2018年9月、多くの企業に先駆けて、男性育休の促進に取り組み始めた「積水ハウス」。制度化から6年半を経過したいま、その成果をダイバーシティ推進部の木原淳子さんに聞きました。
【一覧】積水ハウスの育休プロジェクトへの賛同企業・団体はこちらスウェーデンの街で見かけた光景に衝撃を受けて
——男性育休に取り組み始めたきっかけを教えてください。
2018年、仲井嘉浩社長が就任直後にスウェーデンを訪れる機会があったんです。ストックホルムに滞在中、街でベビーカーを押しているのが男親ばかりという光景を目にし、社長は衝撃を受けたそう。聞けば、スウェーデンでは、育休は出産休業と併せて「両親休業」と呼ばれ、子ども一人につき最長480日、そのうち90日ずつが父親、母親それぞれに割り振られ、相手に代わって取得することができないといいます。ジェンダー関係なく育児をするのが当たり前という社会に、社長は深く感銘を受けたそうです。
当社のグローバルビジョンは、“「わが家」を世界一幸せな場所にする”。そのためにはまず従業員とその家族が幸せでなければならない。家族の幸せを支える男性育休の取り組みこそ、当社にマッチするのでは、と思った社長は、帰国後、すぐに制度化に着手しました。
スウェーデン出張が5月、社内外への告知が7月、そして9月には制度がスタート。当社でも異例のスピード感でしたね。
——そこで生まれたのが、男性に育児参加を促す「イクメン休業」制度(現在は「特別育児休業制度」)ですね。
3歳未満の子を持つ従業員を対象に、 1か月の育休を推奨としました。それまで、当社の男性育休取得率は95%。ただし平均取得日数はたった「2日」と、恥ずかしながら男性の家事・育児参画とはほど遠いというのが実情でした。
建設業界は男性が多いイメージがあると思いますが、当社も社員の7割以上が男性で、営業職も多い。制度を検討するにあたって、全国の支店にヒアリングしたところ、「トップセールスが3か月も休んでしまっては、営業目標の達成が厳しくなる」という声がありました。しかし、1週間や2週間では育児家事を担うことができないのではないか、ということでひとまず“1か月の取得推奨”に落ち着いたんです。経済的不安を払拭してもらうため、最初の1か月は有休としました。
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