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消費の主役は「50歳以上」に 「若者志向」の企業は滅ぶ?
首藤由之 首藤由之
消費の主役は「50歳以上」に 「若者志向」の企業は滅ぶ?
パナソニックセンター大阪で展示されている、介護を想定したリフォーム「バリアフリー・ヴィラ」=パナソニック提供 (週刊朝日2019年4月26日号より)  今や日本人の半数が50歳以上。これからはお金も時間もある“大人女子・男子”が消費の主役になる。しかし、多くの企業がその流れに乗っているわけではない。「若者志向」がいまだに根強いというのだ。 *  *  *  JR大阪駅に直結する大規模商業施設「グランフロント大阪」。年間数千万人が来場する梅田の「新名所」に、パナソニックはユニークなリフォームのショールームを展開している。 「パナソニックセンター大阪」と名付けられた、ショールームのコンセプトは「Re‐Life Story」。2017年夏のリニューアル以来、「55歳」をコアターゲットに、新しい生き方・暮らし方を提案している。  ショールームの枡田卓史氏が言う。 「対象年齢でわかるように、子供が独立して2人の生活に戻ったご夫婦を想定しています。部屋が自由になることで、その空間を利用してリフォームができます。さまざまなご希望を考えて、それぞれに『物語』が付いたプランを提供しています」  音楽が趣味で、最高級のスピーカーやオーディオ機器を備えた音楽鑑賞専用の部屋を作る「音楽のない人生なんて」。夫婦で古民家風の空間を楽しめる「夢の古民家ライフ」……。  用意された物語は111にも上り、そのうち厳選された12の物語が実際にモデルルームとして展示されている。 「移住をテーマにした『淡路島や琵琶湖でプチ隠居』や、親の介護を想定、負担が少なくなるように細部までこだわった『バリアフリー・ヴィラ』などが人気です」(枡田氏)  50代以上の消費に詳しい博報堂「新しい大人文化研究所」(新大人研)の阪本節郎所長によると、 「この世代のリフォームと言うと、『老後の暮らし』や『終(つい)の住処(すみか)』がこれまでテーマになってきましたが、そうではなく『もっと人生を楽しく』と提案し、生活者をワクワクさせるものこそが新しい消費を生みます」  それからすると、このショールームからはまさに新しい消費が生まれる可能性がある。  阪本所長は日本の消費構造が今、劇的に変化しつつあるとみる。少子高齢化に合わせて年代別の人口構成が激変するからだ。  日本の人口を「50歳以上」と「50歳未満」の二つに分けて、それぞれのシェアを比較すると、高齢化が進み、現在、ちょうど二つが半々になっている。高齢化はこの先も止まらないから、この先は「50歳以上」のシェアが増えるばかりとなる。2060年に向けて約6割まで上昇し、それは約100年後の2110年でも変わらない。 「私は50代以上を大人世代と呼んでいますが、モノを買うボリュームゾーンは大人世代という時代が、もうそこまで迫っています」  となると、企業も人口構成の変化に対応して、ビジネスの形態を変えていく必要がある。しかし、パナソニックのように大人世代向けの試みをしている企業が多いかというと、必ずしもそうでもない。  例えば旅行業界。京都を訪れる日本人観光客のうち約4割が50代以上の女性だ。子育てを終えて自由になった、これら大人女子たちが京都や金沢などへ大勢出かけていることは、昨年、本誌で報じた(18年11月16日号)。  しかし、旅行業界に詳しいマーケッターはこう嘆く。 「さらに大人女子に旅行を売り込んでいこうとする姿勢は、業界全体では感じられません。PRで力を入れているのは、相変わらず30代シングル女性向けのものが多い」  世代・トレンド評論家の牛窪恵さんは、大人世代全体へのPR不足を指摘する。 「不十分でもったいないと思います。これまでの10年はじぃじ・ばぁばが孫のためにモノを買う3世代消費が牽引してきました。これからの10年は、大人女子が消費を牽引していくと見ていますから」  要は企業や業界側のアピール不足で、「売り損じ」をしている可能性があるのだ。  牛窪さんによると、開業する都心の商業施設などに大人女子の新しいコンセプトを提案しても、施設側はなかなか言うことを聞かないという。 「平日の昼間は働いていると繁華街のお店に行きにくい。これだけ共働きが増えると、その時間帯に来店できるのは大人女子ぐらいです。となると、そこを狙った店づくりやコンテンツが必要になるのに、見栄えなどから、すぐ『若向きのほうがいい』となってしまいます」  かつては20代が圧倒的に多く、トレンドはすべて若者発で、若者を見ていさえすれば流行についていける時代が続いた。さすがに最近は「30~40代」が主力ターゲットになってきているが、それでも「若者志向」は企業現場に根強く残っているという。  企業のPRに詳しいマーケティング関係者が言う。 「どこまでも30~40代ターゲットを変えない企業が多いですね。大人世代が買っているとなると、『シニア商品』に位置づけされてしまうと恐れているのでしょう。調査で圧倒的に大人世代に売れている結果が出ても、対外的には封印されてしまいます」  PRすることの効果自体を疑う見方も強い。大人世代は「消費者としては終わった人」という意識があるからだ。 「人口構成の変化は企業も認識しているので、シニア対策が必要であることもわかっているのです。でも、いざ具体策が出てくると、『もう終わった層にお金を投入してどうする』という反対意見が出てきます」(同)  揚げ句の果ては、黙っていても売れるので積極的なPRは必要ないとなる。 「博物館や美術館が典型です。これらの企画展を支えているのは圧倒的に金も時間もある大人世代ですが、主催者は来てくれない若者たちを呼ぶことにお金を使いたがる傾向があります」(同)  いずれにしても、大人世代は多くの企業から「軽視」ないしは「放置」されているようだ。しかし、これでは企業側に認識不足があると言われてもしかたがない。一大消費者集団に育った大人世代は、今後は新たなトレンドセッターになる可能性があるからだ。(本誌・首藤由之) ※週刊朝日  2019年4月26日号より抜粋
週刊朝日 2019/04/22 07:00
オーガスタ初の女性大会で3位! 丸山茂樹が18歳、安田祐香を祝福
丸山茂樹 丸山茂樹
オーガスタ初の女性大会で3位! 丸山茂樹が18歳、安田祐香を祝福
丸山茂樹(まるやま・しげき)/1969年9月12日、千葉県市川市生まれ。日本ツアー通算10賞。2000年から米ツアーに本格参戦し、3勝。02年に伊澤利光プロとのコンビでEMCゴルフワールドカップを制した。リオ五輪に続き東京五輪でもゴルフ日本代表ヘッドコーチを務める こんな幸せな日はないねっ (Getty Images)  プロゴルファーの丸山茂樹氏は、「マスターズ」が開催されるオーガスタ・ナショナルGCで初めて女子大会が行なわれたことに触れた。 *  *  *  米PGAツアーの「バレロ・テキサス・オープン」(4月4~7日、米テキサス州サンアントニオのTPCサンアントニオAT&Tオークスコース)で、カナダの27歳、コーリー・コナーズがツアー初優勝を飾りました。  この優勝で驚きなのは、コナーズは主催者推薦選考会(マンデートーナメント)を通過して出場権を得た選手だったんです。奥さんと抱き合って大喜びする気持ちも、ほんとによく分かります。  彼は2017~18年シーズンのフェデックスランキングが130位で、今シーズンは限られた試合にしか出場権を得られなかったんです。それがこの優勝のおかげでフルシード権が手に入ったし、マスターズ(4月11~14日、米ジョージア州オーガスタのオーガスタ・ナショナルGC)の出場権までゲットしちゃいました!  コナーズは「もうマンデートーナメントに出なくていいんだ! 夢がかなった。月曜日にストレスがたまることはもうないぞ」って言ったそうですね。何ていうか、宝くじに当たったような気分なんでしょう。でも、こんなチャンスを生かせたってのは、何か持ってるんだと思いますよ。ここで、PGAの椅子をしっかりと確保してもらいたいですね。  ほんとに椅子取りゲームなんですよね。125席あるシードという名の椅子をキープできるかどうか。ともかくその順位以内にいられるように。2勝目、3勝目とつかんでほしいと思います。  さて「オーガスタ・ナショナル女子アマチュア選手権」(4月3~6日)で日本の18歳、安田祐香さん(兵庫・大手前大1年)が3位に入りました。新しくできた大会で、72人が参加しました。2日間の予選を通過した30人は「夢の舞台」での決勝に臨んだんです。「マスターズ」が開催されるオーガスタ・ナショナルGCですよ!  1930年代にオープンして以来、初の女性の大会でした。かつては男性しかメンバーになれないゴルフ場で、12年に初めて女性がメンバーに入った経緯があるんです。僕はオーガスタ・ナショナルで女性が試合をするなんて夢にも思わなかったという世代ですね。いろんな時代の流れで女性の試合ができたというのは、すごくいいことじゃないですか? 僕はゴルフ場に女性が入れないからって差別だとか思ったことはないんですけど、何せそういう話題性のあることをオーガスタがしたってのは、時代だなあと思いますね。  マスターズの詳細は締め切りの関係があって来週号でお伝えしますけど、7年ぶりに日本のアマチュア選手として出た金谷(かなや)拓実君(東北福祉大3年)が、開幕3日前の公式記者会見に呼ばれて、英語であいさつしたんですね。よく頑張りましたねえ。自分をアピールするのに、すごくいいことだと思います。そういう勇気って大事ですからね。  金谷君は「アジア・パシフィック・アマチュア選手権」で優勝して出場を決めたんです。狭きスポットですからね。そういう経験をできるってのは、彼にとって大きな一ページじゃないかなと思いますね。松山英樹に続けじゃないですけど、いい結果が出たかなあ。 ※週刊朝日  2019年4月26日号
丸山茂樹
週刊朝日 2019/04/21 07:00
蔦屋書店、カーブス…50代以上「大人世代向けビジネス」に商機あり!
首藤由之 首藤由之
蔦屋書店、カーブス…50代以上「大人世代向けビジネス」に商機あり!
