
3人の父・庄司智春が語る、子育てで大切にしていること 「僕は子どもたちに嫌われてもいいから、しっかり叱ります」
庄司智春さん
今年、結成30周年を迎えるお笑いコンビ「品川庄司」の庄司智春さん。歌手でタレントの藤本美貴さんとともに、5歳から中学生まで3人のお子さんを育てています。「気づいたことはいいことも悪いことも言葉にして伝える」という庄司さん。父親としてどのように子どもたちと関わっているのでしょうか。※前編<庄司智春が妻・藤本美貴と「マジで結婚してよかった」と言う理由 「ストレートに惜しみなく、お互い愛情表現しています」>より続く
気づいたことはいいことも悪いことも言葉にする
――ご長男は中学2年生。思春期ですが、関わり方など、難しさを感じることはありますか?
ママに対して強めに言っちゃうみたいなところはありますね。それを僕が叱ると素直に受け入れられなくて、不機嫌になるというか。でも僕が中学生のころはそういうとき、「もういい!」って自分の部屋に閉じこもっていたと思うんですよね。それはなく、息子はリビングにずっといるんです。家族の前で不機嫌でいるので、妻から「思春期は自分の部屋に閉じこもるものなんだよ!」とか言われて(笑)。
でも最近は、反抗はしたいのだろうけど、親の話を受け入れようとする態度も感じられるので「前はすごく反抗していたのに、最近はちゃんと受け入れるようになったね」って伝えています。
――息子さんの変化を言葉にして、褒めるんですね。
うちは夫婦ともに細かいことでもちくいち褒めますね。態度の悪さなどを指摘することも多いので、指摘されてばっかりだと子どもたちも「何なんだよ」ってなってしまうので。気づいたことはいいことも悪いことも言葉にするという感じです。
――コミュニケーションをしっかり取られているんですね。
特に息子とは男同士ということもあって、下ネタなんかも話します。息子が小6から中1くらいのとき、学校で聞いて意味がわからなかった下ネタを純粋にママに質問しに行くんですよ。それを妻から聞いて、息子と2人のときに「下ネタのことは、ママじゃなくてとーたんのところに聞きに来い」って言って、ごまかしても仕方ないので聞かれたことは全部教えました。
庄司智春さん Instagram(@tomoharushoji)より
家族の前でわざと下ネタを言うときには「言っちゃいけないことを言うのって楽しいよね。でも人前で言うのは恥ずかしいことなんだよ」って。こんなこと父親がやっていいのかなと思いつつ、息子の耳元でこそっと下ネタを言うこともあります(笑)。そんなコミュニケーションをとることで、何でも話せる関係になれたらいいなって。
子どもたちに嫌われてもいいから叱る
――ミキティさんがテレビなどで話されているエピソードから、庄司さんはしっかり叱るパパという印象があります。
そうですね。僕のことを怖いと思っているかもしれません。例えば息子が妻に「うるせぇ、ばばぁ」って言ったら、妻は「えーすごいじゃん!ばばぁとか言うんだ」みたいに言って、受け流していますが、僕は「ママにそんなこと言うな。朝早く起きて弁当作ってくれているだろ」って、しっかり叱ります。
僕は子どもたちに嫌われてもいいから、社会に出たときに恥ずかしくないようになってほしいと思っているんです。子どもたちにも宣言しています。「うるさいかもしれないけど、言うからね」って。
――特に厳しく言っていることは?
あいさつです。習い事とかで僕や妻が車で送迎をするときには、車に乗ったら「お願いします」降りるときは「ありがとうございました」って言おうね、って。僕も妻が運転するときは、言うようにしています。僕が運転で、子どもが車に乗っても何も言わないときには発車しません。「どうして動かないの?」って言われたら「『お願いします』って聞こえないから動けませんよ」って返しているんです(笑)。
――徹底されていますね。
僕らの時代と違って、今は社会に出ても注意されにくくなっているじゃないですか。上司が部下に「あいさつないよ」って言ったら、イヤな上司だと思われてしまうから言わないとか。だからこそ、うちは家族でしっかりやっていきたいな、っていう気持ちがあるんです。親が教えたところで、どれだけ効果があるかわかりませんが。でもうちの子たちは飲食店に行くと、お店の方に「ごちそうさまでした」って言いますね。そんなときは「いいね、厨房のかたも喜んでいると思うよ!」って、声をかけています。
庄司智春さん Instagram(@tomoharushoji)より
自分がどこまで言うべきか…ひとりで悩むこともある
――ご長女は小4でプレ思春期の年齢ですが、変化は感じますか?
うーん、そこまで感じないですね。娘は何かを指摘されても素直に受け入れて、淡々とやりますね。好奇心が強くて、ギターとか自分のペースで習い事もいろいろやっています。僕もギターを弾くので、一緒にやることもあります。
――3人のきょうだい関係はどうですか?
5歳の次女は自由な子で、みんなでかわいがって、みんなでカバーしてという感じなんですけど、長男と次女がケンカをするんですよね。もうくだらないですよ。お菓子をあげないとか、くれないとか。3人で言い争うこともあるので、そういうときは「1回リビングから出て、3人で話し合ってこい」って言います。まとまったら「僕が譲れなかったのが悪かった」とか「しつこく言っちゃった」とか子どもたちの話を聞いたうえで、「とーたんは、こういうときはこうしてほしいな」って僕の意見も伝えます。
――何でも言葉にして伝えるというのは、お子さんが生まれてからずっと実践されてきたことですか?
自分が子どものころに親に叱られたとき、今はその理由はわかりますが、当時は「なんでこんなことで怒られなきゃいけないんだよ」って思ったこともありました。そのへんのズレがないようにということは考えてきたかもしれません。でも、子どもたちと日々接するなかで、模索している感じですね。今でも言い過ぎたかなとか、いちいち親が言うよりも友だちに教えてもらったほうがいいのかなとか、ひとりで悩むこともあります。
――お子さんたちの将来への思いは?
生まれてきてよかったな、幸せだな、って思ってくれたら、それでいいです。自分もそう思ってるから、僕も母親に伝えたんです。「俺の人生、最高だよ」って。「お母さんが産んでくれたから、いま好きな仕事ができているし、大好きな美貴ちゃんと結婚できて、子どもが3人いて、最高だよ」って。「そんなこと言われたらお母さん、うれしいわ」って幸せそうな顔をしていましたね。
(構成/中寺暁子)
〇品川庄司 庄司智春(しょうじ・ともはる)/1976年生まれ、東京都出身。サラリーマンを経て95年に吉本総合芸能学院東京校(東京NSC)に入学、品川祐とお笑いコンビ「品川庄司」を結成する。テレビのバラエティ番組やお笑いライブで活躍