どもが興味をもったものに対して、「本物にふれさせる機会を増やし、身近なものにしてあげる」ことです。
東京海洋大学の名誉博士であるさかなクンは、絶滅したはずの魚である「クニマス」の生存確認に貢献したり、TVチャンピオン「全国魚通選手権」で5連覇したり、魚をたくさん食べてギネスに載ったりと、魚関連では右に出る者がいないほどの魚博士です。そんな彼が魚介類に興味をもつようになったきっかけは、小学2年のときに友人が描いたタコの絵を見たことだったそうです。しかし、彼は学業方面で成績がいまいちよくなかったため、親は担任に呼び出されてしまったとのこと。実際、日本では学業第一主義なところがあり、成績が悪く、少し人と変わったところがあると、否定してみんなと同じ輪の中に入れようとしてしまう傾向があります。
しかし母親は、魚好きな点こそ彼の個性だと捉えたのでしょう。毅然として担任に「このままでいい」と伝え、魚屋さんで丸ごと魚を買ってきたり、図鑑を買ってきたり、海や水族館でタコを見させたり……彼を否定せずに、より魚を身近なものにさせるべく応援し続けました。その結果、さかなクンは見事、魚の研究家として多くの素晴らしい功績を残すこととなりました。
■先生よりも親の「できる」という言葉
私も、学校で将来の話になったとき、「本を書きたい」と言ったら、先生からひどくバカにされたことがあります。返ってきた言葉は、「そろそろ夢と現実の違いがわかってくるころだと思うけれど?」「実際に書ける人が何人いると思っているの?」という非常に否定的なものでした。しかし、私の親はかなり放任主義だったので、「やりたいことをやればいい」と、反対せず自由にやらせてくれました。そもそも、実際に本屋さんに足を運べば、「一体、本というのは何冊あるんだろう?」と思うほど、大量に本が置いてあるわけです。母親が新宿にある広すぎて迷子になってしまうほどの大型書店に連れて行ってくれたとき、コーナー全部を回りきれないほどに多くの本があることにビックリしました。その本の分だけ、書いた人間が存在するわけですから、なんとなく「自分もできるのではないか」という気になってきたことを覚えています。