フィットネスチェーン「カーブス」におけるトレーニングのイメージ=同社提供 「代官山 蔦屋書店」の店内。アルコールも飲めるカフェがあり、座って本を読むことができる (週刊朝日2019年4月26日号より)  消費構造は今、劇的な変化が起き始めている。日本人の人口に占める50歳以上の割合は半数になり、消費の主役は“大人女子・男子”になる。その証拠に「大人世代向けビジネス」の成功例は積み上がりつつある。  東京・代官山。おしゃれなブティックや高級レストランが並ぶ一角に「代官山蔦屋書店」はある。平日で約2万人、休日には倍の約4万人が来店する。この超人気書店が実は50~60代向けに構想が練られ、そのコンセプトは今でも守られていることをご存じだろうか。  カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が展開する「TSUTAYA」は、主に20~30代をターゲットにしてきた。しかし、今後の人口構成の変化に気づいた増田宗昭・最高経営責任者(CEO)が、生き残りに危機感を抱き、50~60代向けの店づくりを決断した。 「代官山 蔦屋書店」の土門泰人店長が言う。 「これまでの成功体験を一度リセットして、ゼロベースで店づくりを考え直しました」  特徴は次の3点。(1)ブック・カフェ(2)ライフスタイル別陳列(3)コンシェルジュの配置。  (1)は2003年に「TSUTAYA TOKYO ROPPONGI」において日本で初めて導入されたCCCお得意の方式。店内にスターバックスを入れ、あちこちにイスを置き、コーヒーを飲みながら本の座り読みができる。  大胆に行われたのが(2)だろう。単行本や新書、文庫など形態別に本を並べる従来型ではなく、ライフスタイルごとの陳列だ。しかも扱う書籍を「人文・文学」「アート」「料理」「旅行」など6分野に絞った。そして、CCCが大切にしている「ライフスタイルの提案」を実践するため、分野ごとにコンシェルジュを置いた。顧客の希望に応じて本を提案したり、イベントを企画したりする。  ジャンル別の品ぞろえは、例えば料理だとちょっとした調理道具や食材にまで及ぶ。50代以上の消費に詳しい博報堂「新しい大人文化研究所」(新大人研)の阪本節郎所長は、 「大人世代は趣味を極めていく傾向があるが、そんな人が来ても十分楽しめるお店が求められている」  というから、蔦屋書店はワクワク感が得られそうだ。  低層の建物が並ぶ、ゆったりとした配置。中央棟の2階にはアルコールも飲めるカフェがあり、洗練されている。特筆すべきは、そんなおしゃれな空間に引き寄せられて、50~60代だけでなく、すべての世代がやってくることだろう。 「11年暮れにオープンすると、若い人たちがブログなどで『すごい所ができた』『こんなの見たことない』などと書き込んでくれて、アッという間に今のような来客ぶりになりました。今は人数で一番多いのは40代のお客さまです」(土門店長)  大人世代向けの素敵な店にすれば、下の世代も憧れてやってくるのだ。これこそ大人世代からのトレンド発信。これからはこうした現象が相次ぐ可能性がある。  世代・トレンド評論家の牛窪恵さんは、企業側に大きな誤解があると言う。 「企業マンと接していると、彼らは大人世代が増えても従来型のおじいさん、おばあさんが増えるだけと思っているように感じます。企業幹部の男性が『大人女子』として想定するのは『ふだん着』の自分の奥さん。『奥さんが友達と出かける時にどれほどおしゃれするか見てください』と言っても、聞く耳持たずです。奥さんの家の中の姿だけを基準に、『大人女子はいつも同じ服を着る』『お金も使わない』となってしまいます」  あるメーカーの女性社員が、大人女子の世代の意識を探ろうと、詳しいリサーチプロジェクトを立ち上げ、牛窪さんの会社に調査を依頼したことがあった。 「その女性社員は『大人女子がカッコいいクルマを選ぶ時代が来る』と思っていて、かなりお金もかけたプロジェクトだったのですが、結局、1年で中断になりました。幹部社員の『女性はクルマにこだわりがない』という一言で、終わったそうです」  企業側の人員構成も影響している。大企業の実務の中核を担うのは30~40代の中堅。彼らに大人世代のことを考えろと言っても実感がわかない。 「この面からも大人世代は放置されることになります。せっかく大人世代向けビジネスで成功の芽が出ているのに、担当者が代わると30~40代向けに方針を変えて、つぶしてしまうのをよく見ます」(マーケティング関係者)  企業の「迷走」をよそに、大人世代向けビジネスの成功事例はどんどん積み上がっている。  旅行業界は30代向けにPRしているが、もちろん例外はある。  JR九州のクルーズトレイン「ななつ星 in 九州」。「特定の世代を狙ったものではない」(広報)とするが、13年秋の開業以来、乗客の平均年齢は61歳で50代以上が約73%を占める。  事前の電話での打ち合わせは食事のアレルギーに始まり、旅の途中で聴きたい思い出の音楽や同行者へのサプライズの「演出」など詳細を極める。出発前にはウェルカムセレモニーがあり、車内ではおしゃれを楽しむドレスコードも……。まさに「ワクワク感」の塊だ。利用者の満足度が高いことは、「リピートして乗車される方も少なくない。5年経っても、なお毎回抽選が続いている」(広報)ことからもわかる。  旅行業界では、この分野の老舗といえる「クラブツーリズム」。1980年代から年配層を対象に、趣味をキーワードにした「テーマ旅行」を展開して好評だ。  17回に分けて周辺を1周する「富士山すそ野ぐるり一周ウォーク」、街道を進む「東海道五十三次を歩く」など名企画が目白押し。トヨタ自動車の工場見学をセットにしたツアーの成功で始まった、「大人の社会科見学」も有名だ。 「代官山 蔦屋書店」のところでも触れたが、大人世代は趣味を深める傾向がある。 「趣味の多様さ、深さに対応するため、たくさんのツアーをご用意しています。『多品種』がウチのテーマ旅行の特徴です」(クラブツーリズム広報)  ここまでは自らが進んで動く消費者が相手だが、「動かない層」の集客に成功した企業もある。50代以上の女性を中心に30分でできる健康体操教室を開いているフィットネスチェーン「カーブス」だ。  アメリカ発で05年から日本でも展開し始め、現在は1900店舗を誇る。「買い物ついでに気軽にでき、筋力運動を中心に続ければ効果が出る」が基本コンセプト。対象にするのは「運動が苦手、でも健康のために何かをしたい」と思っている女性たちだ。戦略企画部の安川竜太郎マネジャーが言う。 「来ていただくのが一番難しいとされる人たちですが、彼女たちも友達が通っていて成果が出ていると気になるようです。そして、『あなたも行ったら』がきっかけになったりします」  そう、カーブスの拡大は「口コミ」に支えられているのだ。そして、 「膝が悪い人に、『海外旅行を再開できるように頑張りましょう』といったワクワクする目標を立てられれば、続けていただきやすくなります」(安川マネジャー)  やはり「ワクワク感」は大人世代向けビジネスのキーワードのようだ。  先の博報堂「新大人研」の阪本所長は、消費にとって決定的な変化が5、6年先に来ると予想している。 「そのころ団塊の世代に次ぐ人口の大きな塊である『団塊ジュニア』が50代に入ります。大人世代を牽引する団塊と、その子供である団塊ジュニアが同じカテゴリーに入るんです。50代以上が主流になる決定的要因になると思います」  まさに大人世代がモノを買う大きな集団になるのだ。若者志向だけでは先細りし、行き詰まってしまうだろう。大人世代への目配りを始めない企業は、もう遅れを取り戻せないかもしれない。(本誌・首藤由之) ※週刊朝日  2019年4月26日号
週刊朝日 2019/04/20 08:00
これからお金もうけできる仕事って? 読書で解決するお金の疑問
これからお金もうけできる仕事って? 読書で解決するお金の疑問
将来の仕事はどうなるのか、疑問はたくさん(写真:iStock)  子どもが時々発する仕事やお金にまつわる疑問。中には親がちょっと答えに困ってしまうこともありませんか? 「AERA with Kids春号」(朝日新聞出版刊)ではそんな子どもの疑問を本の専門家に答えてもらい、解決の糸口になりそうな本を選んでもらいました。 *  *  * 【疑問(1)】  これからお金もうけできる仕事はなんですか?(11歳女子) 【お答え】  キミが言うように、仕事選びはお金に直接影響します。  お給料が高いか低いかは、その業界がいくら稼げるかに左右されるからです。ただ問題なのは、その「稼げる業界」が時代によって変わってしまうこと。  20年前、一番給料が高かったのは日本興業銀行でしたが、今は日本M&Aセンター(会社の売買をするお仕事)です。  実は、お給料を決める要素は三つあって、まずその業界がいくら稼げるか、次にあなたがどれだけのスキルを持っているか、最後にどれだけの人脈を持っているかです。  これから稼げる業界を知りたいなら、『10年後の仕事図鑑』(著者:落合陽一、堀江隆文、SBクリエイティブ刊)が役に立つでしょう。  本書では、これからの社会・経済の変化、そしてAIによって「消える職業」「生まれる職業」などを含め、50近くの職業の未来を予言しています。ドローンやショービジネス、ロボット、予防医療、観光業、AI、音声認識技術など、これから伸びるビジネスが何なのか、一目瞭然です。  自分のスキル、人脈を広げたいなら、日本最大級の美容室チェーン、EARTHの取締役が書いた『年収1億円になる人の習慣』(著者:山下誠司、ダイヤモンド社刊)が役に立つでしょう。平社員から始め、31歳で年収1億円を達成した著者が、誰でもできるけれど、誰もやっていない年収1億円を実現する習慣を説いています。  年収1億円の人は、  1.60円の生たまご1個を注文するかどうかで15秒も悩む(EARTH 國分利治氏)  2.早起きをする(CoCo壱番屋創業者 宗次徳二氏)  3.「他人のため」に頑張る  4.年収1千万円の協力者を10人つくる  などを実行しているといいます。ちょっと笑っちゃうような内容もありますが、勉強になります。今は、業界や会社が不安定な時代ですから、大事なのは、お金もうけできる仕事を探すよりも、お金もうけできるあなたになること。ぜひこの2冊を読んで、お金の不安がない人生を歩んでください。 【疑問(2)】  どんな資格が自分に合うのかどうしたらわかりますか?(16歳女子) 【お答え】  資格といっても難関国家資格から、民間企業がやっている何の保証もないものまで、ピンキリです。資格は、自分の希少性を高めるもので、それが価格(給与)に反映しなければ意味がないのです。  そこで参考になるのが、ベストセラー『日本の給料&職業図鑑』(著者:給料BANK 宝島社刊)です。  WEBプロデューサーやシステムエンジニアなどのIT系職業、弁護士・ 税理士・行政書士などの士業、コンサルティング系職業など、計8分類で職業をまとめてあり、医師に関しては、外科医、内科医、産婦人科医など、専門別に給与の違いがまとめられています。  ゲーム攻略本のテイストで作られており、イラストが鎧を着た騎士だったり 、職業のひと言紹介がユーモラスだったり、友達と一緒に読んでも盛り上がること間違いなし。  これによると、資格の花形である弁護士の平均給与は月64万円。年代別では、20代48万円、30代66万円、40代78万円。独立した場合は、弁護士会の会費負担が重く、最高で110万円かかるなど、厳しい現実まで書かれています。 「AERA with Kids 春号」では、そのほかにも、「どうすれば出世できるの?」「税金は払わなきゃいけないの?」など、仕事やお金に関する質問に答えてもらっています。子どもの素朴な疑問に答えてくれる本は、読書の恰好の入口になるかもしれません。参考にしてみてください。 ■答えてくれた人 土井英司さん アマゾンの日本サイト立ち上げにも参画した本の目利き。書評家。出版コンサルティング会社エリエス・ブック・コンサルティング社長。世界でシリーズ1100万部を突破した『人生がときめく片づけの魔法』のプロデューサーでもある。
