「経済が東京に一極集中していることの裏返しでしょう。一般企業に入って高い収入を得ようと思うなら、東京に本社がある大企業に就職せざるをえません。一方で、医師になれば、地方でも安定した生活を送れます。地元で医師として生きていくことを決めたならば、遠方の有名大学に通うメリットは少ないのです」

 受験関係者の間で「東大より地元大の医学部」と言われるこの傾向。国公立大合格者数を見ると、よくわかる。

 17年度入試で国公立大医学部医学科の合格者数が多かったトップ30を並べてみると、 1位は、東海(愛知)の121人。10年連続トップで、名古屋大に31人、名古屋市立大に19人が合格。岐阜大に9人、京大に8人など、近隣府県の医学部にも多数合格している。

 3位の洛南(京都)は京大に13人、京都府立医科大に14人と、こちらも地元大の医学部に強い。

 公立では本(熊本)、札幌南(北海道)、新潟(新潟)などがランクインした。いずれも道県内の医学部に20人以上の合格者を出している。

 難関大に強い高校を見るには、別の指標もある。国公立大医学科合格者と東大・京大合格者(含む医学部以外)の合計が、卒業生数に占める比率だ。この指標でみると、私立の灘(兵庫)がトップ。合計すると176人がこれらに合格しており、卒業生の8割に相当する(合格者数は浪人生も含む)。

 灘と同じ私立中高一貫校の、甲陽学院(兵庫)や東大寺学園(奈良)も、同じ指標で6割を超えた。

「子供を医師にしたいと考える親が地域の名門校に通わせるのは、受験対策の教育力だけを求めているわけではありません。医師志望の生徒向けに医学に関する講座を受けさせたり、体験授業を開いたりする学校もあります。また、医師をめざす同級生が周囲にいることで、刺激し合いながら受験をがんばれることも大きい」(安田さん)

 医師数に占める女性比率が増える傾向にあり、近年は医学部受験をする女子生徒も増えた。女子比率が4割超の医学部も、今や珍しくない。

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