
3度の結婚で子ども4人の母親、土屋アンナ41歳が語る 「ママっぽくない」私が大事にしていること
土屋アンナさん(撮影/いずれも小黒冴夏)
モデル、歌手、女優の3つの顔を持つ土屋アンナさん(41)。3度の結婚を経験し、現在は、2男2女の母として、にぎやかな生活を送っている。家事は協力し合っているという土屋さんに、子育てで大切にしていることを聞いた。
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“子どもらしさ”を絶対に捨ててほしくない
――お子さんたちといい関係を築くために、大切にしていることはありますか?
いろいろな母親、父親がいるとは思うのですが、私自身は、世間の“母とはこうでなければいけない”という枠は持たないようにしています。だから、うちは親子での上下関係はなく、仲間みたいな感じなんです。
「勉強しなさい」「○○しなさい」ばかりを言わないようにしています。それぞれ違うタイプの子どもたちの素質を伸ばしてあげたいし、 “子どもらしさ”を絶対に捨ててほしくないんです。
もちろん人前にいるときは、「静かにしなさい」「食べ方に気をつけなさい」などと注意することはありますが、子どもらしさがない子は寂しい。泣いてもいいし、大きい声を出してもいい。それは“子どもの特権”なので。
―――現在、お子さんは、澄海(スカイ)君が20歳、心羽(シンバ)君は15歳、星波(セイナ)ちゃんが8歳、虹波(ニイナ)ちゃんは6歳です。さらに猫ちゃんは6匹いるんですよね。
生き物ばっかりです(笑)。動物は単なるペットではなく家族。子どもたちも猫のトイレ掃除をしたり、ごはんをあげたりと、みんなでお世話をしています。「猫のごはんがなくなっているから、入れなきゃ」とか、自主的な作業をみんなでする。サークルのような環境なので、学ぶことが多いんですよね。
動物から教えてもらうことはとても多い。生も死もあることをきちんと理解し、一緒に生きていこうかと。動物からは形のないものをいっぱいもらえます。言葉が通じない分、ダイレクトに愛情がくるし、嘘をつかないんでね。
――お子さんに教えているルールは、ありますか?
「嘘をついたり、人を傷つけたりは、自分も息苦しくなるからやめときな」とは教えています。そうはいっても、人は嘘をつく。私も嘘をつくんですよ。それも子どもたちに言う。「ママも嘘つくなって言っているけど、嘘ついちゃっているよ。大人は大変でね。でもいい嘘もあるし、線引きが難しい。なぜ、嘘をついちゃいけないのかというと、つじつまを合わせるために嘘に嘘を重ねていくことになり、自分が苦しむことになるから。特に“人を傷つける嘘”は、全部自分に返ってきてしまうからしないほうがいいよ」って。
「NO」と言わないので、本当に感謝しかない
――朝のルーティンはどんな感じですか?
家族はみんな朝7時に起きて、私は朝ごはん作り。メニューは別にこだわってなく、栄養が取れるので、米とみそ汁があれば十分という感じ。今朝も塩おにぎりと野菜たっぷりのみそ汁でした。
次男と長女は2人で学校に行って、一番下の子は保育園。バイトがある長男は、私が仕事のときの朝は手伝ってくれています。日によって、下の子を送る人は代わります。うちにはシッターさんもいないので、家族で協力し合っています。猫の世話もするので、あっという間に出かける時間になってしまいますね。
家事は次女もよく手伝ってくれます。私が雑巾を持って何かを拭こうとすると「やる!」と言って、お手伝いを楽しんでくれています。長男、次男も絶対「NO」と言わないので、本当に感謝しかないし、みんな優しい。まあ、「NO」と言ったら、私がすごいブチ切れるわけですが……(笑)。
でも、みんなが協力してくれるのは、多分、「私がママっぽくない」からだと思います。子どもの前で泣くし、怒るし、感情はむき出しにするタイプなんです。大人になると、みんな我慢しているじゃないですか。泣いちゃいけないとか。でも、私は別に大人だからってそうしなくていいと思っていて、子どもにも弱いところをいっぱい見せています。そうすると、子どもたちも「あ、ママも人間なんだ」って分かるので、助けようとしてくれます。
――「お母さんは完璧じゃなくていい」ということでしょうね。
もちろん子どものために、自分の時間もなく100%の労力を注いでがんばっている人も、いい母親。逆に私みたいに「子どもはいるけれども、自分のやりたいこともやる」というスタイルもアリ。100人いたら100人違って当然。なにが正解かは分からないけど、子どもと向き合って一生懸命育てる。それだけしてれば、いいんじゃないでしょうか。
新たな夫は父親であり、サポーター
――「元夫との間に子どもがいる上での再婚」は難しいとされています。土屋さんは結婚を3回しているわけですが、気をつけたことはありますか?
再々婚をして、新たな夫と一緒に住むようになっても、それは私とその人の関係の話。その人は必ずしも“子ども全員の父親”ではないんですよ。父親でもあり、サポーターとして一緒に暮らしている感じです。
一つ屋根の下なので、みんなで仲良くやっていこうという気持ち。「みんなで笑顔になろう」「みんなで助け合おう」ということだけを芯に持っていればいい。細かくやってしまうと、お互いに苦しんでしまうから。夫に対しても、「お父さんらしくいてほしい」なんてことは求めないですしね。
――澄海君と心羽君にとってはサポーターということですね。再々婚された当初、2人はどんな様子でしたか。
結婚するときには、すでに夫と子どもは仲良くしていました。私は一緒に遊んでいるときに「子どもたちが自然に会話をしているかどうか」は、よく観察していました。
うちの母は、私たちを育てるときに「子どもを最後まで守るのは、私だ」とずっと言ってくれていました。私も“子どもを守る気持ち”はとても強いです。
本当は全ての大人が子どもに対してそう思ってくれたらいいですよね。大人のみんなが子どもを大事にする世界、命がけで守る世界をつくっていけたら、どんなにいいかって思いますね。
(聞き手・加藤弓子)
※【後編】<土屋アンナ41歳と母・眞弓67歳の絶妙な距離感 「品格があるのに破天荒」「一緒にいると刺激」>に続く。
つちや・あんな/歌手、モデル、女優。1998年にデビューし、モデルとして雑誌やファッションショー、CM、テレビ番組に出演。2004年公開の映画「下妻物語」に出演し、「第28回 日本アカデミー賞」新人俳優賞、助演女優賞、「第47回 ブルーリボン賞」新人賞などを受賞。昨年、4人組のロックバンド「BLVCKPHOENIX」(ブラックフェニックス)を結成し、インディーズ活動も行っている。