AERAwithKids朝日新聞出版の本読書
AERA with Kids+ 2019/04/19 11:30
今年の医学部入試の動向は? 合格者数No.1は12年連続であの名門
今年の医学部入試の動向は? 合格者数No.1は12年連続であの名門
東海高校 (撮影/庄村敦子) 2019年 国公立大医学科合格者数トップ30 (週刊朝日2019年4月26日号より)  医師になれば高収入が保証され将来は安泰。こうした考えから医学部医学科は近年狭き門になっている。超難関の国公立大の合格者数トップ30をもとに、強い高校をまとめた。私立大を含めて分析すると、今年は女子や多浪生の合格が目立つ。不正入試が相次いで発覚し、これまで差別されていた人たちが正しく評価されたようだ。 *  *  *  国公立大医学部医学科に合格するには、センター試験で9割ほどの得点が必要とされ、優秀な受験生同士の激戦となる。多くの合格者を出せば、高校にとって実績をアピールできる。  合格者数ランキングでは、名門進学校がずらりと並ぶ。すべての高校が、東大と京大にも合格者がいる。  トップは12年連続で東海。唯一3桁の合格者を出し、医学部志望者が集まる高校として知られる。特徴的な行事として、2002年から、生徒が主催する市民公開講座「サタデープログラム」を開催している。 「講座の企画や運営などは基本的に実行委員が行い、生徒の自主性を育てています。愛知県は医学部人気が高く、医師の子どもが多いことから、結果的に医学部志望が多い」(紺野一弘学習指導部長)  2位は灘。卒業生数が東海の半分ほどのため人数では及ばないが、生徒の優秀さは断トツ。最難関の東大理IIIに21人、京大医学部に26人が合格し、国公立大医学部と東大・京大の合格者(浪人も含む)を卒業生数で割った「占有率」は7割を超える。生徒の3人に2人ほどが、医学部か東大・京大に進むエリート校だ。 「今年は理系のほぼ半数が医学部志望。浪人しても東大や京大の医学部を目指す生徒が多かったのですが、数年前からは臨床医になるなら関西の国公立大医学部を志望する生徒も増えています」(和田孫博校長)  同校では、中2から高2を対象にした土曜講座を年6回実施。講師は同校の教員や卒業生が務める。  3位は洛南。06年に男女共学になり志望者が増えたという。 「志望者の約4割が女子。高2の夏は全員、高3の夏は希望者を対象に6泊7日の高野山合宿をします。高3の冬は自主学習トレーニング合宿とセンター練習会を行います。保護者会や面談、講習などが多く面倒見のいい学校だと思います」(渉外部の杉山浩之教諭)  4位はラ・サール。3年生の志望割合は東大が約35%、京大約5%、九大が約15%なのに対し、国公立大医学部は約40%。寮があるため全国から成績優秀な生徒が集まる。 「中学の新入生199人のうち寮に入ったのは146人。首都圏から20人、関西圏から4人、中部圏から11人が入学しました。中学生の寮は学年をまぜた8人部屋なので、自然にコミュニケーション能力が身につきます。高1と高2は個室で高3になると下宿します」(谷口哲生副校長)  5位は甲陽学院。東大の理IIIに1人、京大の医学部に6人が合格した。 「数年前は、文系にも適性があって東大の文類に行きそうな生徒でも、成績がいいという理由で医学部を目指すことがありました。今春の卒業生は、理系のトップ層でも理学系に行きたい生徒は京大理学部、工学系なら東大理Iというように、医学部一辺倒の傾向は変わってきたと思います」(杉山恭史進学資料室長)  関西圏は医師のステータスが高く、大学の選択肢も豊富だ。トップ5に3校、6位以下にも東大寺学園、大阪星光学院、洛星など私立の名門校が入る。13位の四天王寺は中高一貫の女子校で、14年度に「医志コース」を中学に設置した。  これに対し首都圏では、東京や千葉、神奈川にある国公立大医学部は難易度が非常に高く、私大医学部が第1志望の生徒も多い。  地域別にみると、九州・沖縄では全8県に国立大医学部があるうえ、福岡には三つの私大もあり、医学部進学熱は高い。ラ・サール、7位の久留米大附設や10位の昭和薬科大附のほか、熊本、大分上野丘、鶴丸がランクインした。  愛知県には名古屋大と名古屋市立大に加え、二つの私大がある。トップの東海をはじめ、17位に旭丘、23位に滝、南山が入った。  こうした多数の合格者を出す高校には、いくつか特徴がある。すべて中高一貫校だ。駿台教育研究所の石原賢一・進学情報事業部長はこう指摘する。 「教育熱心な家庭が中学受験をさせています。中高一貫校は授業の進度が速いため、大学入試では有利です。医師の子どもも多く通っていて、医師の志望者が多いことも、合格者が多い要因のひとつです」  公立では各地域のトップ校が健闘している。公立トップは7位の札幌南。56人の合格者のうち52人が北大、札幌医科大、旭川医科大に合格した。 「毎年、理系の約3分の1から4分の1が目指します。札幌医科大と旭川医科大の医師を招いた『医学部医学科研究会』もあり、面接指導、小論文添削指導も丁寧に行っています」(高桑知哉進路部長)  北海道勢では北嶺も27位。18年度から「北嶺メディカルスクール」をスタートした。心臓手術の模擬などをする「ブラックジャックセミナー」、離島の診療所を訪問する「Dr.コトーキャンプ」、へき地の医療研修「赤ひげツアー」などが体験できる。 「毎月、医師を招いて講演会をしています。希望者に様々な研修をして、医師としての資質を育んでいます」(谷地田穣校長)  18位の仙台第二は医師の心構えを育てるプログラム「医進会」を10年度から始め、病院見学もする。  このような志望者向けコースやプログラムを用意しているところは増えている。トップ30には入っていないが、公立では戸山(東京)、新潟(新潟)、修猷館(福岡)、私立では江戸川学園取手(茨城)、広尾学園(東京)、開智(埼玉)、川崎医科大附(岡山)などがある。  ラ・サールのように寮があるところも特徴的だ。北嶺、洛南、久留米大附設、愛光、白陵、西大和学園など。規則正しく生活し、勉強の習慣や協調性も身につくという。  ここまでは国公立大に強い高校を見てきた。ここからは、私大を含め今年の医学部入試を分析する。  昨年夏に東京医科大の不正入試が発覚。その後、文部科学省は10大学が女子や浪人を重ねる多浪生などを不利に扱う“不適切入試”をしていたと指摘した。  合格者の男女比率や現浪比率などが公表されるのはこれからだが、高校や予備校関係者らは「女子や多浪生の合格者は間違いなく増えている」と断言する。深刻だった差別が、やっと見直され始めたようだ。  医歯薬専門校舎の駿台予備学校お茶の水8号館の田尾浩子校舎長はこう語る。 「今年は明らかに女子と多浪生の合格が増えました。また男女とも、不合格からの繰り上げも含み、繰り上げ合格者が増えています」  全国に27校を展開する医学部専門予備校のメディカルラボでも、合格者を前年と比べると、女子は1.2倍、多浪生は1.4倍ほど増えた。本部教務統括の可児良友さんは、「女子や多浪生への不公平な扱いが少なくなり、公平性が高まったと思います」と話す。  繰り上げ合格者の数が増えた理由をこう推測する。 「昨年までのデータが当てにならないので、現役や1浪の男子が不安感から例年より受験校の数を増やしたのではないでしょうか。再来年から大学入学共通テストが導入されるので、その前に確実に合格しようと、男女とも成績上位層が受験校数を増やしたことも関係したと思います。国公立大の志願者も、複数の私立大に併願している事例が目立ちました」(可児さん)  医学部予備校メディカでも、5浪の男女をはじめ複数の多浪生が合格した。 「諦めずに頑張ってきた生徒が報われる入試となりました。女子の合格も増え、差別がなくなったように思います。例年より私立の受験校を増やし、10校以上受ける生徒も多かった。3月下旬の繰り上げ合格ラッシュはほとんどが女子で、昨年までは考えられない現象でした」(亀井孝祥代表)  また、ある有名進学校出身で15年以上浪人した卒業生が合格した例もある。 「今後別の形で差別が復活する懸念はありますが、今年度の入試は前年度に比べて公正なものになったと思います」(進学校の教諭)  繰り上げ合格は国公立大でも出ている。前出の石原さんは、私立を選ぶ理由をこう解説する。 「富裕層の家庭では、地方の国公立と自宅から通える私立の両方に合格すると、後者を選ぶケースが増えているからです。首都圏では、国際医療福祉大、順天堂大、慶應義塾大など比較的学費が安いところもあります。私立でも通わせるサラリーマン家庭もいます」  目指す人にとって今はチャンスだ。 「18歳人口は減少しているのに、医学部の入学定員はこの10年で1800人ぐらい増えました。景気回復に伴い、理系よりも文系の人気が高まっています。諦めずにチャレンジしましょう」(石原さん)  もちろん合格してからも気は抜けない。多浪生については、これまで留年しやすく国家試験にも受かりにくいとの見方があった。入試が見直されつかんだチャンスを生かせるのか、今後真価が問われるので、勉学に励んでほしい。(庄村敦子) ※週刊朝日  2019年4月26日号
