「女子校の桜蔭(東京)は昨年より5人合格者が増えました。四天王寺(大阪)も11位に入っています。洛南は06年に男子校から共学化した後、医学部の合格者が増えました。医師志望の女子生徒は今後も増えると思われます」(同)

 そのほかの上位をみると、久留米大附設(福岡)、ラ・サール(鹿児島)、愛光(愛媛)など、西日本の有名校が目立つ。

 一方で、首都圏で上位なのは、7位の開成(東京)、15位の麻布(東京)、16位の桜蔭、28位の豊島岡女子学園(東京)の4校。医学部進学は以前から、「西高東低」と言われてきた。その傾向は今年も大きく変わらなかった。

 首都圏の高校の医学部合格者数が大きく増えないのは、二つの理由がある。

 一つは、石原さんの指摘のように、東京では医師以外にも高収入を得られる職業の選択肢が数多いこと。医師になるより、外資系企業などへの就職や国家公務員試験を考えている人も多いだろう。

 もう一つの理由は、首都圏は私大の医学部が多く、人口比でみると他地域より国公立大の医学部が少ないことだ。

 首都圏の受験生が、自宅から通える国公立大医学部を考えるとなれば、東大、東京医科歯科大(東京)、千葉大(千葉)、横浜市立大(神奈川)などが候補となる。いずれも偏差値70前後の超難関だ。

 結果として、東京で医師をめざすなら、学費が平均3千万円以上かかる私大の医学部を視野に入れる必要がある。学費負担を理由に、医師を断念せざるをえない人も多いだろう。地方より首都圏に住む若者のほうが医師になる道のりは厳しい、と言えるかもしれない。

 また、国の政策が地方の医学部受験生を有利にしている面もある。石原さんは言う。

「地方の医師不足を解消するため、地域医療に一定期間従事することを条件に選抜する『地域枠』が、医学部にはあります。制度自体は97年に札幌医科大と兵庫医科大で始まりました。当時は両大学でわずか11人の募集でしたが、16年には71大学の1617人まで増えています。また、医学部入試の面接試験でも、地元出身者のほうが高得点になることが多く、有利だと言われています」

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