
夫が近くにいることで病気になる“夫源病”という言葉が話題になっているが、逆のデータも報告された。男女にかかわらず、“配偶者と離婚・死別した人は、結婚を維持している人に比べて26%脳卒中の発症リスクが高い”というのだ。
この結果は、「JPHC研究(多目的コホート研究)」という、国立がん研究センターや大阪大学などのグループが行っている共同研究で明らかになった。婚姻状況の変化と脳卒中の発症リスクとの関係性を調べた研究は、日本では初めてだ。
研究の対象は、岩手県や長野県、高知県、沖縄県など9カ所の地域に住む45~74歳の男女の4万9788人。過去5年間の婚姻状況から「配偶者と同居を続けている人(既婚=4万4851人)」と、「離婚や死別などで同居しなくなった人(非婚=4937人)」に分け、平均約15年間、追跡調査。脳卒中の発症について両者を比較した。
調査期間中に脳卒中を発症した人は計2134人。既婚者に比べて、非婚者の脳卒中の発症率は、男女とも1.26倍高かった。研究をまとめた大阪大学公衆衛生学特任准教授の本庄かおりさんは、「離別や死別が心臓病の発症リスクを高めることは、海外の研究などで報告されていたので想定内でしたが、男女でリスクに違いがないことは意外だった」と話す。
脳卒中には脳の血管が詰まったり狭まったりして血流が悪くなる「脳梗塞」、脳の小さな血管が破れて出血する「脳出血」、脳のまわりを覆っているくも膜にある太い血管が破れて出血する「くも膜下出血」の3タイプがある。今回の調査ではタイプ別の発症リスクも調査している。