大学入試
週刊朝日 2019/04/17 08:00
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藤巻健史 藤巻健史
なぜ5年も前に新紙幣を発表? フジマキが不安に思うこと
藤巻健史(ふじまき・たけし)/1950年、東京都生まれ。モルガン銀行東京支店長などを務めた。2013年7月の参院選で初当選。主な著書に「吹けば飛ぶよな日本経済」(朝日新聞出版)、新著「日銀破綻」(幻冬舎)も発売中 新しい1万円札のイメージ。肖像は福沢諭吉から「日本の資本主義の父」とされる渋沢栄一になる=財務省のホームページから “伝説のディーラー”と呼ばれた藤巻健史氏は、紙幣の刷新に不安を感じていると話す。 *  *  *  私は東京・四谷の雙葉の幼稚園出身だ。皇后も在学された雙葉は女子の名門だが、幼稚園だけ男子4人の入学が許される(当時)。女子はそのまま小学校へ進学し、男子だけが外に出される。男子4人にとって、女子26人に囲まれた時代だった。2クラスで男子は計8人で、私は伊藤君や岩倉君をいじめたことがあった。50歳のときの同窓会で初めて知ったのだが、岩倉君は岩倉具視の、伊藤君は伊藤博文のひ孫。先祖が紙幣の肖像になる方たちだったのだ。というわけで、「世が世なら大変なことになっていた~」とつくづく思ったものである。 ★   ★  日本のキャッシュレス化は世界に比べて非常に遅れている。政府もやっと重い腰を上げて、キャッシュレス化を進めようとしている。中国人を先頭に進んだ国々から来る外国人旅行客をとりこむためとか、現金を取り扱うコストと時間を削るためとか、いろんな理由が挙げられている。  たしかに商店主らが毎日、銀行に出向いて小銭を預金したり、両替をしたりする労力は馬鹿にならない。私も年末に銀行窓口で長時間待たされ、へきえきした。日本銀行が現金取り扱いの事務にかけるコストも膨大だ。  しかし、キャッシュレス化を進める最大の理由は、日銀が政府の「紙幣印刷所」に過ぎない現在の位置から、本来の中央銀行としての機能を取り戻すためだと思っている。正確に言うと、日銀は紙幣を直接刷るのではなく、国立印刷局に刷ってもらい、それを引き受けて発行しているのだが。  だから、キャッシュレス化は非常に重要だとの内容を、いつかこのコラムで書こうと思っていた。その矢先、4月9日、突然、紙幣の刷新が発表された。2千円札はそのままに、1万円札、5千円札、千円札のデザインを一新するというのだ。  エ、エ、エ? キャッシュレス化を進めるなら、1万円札、5千円札の発行を中止したほうがいいと、私はかねて主張してきた。なぜ、いまこのタイミングで新紙幣の発表なのか。ハイパーインフレで円の信頼性が暴落したときの準備を、政府が始めたのではないかと私は勘ぐってしまう。  このコラムを読まれている方はご存じかと思うが、ここまで事態を放置してしまった以上、日銀や円の信用失墜は必至だと私は思っている。その対処法は「新券発行&預金封鎖」か「日銀廃止&新中央銀行創設」だろう。  ただ新券発行といっても、1946年のときでも印刷が間に合わず当初は証紙を貼ってしのいだとされる。当時と違い、今の情報化社会では新紙幣を秘密裏に刷るのは不可能なので、どうするのだろうと思っていた。そこでこのニュースの出現だ。そうか、この手があったのか。  前回は刷新する2年前の発表だったのに今回は5年も前。いつ危機が来ても十分な新券はそろう。麻生太郎財務相は、前回、発表から刷新まで時間が短かったことについて、「あのときは偽造紙幣がけっこう増えていたので急がなければならなかった」と説明しているが……。  紙幣刷新への不安を感じるのは私だけだろうか? 勘ぐりすぎだったと将来言えることを、切に願う。 ※週刊朝日  2019年4月26日号
藤巻健史
週刊朝日 2019/04/17 07:00
作家になったのは飼い犬・トミのおかげ? 平岩弓枝が明かす
作家になったのは飼い犬・トミのおかげ? 平岩弓枝が明かす
平岩弓枝(ひらいわ・ゆみえ)/1932年、東京・渋谷区出身。日本女子大学国文学科卒業後、小説家を志し、作家・戸川幸夫、長谷川伸に師事。27歳のとき、小説『鏨師(たがねし)』で第41回直木賞を受賞。以来、多くの小説やテレビドラマの脚本を執筆。吉川英治文学賞、紫綬褒章、文化功労者、文化勲章など多数の受賞歴を誇る。文学勉強会・新鷹会理事長でもある (撮影/写真部・小山幸佑) 平岩弓枝さん (撮影/写真部・小山幸佑)  もし、あのとき別の選択をしていたなら──。著名人に人生の岐路に立ち返ってもらう「もう一つの自分史」。今回は直木賞作家の平岩弓枝さんです。「旅路」(NHK)や「ありがとう」(TBS)など、テレビドラマの脚本も数多く手がけてきました。人間を見つめ続ける視座はどこで養われたのでしょうか。影響を及ぼした経験を振り返ります。 *  *  *  生まれも育ちも代々木八幡宮(東京都渋谷区)。宮司だった父に溺愛されて育ちました。鎌倉時代から続く神社の一人娘ですから、特殊な環境だったことは間違いないですね。周囲は大人ばかりだし、家は小高い山の上で境内にある。親友は、氏子総代の方が譲ってくださったトミっていう名前のメス犬。それはそれはかわいかったですね。 ――実は、平岩を作家に導いたのはそのトミだという。まず、作家の原点の、トミとの思い出を振り返ろう。  今、代々木八幡駅があるあたりは、当時は材木置き場でね。その向こうの踏切を渡って、富谷小学校に通っていました。でも、学校がつまらなくて。何しろ父が、学校で教えるようなことは全部、先回りして教えちゃってたんです。  早く帰りたくて、おなかが痛いってうそついてた。でも、まっすぐ帰ったらばれちゃうから、材木置き場に座って、お昼のサイレンを待つんです。そしたらトミがね、トコトコと走ってきて、私の隣に座るんですよ。どうして私が早退してるのがわかったのか、不思議でなりません。  トミは意気揚々と私の後ろをついて歩いて、石段まで来ると一気に上まで駆け上がるんです。そこから先は目撃談なんですけど、トミはまっすぐ犬小屋へ入って、さも「今まで寝てましたよ」っていうふうに、あくびしながら出てくるんですって。それでしれっと私を出迎えるんです。  仮病で早退なんて、すぐ親にばれました。母が「まったく、犬までグルになって!」って怒りましてね。トミと私はいい友達だったんです。  小学校を卒業するころ、トミは天寿を全うしました。すごく悲しくて、「トミの思い出」っていうのを綴り方(作文)で書いたんです。私、それまで作文なんてあまり書いたこともなかったのに。  そしたらそれが渋谷区の広報誌に載りましてね。これが間違いの元でしたねえ(笑)。親も氏子も「弓枝には文才がある」なんて言いだして、こっちも綴り方をやらねばって思うようになった。だから、私を作家にしたのは犬のトミだって思うのです。 ――とはいえ、平岩が作家として歩み始めるのはまだ先の話。中学生で、平岩は生涯忘れることのできない経験をする。戦火を逃れ、福井に疎開したときのことだ。  空襲にもあいましたが、父と母は残って、天水桶や池の水をくんでは焼夷弾にかけ続けたそうです。何代にもわたって受け継がれたお宮を守らねば、という使命感があったのでしょう。私は母方の郷里、福井へ疎開してたんです。  でもね、福井市内も空襲があったんですよ。繊維産業の街で、パラシュートの工場があったせいだと思います。私は市内から京福電鉄で1時間ほど離れた市荒川(現・越前竹原駅)の伯母の家に身を寄せていたので無事でしたが、夜、市内の空が真っ赤になっているのを、屋根によじ登って、ぼうぜんと見ていました。  福井ではクラスメートが親切にしてくれたんですよ。女学校に編入したんですが、方言はわからないし、生活習慣もまるで違う。いちいち驚くもんだから、ついたあだ名が「びっくりさん」(笑)。田植えも稲刈りも、都会っ子にはまるで歯が立ちませんでしたが、「びっくりさんに鎌持たせたらあかんで。ケガするから。私たちがやるから」ってね。  そうやって、しょっちゅう遊びに行ったり、一緒に勉強したりした大切な友達の家が市内にはあった。もう居ても立っても居られない。彼女たちを捜そうと、空襲の翌朝、どうしても市内へ行かせてほしいとせがんだんです。伯父が駅長をしていたもので、大人たちが融通して貨物車の運転席に乗せてくれました。  市内はあたり一面、焼け野原。遠くに見えるお城を目印にして歩き回りました。あのあたりは少し掘るだけで水が湧き上がるような土地だったんです。だからどこの家も防空壕がすごく浅かった。友人の家でも、みんな、その浅い防空壕に突っ伏して、焼死していました。「○○ちゃん!」と抱き起こそうとすると、どろどろになった身体に手がずぼっと入ってしまう。後にも先にも、そんな経験はありませんでした。おいおい泣きながら焼け野原を歩き回ったことを今でもよく覚えています。  生き残った人たちに「家へお帰り」って言われて、とことこ歩いていたら、伯父が出してくれた捜索隊とばったり出会って、やっと帰れました。  今だから、こんなふうに話せますが、あのときは誰に話すこともできませんでした。福井の伯母にも。私は「友達は……みんな死んじゃった」って言ったきり。伯母もそれ以上聞こうとしませんでした。  どうしようもないことですからね。だから、私にとって福井はとてもつらい土地なのです。私は中学2年生でした。 ――多感な時期のこうした体験が、作家としての視座につながっているのかもしれない。東京へ戻ると、以前通っていた日本女子大学付属高等女学校に復帰。大学を卒業するも、就職はしなかった。  卒業間際、踊りのお稽古仲間が「将来何になりたいの?」って聞くんですよ。答えに窮してたら「あなた踊りは上手だけど、忘れっぽいのよ。それじゃ師匠は務まらないわよね。ほかに取りえはないの?」って。まあはっきり言う人でねえ(笑)。それで、昔作文で褒められたことならあるって話したら、「いい先生について修業するべきよ!」ってね。銀行頭取のお嬢さんで、思い立ったらすぐ行動、の人だったんです。  お父様の知己を頼って紹介してくださったのが動物作家で児童文学者の戸川幸夫先生。その戸川先生から「もっと幅広く人間を描ける先生を」と紹介されたのが、長谷川伸先生だった。それで、長谷川先生が主宰していた小説勉強会「新鷹会」の門下生になったんです。  そこにはそうそうたる先輩方がいらっしゃいました。村上元三、山岡荘八、池波正太郎……。女性は2、3人しかいなかったわね。そこに夫(平岩昌利さん)もいたんです。若手は私と夫ぐらいでね。あとは大先輩で。