もちろん、世界的視点ですから、地域によっては、逆行している人達もいます。生まれつき茶色の髪を染めろと女子生徒に命令した大阪の高校は、生徒の代理人弁護士に「たとえ金髪の外国人留学生でも規則で黒く染めさせる」と豪語しました。本当に実行して、世界的な問題になればいいなと僕は本気で思いました。

 ピックさん。「本当に情けなく苦い思い出で、高校時代のことは全部忘れたいとすら思いました」なんて思わないで下さい。あなたの体験は、きっと将来、役に立ちます。「所与性」に安住した大人達と戦ったこと。「手段」を「目的」にしないこと。「より上位の目的」は何か?と常に考えること。そんなヒントをくれたのです。

 とても素敵なことだと思います。高校時代の戦いを胸に、どうか素敵な人生を歩まれることを祈ります。

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鴻上尚史

鴻上尚史

鴻上尚史(こうかみ・しょうじ)/作家・演出家。1958年、愛媛県生まれ。早稲田大学卒。在学中に劇団「第三舞台」を旗揚げ。94年「スナフキンの手紙」で岸田國士戯曲賞受賞、2010年「グローブ・ジャングル」で読売文学賞戯曲賞。現在は、「KOKAMI@network」と「虚構の劇団」を中心に脚本、演出を手掛ける。近著に『「空気」を読んでも従わない~生き苦しさからラクになる 』(岩波ジュニア新書)、『ドン・キホーテ走る』(論創社)、また本連載を書籍にした『鴻上尚史のほがらか人生相談~息苦しい「世間」を楽に生きる処方箋』がある。Twitter(@KOKAMIShoji)も随時更新中

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