医学部の全定員に対して地域枠が占める比率は17%に達した。医師をめざすならば、まずは地元大の医学部が狙い目になる。
地域枠は国公立・私立を問わず、東京のような都市圏にある大学の医学部でも設けられている。
順天堂大の場合、地域枠で選抜された学生は、奨学金として入学金や授業料などが全額免除される。さらに、月額10万円の生活費も支給される。6年間で卒業すれば、医師国家試験の合格後に東京都が指定する医療機関で9年間働けば、返済は免除される。
最近は地元出身者かどうかに関係なく出願できる地域枠も増えた。医師になった後の勤務先を入学前に決めておけば、私大でも学費負担が少なくてすむ。
ただ、卒業後、正当な理由なく地域医療に従事することを拒めば、学費返済を求められる。10%の利息がつくなど、罰則が設けられていることも多い。地域枠は大学によって制度が異なるため、各大学のホームページなどで調べてみるとよいだろう。
医師への道は今後、どう変わっていくのか。
「医学部入試は、景気や政策などの社会状況に大きな影響を受けます。日本の人口減少が進むと、将来的に医師が余る懸念があります。政府は、20年から医学部の定員を削減することを検討しています。最終的な結論はまだ出ていませんが、削減が実施されると、医学部入試は今後さらに厳しくなるでしょう」(石原さん)
文部科学省によると、現在の地域枠増員は19年まで続くことが決まっている。その先は「医師数が全体として充足してきているが、地域の偏在が解消されていないため、定員増員の期間を延長することも含め、現在検討している」(同省医学教育課)という。
医師は平均年収1千万円超と経済的な魅力が大きい職業。一方で、過酷な労働環境という現実もある。
「偏差値が高いから」と安易に医学部の道を選ぶと、職業に就いてから、現実とのギャップに悩むかもしれない。勉強とともに職業をよく研究しておくことも、医学部受験生に欠かせぬ準備になる。
※週刊朝日 2017年4月28日号