とにかく手探りだったけれど、ここから文学修業が始まりました。  長谷川先生からは、小説は筋立てじゃない、人間を描けって言われました。それにはいろんな人に会い、好奇心をもって人や物事を見ないと。いい面も悪い面もあるのが人間ですから。  もう一つ、「芝居はいいが、テレビやラジオ、特に映画の脚本など手を出すべきではない」とも。その真意は……うーん。やっぱり派手な世界だからでしょうね。実力もつかないうちに、ちょっとヒットするとちやほやされるようなところに身を置いては才能をつぶしてしまう、とおっしゃりたかったんでしょう。 ――師匠の言葉もあって、平岩がテレビドラマを手がけるようになったのは、自ら積極的に売り込んだ結果ではなかった。作家としてデビューしたが、ある事情から仕事が来なくなったのがきっかけだった。それには直木賞の受賞が関係していた。  おかげさまで、27歳のときに『鏨師』で直木賞をいただきました。とにかく人間を見つめなさい、描きなさい、という教えのたまものです。  そのころ、長谷川先生のお身内が小さな出版社を経営していて、私は『鏨師』を出版するならその会社から、と考えていました。でも文藝春秋は自社から出すと思っているから大変です。考えてみれば失礼な話ですよね。わずか27の新人が、天下の文藝春秋にたてついたんですから。  当然、しばらくお仕事はいただけませんでした。長谷川先生はどこから出しなさいともおっしゃらなかった。でももし、あのとき、言われるままに文藝春秋から出していたら……経済的にはもっと楽だったかもしれませんね。でも、そのおかげでテレビの仕事に出会えたんです。 ――仕事が減ったところへ声をかけてきたのは、NHKのドラマ制作班だった。連続テレビ小説「旅路」の脚本を依頼してきたのだ。  NHKも脚本家ではなく、小説家に声をかけたんですね。直木賞をとったから。  TBSの石井ふく子プロデューサーからもお話をいただいて、「女と味噌汁」「肝っ玉かあさん」「ありがとう」と、ホームドラマが立て続けで。多いときで週に3本も書いてました。取材旅行の飛行機の中で書き上げた原稿を、折り返し戻る飛行機に託したこともありましたね。空港まで、放送局のスタッフが取りに来てくれるんです。  綱渡りで、めちゃくちゃな時代でした。今思うと信じられませんね。結婚もして、子どもにも恵まれて。それでも執筆が続けられたのは、夫と夫の母、家族みんなのおかげです。 ――長い作家生活を振り返ったとき、「小説は年を取ってからのほうがいい」と平岩は言う。  腰が据わっているから焦らなくて済むし、無理しなくていいし、する必要もないし。これまで、娘が大病をしたり、孫に恵まれたり、いいことも悪いこともたくさんあったけれど、長谷川先生の教えに従って、お仕事はすべて、断らずに書き続けてきました。  さすがに今はもう、年ですからね。ぼちぼちと、「来し方の記」を書いて過ごしています。たどってきた道を書いています。(人生を)歩いてきた、なんていい方をしますけど、振り返ればなんだか転んでばっかりだな、と思っていますね。 (聞き手/浅野裕見子) ※週刊朝日  2019年4月19日号
週刊朝日 2019/04/12 17:00
“謎のCM美女”加藤小夏が告白「鞘師推し、元ボクっ娘」19歳の素顔
“謎のCM美女”加藤小夏が告白「鞘師推し、元ボクっ娘」19歳の素顔
Kosuke Koyama / Asahi Pub  ポカリスエットやホットペッパービューティー、LINEなどのCMで注目を集め、2018年に『痛快TV スカッとジャパン』の人気コーナー「胸キュンスカッと」で地上波初登場を果たすと、「謎の美女」「透明感がすごい」と話題になった加藤小夏(19)。白く透き通るような肌に整った顔立ち、どこか儚げな雰囲気から、内気な性格なのかと思いきや……。 「首の虫刺されがずっと治らなくて、周りが(キスマークかと思って)ヒソヒソしているのが伝わるんですよ(笑)。だから勝手に自分から『虫刺されなんだよ、これ』って言っちゃう。そこは自己申告で!」  そんなエピソードを軽快に話す彼女は、想像よりもずっとサバサバした印象だ。  3つ年上の兄の影響で、元「ボクっ娘」。幼いころの写真はウルトラマンのポーズをしたものばかりだった。中学時代からハロー!プロジェクトのアイドルが好きで、先日開催されたハロプロのイベントでは推しメン・元モーニング娘。の鞘師里保が卒業から3年ぶりに登場し「気づいたらずっと泣いていました」「オーディションから7年近く追いかけている一番のアイドル」「空白の3年はずっとりほりほロスでした」と熱く語る。 Kosuke Koyama / Asahi Pub 「見た目とのギャップは激しい方かもしれませんが、実はこんな感じなんです……。よくしゃべるし、人見知りもあまりしません。初めての現場でもスーッと溶け込むタイプですね」 「謎の美女」「透明感がすごい」という反響を本人はどう受け止めているのか。聞くと、恐縮した様子でこう答えた。 「応援してくれる方が増えるのは嬉しいですし、もっともっと頑張ろうと思います。でもその反響を聞くと、今でも『あ、マジですか! 何か恥ずかしいですねぇ』という気持ちになります」  幼稚園のころからダンスを習い、安室奈美恵に憧れた。ダンサーになりたくてオーディションを受けた帰り道、原宿・竹下通りで現在の所属事務所に女優としてスカウトされた。当時はソフトテニス部でこんがり焼けた“ガングロ”。「顔も丸かったし、あのときの私のどこが良かったのか……」と自虐的に話す。 Kosuke Koyama / Asahi Pub  そんな加藤小夏がついに女優として本格始動する。自身初となる連ドラ・ヒロインは、言わずと知れた漫画「I"s」の実写ドラマ( スカパー!のオリジナル連続ドラマ『I"s(アイズ)』)で、主人公・瀬戸一貴を取り巻く4人のヒロインのうち最後に登場する、麻生藍子だ。一貴が思いを寄せる女性に容姿が似た、隣に住む大学生で、原作者の桂正和氏が「ラスボス」と呼ぶ役どころだ。 「藍子ちゃんはド天然。ピュアで目の前のことにまっすぐで、周りの人からは不思議ちゃんだと思われちゃう子です。雰囲気は私と似てるところがあると思いますが、恋愛に関しては『この子は一体何を考えているんだ!?』と思うことが多くて……。例えば、彼氏がいるのに瀬戸さんへの気持ちが抑えられなかったり。まっすぐすぎる気持ちはわからなくはないけれど、私なら相手の気持ちをもっと考えると思います」 と、なかなか苦戦した役だった様子。それもそのはず撮影時は高校3年生で、本格的な演技も初めてだったという。 「当時は現場にいること、セリフを覚えることでいっぱいいっぱいだったのですが、監督さんから小夏のままの藍子ちゃんでいていいからって言ってもらい、当時の私がそのまま藍子ちゃんになっていると思います。それぞれ違った魅力のある女の子が出てきますが、その中で私をどう出していくか、最後に出てくる藍子ちゃんに『やっぱりこの子がいい!』と思ってもらうにはどうするか、すごく考えて演じました。演技はまだまだなので、この作品で共演した岡山天音さんやほかの役者さんと次に隣に並ぶときは、恥ずかしくない演技ができるようになるのが今の目標です」  同世代の役者たちから影響を受け、この作品をきっかけに女優業に専念することを決めた。高校の友だちが進学や就職していっても「焦りや迷いはまったくなかった」と語る。もし、この仕事に就いていなかったら、やってみたかったことは? Kosuke Koyama / Asahi Pub 「可愛い女の子が大好きなので、映像やコンテンツを作る側のお仕事が良いなと思います。いま友だちの表情や風景をスマホの動画で撮って、アプリで曲と合わせて編集することにハマっていて、それこそアイズで出会った萩原みのりちゃん、柴田杏花ちゃん、白石聖ちゃんはもう可愛くて可愛くて。『今日も良いねえ、最高だねえ』って言いながらいつまでも撮っていられますね。」 Kosuke Koyama / Asahi Pub 「それぞれの魅力が出るようにカット割りを考えて撮って、そのときのフィーリングで選曲していますが、お別れみたいな切ない感じが多いです。夜な夜な何時間も作業して、完成したら本人に送りつけるんですが(笑)、自分で言うのもなんですが結構良い出来なのでみんな喜んでくれます」 と、意外な一面も。これまで、女子高生役や青春モノの爽やかな役どころが多かったが今後は「そのイメージを崩すような悪女とか、真逆な役もやってみたい」と意気込む。 「私は基本的に人は自分のことを見ていないと思ってるので人見知りもしないのですが、そう考えていると、たまにプライベートで声をかけてもらうときも『あ、たまたま見てくれてたんだ!』っていう感覚で、嬉しいんです。そういうところはこれからも変わらないでいたいなと思っています」 (AERA dot.編集部・金城珠代)
ドラマ
dot. 2019/04/12 11:30
“早熟傾向”の女子フィギュア選手にとって「真のピーク」とは…
“早熟傾向”の女子フィギュア選手にとって「真のピーク」とは…
六本木に登場したアイスリンクのオープニングイベントで演技を披露する浅田真央さん (c)朝日新聞社  3月16日、「浅田真央サンクスツアー」群馬公演初日。プロスケーター・浅田真央さんが成熟した滑りで再現する数々の名プログラムは、時に現役時代よりも魅力的だった。選手時代の代名詞・トリプルアクセルはもちろん跳ばなかったが、観客は心から満足したのではないだろうか。スケートの魅力がジャンプだけではないことを体現するのが、現在の浅田さんの滑りだろう。  しかしスポーツとしての女子シングルの現状を見ると、ジャンプの難易度は加速度的に上がり、4回転を跳ぶ選手が注目を集める。エテリ・トゥトベリーゼ・コーチの指導を受けるロシアのジュニア世代の選手達が、高難度のルッツも含む4回転を引っ提げ、来季からシニアに参戦してくる。  そんな流れの中で、エフゲニア・メドベージェワ(ロシア)が世界選手権の銅メダルを取ったことには大きな意味がある。エテリ・コーチの下で平昌五輪に臨み銀メダルを獲得したメドベージェワは、今季からカナダに拠点を移し、ブライアン・オーサー・コーチの指導を受けるようになった。そのオーサー・コーチは次のように話している。 「女子は10代半ばごろまでジャンプも跳びやすく、何でもできると感じる。難しくなるのはいろいろと考え始める10代後半にかけてだ」(共同)  成長による体型の変化で、ジャンプの不調に陥る女子選手は少なくない。まさにその難しい時期にあるメドベージェワは、まったく違うスケートを学び始めた今季前半、苦しい闘いをしてきた。グランプリファイナルの出場を逃し、またエテリの教え子であるジュニアの選手達が表彰台を占めたロシア選手権では、7位に沈んだため欧州選手権への出場もかなわなかった。最後のチャンスであったロシア杯ファイナルで勝ち、コーチ評議会の投票を経て、ようやく世界選手権への出場を決めている。  しかし、先月開催の世界選手権でのメドベージェワは、自らの選択が正しかったことを証明する。大きなミスなく演技をまとめただけではなく、滑りで曲を表現するフィギュアスケート本来の魅力を大観衆の前で披露したのだ。元々表現力には定評があったが、フリーの曲に本人が希望していたリベルタンゴを選ぶなど、彼女自身が滑りたいプログラムを滑っていることが伝わってきた。そしてそれは、女性らしい体型になり人生経験も積んだ、19歳の彼女にしかできないスケートでもある。フリーを滑り終えたメドベージェワが見せた大きなガッツポーズには、彼女の気迫があふれていた。  世界選手権のメダリスト会見で、メドベージェワは「『もうメドベージェワは終わった』という声が聞こえてきた時、どうやってそのノイズを遮断したのか」と問われ、次のように答えている。 「世界選手権でメダルを取ったということだけで、まだ健在だと立証できたと思います」  メドベージェワはピークを過ぎたとは言わせない、そんな気概を感じさせる言葉だった。  選手としての浅田真央のピークはいつだったのか。答えは一つではないが、彼女の滑りを見続けてきた人であれば、おそらく軽々とトリプルアクセルを決めていた15歳当時が絶頂期だとは言わないだろう。少女達が跳ぶ高難度のジャンプは驚きであり、そのために積んでいる努力は賞賛に値するが、それがフィギュアスケートのすべてではない。多くのファンが見たいのは、ティーンエイジャーの一瞬の輝きではなく、その後成熟していく滑りなのではないだろうか。(文・沢田聡子) ●プロフィール 沢田聡子 1972年埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、出版社に勤めながら、97年にライターとして活動を始める。2004年からフリー。シンクロナイズドスイミング、アイスホッケー、フィギュアスケート、ヨガ等を取材して雑誌やウェブに寄稿している。「SATOKO’s arena」
dot. 2019/04/11 17:00
マギー司郎がマジックでタネ明かしをする理由「自分が一番ラクな道を選べばいい」
石井志昂 石井志昂
マギー司郎がマジックでタネ明かしをする理由「自分が一番ラクな道を選べばいい」
マギー司郎さん(オフィス樹木提供)  多くの学校で新年度が始まった。期待通りのスタートを切れた人もいれば、「リスタートに失敗した」と感じている人もいるだろう。4月11日は18歳以下の自殺が、夏休み明けの9月1日に次いで多い日でもあるという。全国不登校新聞編集長の石井志昂さんが、やりきれない思いを抱えている人たちに、いま届けたい言葉とは。 *  *  * 「新学期が来るのが怖い」と、先月会った10代の女子生徒は言っていました。  新年度はクラス替えや席替えがあったり、担任の先生が変わったり、スポーツテストがあったりと変化が大きいときです。自己紹介をするタイミングも多く、いきなり「いじられる」こともあります。悩みや不安というのは、希望や期待があるときにこそ高じるものなんだそうです。期待があったぶん裏切られたときの思いは、やりきれません。  そして、18歳以下の自殺者数が夏休み明けの9月1日に増えることはよく知られるようになりましたが、次に多いのは新年度が始まった後の4月11日、さらに次は4月8日です(「人口動態調査」から2015年までの過去42年間を日別集計)。春は危険なのです。  私自身は、中学2年生で不登校となり、これまで不登校、ひきこもりの取材を続けてきました。不登校やひきこもりの人のなかには、これまでの遅れを取り戻そうと、リスタートに賭けている人も少なくありません。それがうまくいった人もいますが、中には“失敗”した人もいます。その悔しい思いを聞くたびに、私は、なんて言っていいかわからない気持ちになり、ある人の言葉を思い出します。マジシャンのマギー司郎さんです。  10代の子ども若者編集部(不登校経験者)によるマギーさんへのインタビューに同行したのですが、僕の18年間の取材のなかでも印象深い取材の一つになっています。リスタートに失敗した人、その周囲にいる人に読んでもらえれば幸いです。 *  *  *  僕は生まれつき左目が斜視でほとんど見えなかったんです。勉強もできなかったし、運動も全然。家も貧乏だったし、いつも端っこにいるような子だったんだよね。  子どものころだけじゃなくて、大人になってからも、僕は人とちがうところだらけだったの。たとえば初対面の人と話すのが苦手。まともに初対面の人と話せるようになったのは58歳を過ぎてからかな。いま62歳だから、つい最近のこと。長く芸能界にいるのに、友だちは3人ぐらいしかいないんだ。  僕の芯の部分にある「弱い部分」は治らないの。仕事を受けても、いつも「本当にできるかな」って心配になるし、なかなか強くはなれない。でも、それはそれでいいの。弱さと優しさって、見分けがつかないものだから。  頭がよくて、なんでもできる人には、できない人の苦労がわからない。そういう「強さ」よりも、弱さのほうが大事かもしれない。弱くて、キツイ経験が、人を優しくするんだと思う。  もちろん弱さはよさにつながることがあるのね。たとえば僕の手品。  正直に言って僕は手品がヘタなの。手品が上手な人って、タネがわからないようにやれるでしょ。でも僕は下手だからバレちゃいそうになる。だからね、タネはすぐにバラしちゃうんだ。  もちろん、いくつかバラさない手品もあるけど、それだってバレてもいいの。タネ明かしを聞くと、なんかホッとするでしょ。「なんだ、この人はすごくないんだ」って思えるからだろうね。僕はこの年になって思うんだけど、すごい人もダメな人もいない。みんな、プラスマイナスゼロなの。「すごい人なんていないんだ」っていう僕の思いが、いまの手品のスタイルにつながったんだと思う。  みなさんは10代で、たくさん「うまくやれないな」って思ってるかもしれない。自分の本意じゃなく、不登校をしたり、ひきこもってたらよけいにそう思うよね。でも、あんまり「自分がイヤだな」って思うことは、がんばらなくてもいいと思う。学校も会社も同じ。だって本当に正しいことなんてわからないでしょ。自分が一番ラクな道を選べばいいの。誰もダメになろうとしていないんだからね。  僕の場合は、偶然にも手品と出会えた。手品に出会えなければ、どうなってたかわからない。でもこれは偶然じゃないと思ってる。出会うようになってたと思うの。頭じゃなくて、本能を信じて生きていれば、好きなものをちょっとずつ選べると思うんだ。そして、そうやって好きなものを選べば自分の居場所に行き着くと思うんだよね。  時間を楽しみながら、ゆっくりゆっくり自分を育てるっていう感覚も大事だよ。今日はダメでも、明日や来年には、状況が変わるかもしれないでしょ。人生って、いつでも想像がつかないことが起きるから。  生きてれば、いろんなことがあると思うけど、だいたいのことは時間が解決してくれるって思ったほうがいいよ。  だから、生きてればなんだっていいんだよね~。(『不登校新聞』2008年1月1日号より再編集)
dot. 2019/04/10 07:00
【本屋大賞2019】瀬尾まいこさん『そして、バトンは渡された』 「愛情を注ぐ相手があることは幸せ」
【本屋大賞2019】瀬尾まいこさん『そして、バトンは渡された』 「愛情を注ぐ相手があることは幸せ」
 本日4月9日、東京・明治記念館で、全国の書店員が選ぶ「2019年本屋大賞」の発表会が開催され、作家・瀬尾まいこ(せお まいこ)さんの『そして、バトンは渡された』(文藝春秋刊)が大賞に輝きました。  授賞式では、ゲストプレゼンターとして昨年の受賞者、辻村深月さんが花束を贈呈。「この1年、次に自分はどなたにバトンを渡すんだろうと、一冊一冊本が出るたびに楽しみに読んでいました。この本は、読んで最後幸せな涙が溢れました。瀬尾さんにバトンを渡せて嬉しいです。おめでとうございます」と祝福の言葉を寄せました。  そして大賞受賞者の瀬尾さんは「素晴らしい賞をありがとうございます。今この壇上に立って、思っていた以上に嬉しくて感動しています。この本は、一人の女の子に、血が繋がっていなかったり、長い時間だったり、短い時間だったり、色々なかたちで親として関わっていく大人が出てきます。愛情を注がれることはもちろん幸せですが、愛情を注ぐ相手があることはもっと幸せなんだと思います」とコメントしました。  本作に登場するのは、17歳の少女、森宮優子。彼女は血の繋がらない親の間をリレーされ、4回も名字が変わっています。しかし当の本人は「困った。全然不幸ではないのだ」とひょうひょうとしていて......。身近な人が愛おしくなる、著者会心の優しい物語です。  受賞した瀬尾さんは、1974年、大阪府出身。大谷女子大学国文科卒。2001年、『卵の緒』で坊っちゃん文学賞大賞を受賞し、翌年単行本『卵の緒』で作家デビュー。2005年『幸福な食卓』で吉川英治文学新人賞を、2008年『戸村飯店 青春100連発』で坪田譲治文学賞。他『図書館の神様』『優しい音楽』『僕らのごはんは明日で待ってる』『あと少し、もう少し』『春、戻る』など著書多数。  本屋大賞は、出版業界活性化のため、全国の書店員が、年に1度、「一番売りたい本」を投票で選ぶもので、第16回目となる今回は、「2017年12月1日~2018年11月30日に刊行された日本のオリジナル小説」が対象となりました。1次投票には全国493書店より書店員623人、2次投票には308書店より371人の参加がありました。  「本屋大賞2019」ノミネート10作品の順位は以下の通り。 1位 『そして、バトンは渡された』瀬尾まいこ/文藝春秋 2位 『ひと』小野寺史宜/祥伝社 3位 『ベルリンは晴れているか』深緑野分/筑摩書房 4位 『熱帯』森見登美彦/文藝春秋 5位 『ある男』平野啓一郎/文藝春秋 6位 『さざなみのよる』木皿泉/河出書房新社 7位 『愛なき世界』三浦しをん/中央公論新社 8位 『ひとつむぎの手』知念実希人/新潮社 9位 『火のないところに煙は』芦沢央/新潮社 10位 『フーガはユーガ』伊坂幸太郎/実業之日本社 ■本屋大賞公式サイト http://www.hontai.or.jp/
BOOKSTAND 2019/04/09 20:00
【速報】「本屋大賞2019」は、瀬尾まいこさん『そして、バトンは渡された』に決定!
【速報】「本屋大賞2019」は、瀬尾まいこさん『そして、バトンは渡された』に決定!
 本日4月9日、東京・明治記念館で、全国の書店員が選ぶ「2019年本屋大賞」の発表会が開催され、作家・瀬尾まいこ(せお まいこ)さんの『そして、バトンは渡された』(文藝春秋刊)が大賞に輝きました。  本作に登場するのは、17歳の少女、森宮優子。彼女は血の繋がらない親の間をリレーされ、4回も名字が変わっています。しかし当の本人は「困った。全然不幸ではないのだ」とひょうひょうとしていて......。身近な人が愛おしくなる、著者会心の優しい物語です。  受賞した瀬尾さんは、1974年、大阪府出身。大谷女子大学国文科卒。2001年、『卵の緒』で坊っちゃん文学賞大賞を受賞し、翌年単行本『卵の緒』で作家デビュー。2005年『幸福な食卓』で吉川英治文学新人賞を、2008年『戸村飯店 青春100連発』で坪田譲治文学賞。他『図書館の神様』『優しい音楽』『僕らのごはんは明日で待ってる』『あと少し、もう少し』『春、戻る』など著書多数。  本屋大賞は、出版業界活性化のため、全国の書店員が、年に1度、「一番売りたい本」を投票で選ぶもので、第16回目となる今回は、「2017年12月1日~2018年11月30日に刊行された日本のオリジナル小説」が対象となりました。 ■本屋大賞公式サイト http://www.hontai.or.jp/
BOOKSTAND 2019/04/09 19:36
座り過ぎで死亡リスク40%上昇…がんをも招くメカニズムとは?
野村昌二 野村昌二
座り過ぎで死亡リスク40%上昇…がんをも招くメカニズムとは?
世界20カ国・地域における、1日の座っている時間の国際比較(AERA 2019年4月8日号より) 岡浩一郎(おか・こういちろう)/1970年生まれ。早大教授。研究分野は健康行動科学、行動疫学。座り過ぎの健康被害に関する研究の第一人者(写真:本人提供) “座り過ぎ大国”ニッポンに忍び寄るリスクはまだある。体の不調にとどまらず、病を生み命にかかわることもわかってきたのだ。  1日11時間以上座る人は死亡リスクが40%アップする──。  12年、シドニー大学が中心になって行った調査結果が、世界中に衝撃を与えた。調査は、オーストラリア国内の45歳以上の男女22万人を3年近くにわたり追跡し、期間中に亡くなった人たちの生活スタイルを調べた。すると1日に座っている時間が4時間未満の成人と比べ、1日8~11時間座る人は15%、11時間以上だと40%も死亡リスクが高まるという。他にも、座りすぎによって大腸がんは30%、乳がんは17%も罹患リスクが上がるなどの研究結果も報告されている。  一体なぜ、「座る」というごくありふれた行動が死のリスクを高め、がんを招くのか。  座り続けることの危険性に警鐘を鳴らし、『「座りすぎ」が寿命を縮める』(大修館書店)などの著書もある早稲田大学の岡浩一朗教授(健康行動科学)はこう説明する。 「人間の下肢には70%近くの筋肉が集中しています。とくに、太ももの筋肉は体の中で最も大きく、血中の糖の取り込みや脂肪の分解に重要な役割を果たしています。しかし、座りっぱなしで筋肉を動かさないと、血液中の糖を筋肉に取り込む働きが鈍くなり、代謝を悪化させます。また、ふくらはぎは『第2の心臓』とも呼ばれ、足に下りた血液を心臓にまで押し上げて戻すポンプの働きがある。それが座ったままでいると、血流が悪化した状態になり、血液を心臓に戻しにくくなります。座り過ぎは毎日エコノミークラス症候群になっているようなものです」  こうした生活習慣が長期にわたれば、肥満や糖尿病、高血圧、動脈硬化が進み、心筋梗塞や脳梗塞など多岐にわたる健康リスクを引き起こし、死亡リスクを高めると考えられているという。  座り過ぎからがんになるメカニズムは明確には解明されていないが、岡教授は、血流や代謝の悪化とともに免疫力が低下し、その結果、がんになるリスクが高まるのではないかと見る。  こうしたリスクに加え、座り過ぎは運動器の故障も招く。同じ姿勢で座り続けると、骨や筋肉の一部に負担がかかり過ぎ、腰、肩、首などにコリや痛みなどのトラブルが起こりやすくなる。そのため、姿勢も崩れ、無理な姿勢を維持しようと筋肉がさらに緊張してガチガチに硬くなる。伸縮性が低下し、膝にも悪影響が出やすくなるという。 「脳の血流が悪くなり、集中力や認知機能の低下、メンタルヘルスの悪化とも関係が深いというデータも出てきています」(岡教授)  大人だけではない。「座り過ぎ」は、子どもにとっても大きな問題だ。学力への影響がみられるという。  座り過ぎの研究で有名なカナダの研究者、トランブレイらの研究では、テレビやDVDの視聴、パソコンやテレビゲームを使用する時間が1日2時間より多いことは、学業に悪影響があることが認められている。さらに、このような座り過ぎが1日3時間より多くなると、IQ得点の低さとも関連することが示されている。そのため、米国の小児科学会では、子どもの座位時間を減らすため、余暇のスクリーン時間を1日あたり2時間以下とすることが推奨されているという。 「しかし、この基準値を満たしている日本の子どもの割合は、男子で36%、女子で41%と決して多くはなく、半数以上の子どもは基準を満たしていない状況です」(同)  座り過ぎが問題だとすれば、週末にジムなどで運動をすれば帳消しになるのでは?  そう考える人は少なくないだろう。だがそういう人ほど、座り過ぎの落とし穴にはまりやすい。岡教授は、こうした人たちは「アクティブカウチポテト」と呼ばれ、自分では活動的(アクティブ)なつもりでも、残念ながら実際は、ソファ(カウチ)に座ってポテトチップを食べる人々と大差ないと言う。 「たとえ週末に少しくらい運動をしても、座り続ける時間が多いと、死亡リスクはほとんど軽減されないことがわかっています。平日は仕事で長時間座っていても、休日はよく運動をしているから座り過ぎのリスクは解消できる。そういう思い込みこそ危険です」(同) (編集部・野村昌二) ※AERA 2019年4月8日号より抜粋
AERA 2019/04/04 08:00
全盲の生徒が早稲田大・先進理工学部に進学 「お茶の水女子大とICUにも受かりました」
全盲の生徒が早稲田大・先進理工学部に進学 「お茶の水女子大とICUにも受かりました」
先進理工学部のある西早稲田キャンパスにて。天川眞琴さんの趣味は音楽とゲーム。ピアノを6歳から、ドラムを13歳から習っている。「今度はギターをマスターして大学でバンドを組みたい」(撮影/片山菜緒子) ノート代わりに使っている携帯端末「ブレイルセンスオンハンド日本語版U2ミニ」。入力だけでなく点字と音声で文字情報を確認できる。インターネットにも接続可能だ(撮影/片山菜緒子) 受験勉強で使った点訳された参考書類。「新課程 チャート式 数学3」や「早稲田過去問 物理2014」など(撮影/片山菜緒子) 「試験は時間との勝負だった」と振り返る。時計はケースを開いて指で時針と分針を触って確認するタイプ。「慌てていると指で針を動かしてしまうので要注意です」(撮影/片山菜緒子)  4月に入り、全国各地の大学で入学式が開かれている。東京都新宿区にある早稲田大学戸山キャンパスに完成した「早稲田アリーナ」でも、1日から3日まで学部別、大学院の入学式を順次開催中。天川(あまかわ)眞琴さん(18)も希望を胸に先進理工学部・応用物理学科に入学した一人だ。天川さんは幼少時に「網膜芽細胞腫」という眼球の網膜に発生する悪性腫瘍の影響で左目を失明、小学2年生になったころに右目も光を失い、全盲となった。  一方で早稲田大には2006年に「障がい学生支援室」が設置されている。16年に障害者差別解消法が施行される10年前だ。同室設置後の正式な記録によれば、全盲の学生が入学したのは今回が初めて。天川さんはどのように受験勉強に取り組み乗り切ったのか、なぜ早稲田大を進学先に決めたのか、そして将来の目標などについて聞いてみた。 「小学5年生のときに私立のカトリック系小学校から筑波大学附属視覚特別支援学校(附属盲学校)に転校して、そのまま中学まで学びました。私は割と早い段階で失明したので、点字の習得がスムーズだったんだと思います」と振り返った。ハキハキと話す様子から聡明な印象を受ける。大変な努力をしたのでは――と聞くと、「努力というより、必要に迫られたから」とリアルな答えが返ってきた。6年生のころには教科書はもちろん、点訳されたさまざまな分野の本を読破するようになっていた。 「中学2年で相対性理論や宇宙をテーマにした本を読んで、常識と違った視点で世の中を考えられるということに興味を持ちました。それがきっかけで、大学で物理学を学ぼうと目標を立てたんです。このジャンルの本は自分で選びました」  物理学専攻で大学受験をめざす場合、盲学校の高等部ではカリキュラムの関係で難しいことがわかった。そこで高校受験の勉強をスタート、難関校で知られる都立戸山高校に見事合格した。同校は04年度、理数系、科学技術系の教育が充実している高校に対して文部科学省が指定する「スーパーサイエンスハイスクール」に都立高として初めて選ばれている。  戸山高入学に際し、母校である盲学校の職員も協力して教科書や授業のプリント、参考書まで点訳する手配をしてくれた。とはいえ、学校に全盲の生徒は天川さん一人だけ。クラスメートに比べるとどうしても勉強に制限があった。 「他の人ならよさそうな参考書をパッとほかで見て選んで学べるけど、私は学校購入したものを泥臭く繰り返し解くしかありませんでした」  高校の受験プログラムに合わせて模試もたくさん受けた。予備校によっては問題を点訳してくれるところもあったが、そうでない場合は高校常駐の点訳コーディネーターがボランティアに依頼。試験日は変わるものの、天川さんは積極的に受けて勉強の進み具合を確かめていった。得意科目は英語で、理科や数学は「まあまあ」。苦手科目は現代文。短い評論ならまだましだが、長い小説になると指先で点字を1行ずつ読むのにどうしても時間がかかってしまう。  やがて大学受験の志望校を決める時期になり、得意の英語が生かせる国際基督教大学(ICU)の教養学部、物理学を学ぶためにお茶の水女子大学の理学部、そして早稲田大学の先進理工学部の3校を受験することにした。  なかでも早稲田大には8月のオープンキャンパスに参加して誘導サポート等を体験。出願がほぼ決まった時点で本人と保護者の了解のもと、戸山高校と先進理工学部で打ち合わせを行った。高校の担任教師から日ごろのサポート体制や教科書等の点訳対応について、大学にレクチャーしたそうだ。 「推薦入試の話も出ましたが、特筆できる卓越科目がなかったので一般受験で真っ向勝負しようと決めました」 <泥臭く>や<真っ向勝負>――18歳の女子とは思えない表現や語彙力に、多くの書物を読んできたことがにじみ出ている。そして受験結果を聞くと、3校とも合格したことを控えめに教えてくれた。 「早稲田理工は戸山高校のすぐ近くで、私にとっては行き慣れた経路のまま通えます。実際に進学する生徒も多かったですね。高校の先生方も大学のことをよく知っていて、ここの物理なら学びが深まるとアドバイスされて気持ちが固まりました」 「物理学は基礎研究、特に宇宙論や素粒子などの分野で理論的なことを学びたいです。そのほかにも心理学など、専攻以外にも興味があります。今はまだシラバス(授業計画)を読んで妄想を膨らませています。これからの生活に期待しています」  理数系のなかでも物理の分野を点訳できる人は少ない。数式や図表なども使うので専門性が高いからだ。 「自分も当事者として関わっていくつもりですが、視覚障害者が学べる環境が整った社会に少しずつでも変えていきたいと考えています。そしてノーベル物理学賞受賞者の梶田隆章先生のように、基礎研究を発展させられるような研究者になることをめざします。大学には、私が他の学生に負けないぐらい専門性を極められるような環境を整えてほしいと願います」 ※3月22日にインタビューしました。 (文/アエラムック編集部・杉澤誠記)
大学入試
dot. 2019/04/02 07:00
「みんなで筋肉体操」に出演の北欧出身の庭師、初の自伝的エッセー
「みんなで筋肉体操」に出演の北欧出身の庭師、初の自伝的エッセー
村雨辰剛(むらさめ・たつまさ)/1988年、スウェーデン生まれ。ホームステイを経て、19歳で日本へ移住、4年後に造園業に入る。26歳で日本国籍を取得し、改名(撮影/篠塚ようこ)  北欧出身の庭師、村雨辰剛(むらさめ・たつまさ)さんによる『僕は庭師になった』では、自身の半生と日本の伝統文化への思いがつづられる。スウェーデン生まれの青年はなぜ、日本文化に魅了され徒弟制度で職人を志し、日本国籍を取得したのだろうか? *  *  * 「職人の修業は無駄だという考えがありますが、僕はそうは思いません。むしろ急がば回れで、技術を効率よく身につけられる徒弟制度は、今こそ見直されるべきです」  村雨辰剛さんは流暢な日本語で、そう語る。日本で伝統文化に関連した仕事につきたいと、スウェーデンから来日。庭師を志し、2015年には日本国籍を取得した。昨年はNHKの番組「みんなで筋肉体操」がブレーク。本書では日本文化になぜ惹かれたかを自分自身で書いた。 「少しでも日本庭園のことを知ってもらいたくて、ツイッターを始めたら、取材が来るようになりました。筋肉体操は驚きましたが(笑)」  中学校の歴史の授業を通じて、戦国時代の武将たちや日本の美意識を知り、日本語を学び始めた。17歳で3カ月のホームステイを経験。同時期にジムへ通い、本格的な筋トレもスタート。 「おかげで徴兵ではレンジャー部隊に合格しました。迷ったのですが、入隊を辞退して高校卒業後、19歳で英会話教師として来日しました」  休日になると仕事へのヒントを探しに出かけたが、きっかけは見つからなかった。転機は11年。英会話教師の契約が切れるタイミングで、東日本大震災が起こった。家族の心配もあり、いったんは帰国。その後、再来日し、造園業でのアルバイトから、庭師を志す。外国人であることが壁となり、数十社から断られたが、縁あって、愛知県の加藤造園へ弟子入りが決まった。 「僕の場合は徒弟制度や生活面よりも文化の違いに対応するほうが大変でした」  移り住んだ愛知県西尾市吉良町では外国人が珍しく、最初の頃は「まかせて大丈夫か」と見られていたという。 「偏見があるのは覚悟していました。逆に打ち解けてからは家族のように接してくれました」  2年前には仕事の幅を広げるために東京へ。 「今、造園業といいながら、現場では造るより壊す仕事が多いんです。とくに個人の家から日本庭園が消えています」  海外で日本庭園を造るほうが、ビジネス的には利益が見込める。だが、村雨さんは「日本庭園の文化を『日本で』守っていくことが重要」だと考え、日本国籍取得を選んだ。 「グローバリズムの世界では、固有の文化があることは、何よりの強みになります。今はモダンな日本庭園もある。日本庭園の価値と魅力を知ってもらうために、これからも修業を続けていきます」 (ライター・矢内裕子) ■書店員さんオススメの一冊 『仕事も毎日も整う! 働く女子の時間のルール』は、「時間上手」で気持ちにゆとりを作ることの大切さを説いた一冊だ。オリオン書房ルミネ立川店の田邊水玲さんは、同著の魅力を次のように寄せる。 *  *  *  いま思い返すと学生時代は随分とぜいたくな時間の使い方をしていたものだが、社会に出てからは状況が一変した。年を重ね、仕事や生活の幅が広がったせいか、やりたいことも増えてきた。毎日楽しいが、ずっと駆け足をしている感覚がある。自分は、いつまでも時間に追われる生活から逃れられないダメな大人だ。  ところが最近、駆け足の状態が体力的にしんどく感じることが増えてしまった。そこで一度初心に帰り、見直そうかと手に取ったのがこの一冊。本書に出てくる女性たちは皆キラキラしていて自分には眩しいくらいだが、紹介されている生活改善のコツは「朝活」「家事」「お金」「美容」など、具体的でシンプル。気になるところからすぐに取り入れられるのがいい。自分自身を上手に保つためにも、これからは少しゆとりを持つ努力をしようと思う。 ※AERA 2019年4月1日号
AERA 2019/03/30 16:00
「第二の上戸彩」と業界で話題の小芝風花 元フィギュアスケート選手という異色の経歴
藤原三星 藤原三星
「第二の上戸彩」と業界で話題の小芝風花 元フィギュアスケート選手という異色の経歴
小芝風花 (c)朝日新聞社  今、業界内で「いつブレイクしてもおかしくない」と言われている女優、それが小芝風花(21)だ。小学3年生からフィギュアスケートに打ちこみ、友達と遊ぶ暇もないほど練習漬けの日々を送っていたという彼女。中学2年生のときに「イオン×オスカープロモーションガールズオーディション2011」で3万5390人の中からグランプリを獲得、5年間打ちこんできたフィギュアスケートをやめ、芸能界の道へと進んだ。  2014年には映画「魔女の宅急便」でスクリーンデビューを飾り、16歳で映画初主演を勝ち取った。同作ではブルーリボン賞新人賞を受賞するなど順風満帆な女優デビューのように思えるが、実は意外な苦労もあったらしい。スポーツ紙の芸能担当記者は次のように語る。 「ジブリ映画としても有名で、満を持して実写化された『魔女の宅急便』でしたが、興行成績が振るわなかったため初主演作としてそこまでインパクトを与えられず、華々しいデビューとまではいかなかったんです。その後も朝ドラ『あさが来た』でヒロインの娘役を演じたり、精力的に舞台出演を続けるなど女優としてのキャリアを順調に積んできたのですが、十代で代表作といえる作品を世に送り出すまではいかなかった。同世代の広瀬すず(20)や橋本環奈(20)と比べて、ヒット作に恵まれなかったというのが正直なところです」  しかし、先日放送が終了した初主演ドラマ『トクサツガガガ』(NHK総合)における“隠れ特撮オタク女子”役の熱演ぶりがSNSを中心に評判を呼び、1月に発売した写真集「F」も2万部を超えるスマッシュヒットを記録した。今、確実に“キテる”女優であることは間違いない。芸能関係者は彼女の魅力を次のように分析する。 「もともと高い演技力には定評があり、5年間打ちこんできたフィギュアスケートで鍛えたバランス感覚としなやかな体は唯一無二。意外にも、フィジカルを前面に出した躍動感のあるお芝居が非常にうまいんです。“隠れ特撮オタク女子”役なんて相当な難役ですが、勘所がいい彼女は抜群の芝居を見せていました。また、ドラマや舞台で共演した俳優らはみんな彼女のファンになるそうなんですが、それほど人当りがよく何事も真剣に取り組む姿には好感が持てます。20歳を超え、女性らしさが出てきたというのもあるでしょうね。同性からも支持される美形の持ち主であり、育ちの良さが体中からにじみ出てます。所属事務所のオスカーは上戸彩(33)さん以降、彼女を超えるようなスター女優はいまだ現れてませんが、『小芝風花なら超えられるかも……』と業界内では言われ始めています。オスカーも相当、営業を頑張っているようです」 ■大阪制作の朝ドラにハマれば大ブレイク!?  実際に小芝への取材経験があるTVウォッチャーの中村裕一氏は、彼女の魅力をどのように分析するのか。 「今から2年ほど前に彼女にインタビューしましたが、良い意味で等身大の“飾らなさ”がとても印象的でした。編み物が趣味で、好きな食べ物は肉、嫌いな食べ物はピーマンと、気取らずにのびのびと話す姿からは、誠実で裏表のない人柄の良さが伝わってきました。仕事でもプライベートでも、彼女のことを悪く言う人はおそらくいないのではないでしょうか」  中村氏はこう踏まえた上で、彼女の今後をこう予想する。 「『トクサツガガガ』のヒットで世間の注目度は高まる一方ですが、さすがにまだ地上波民放の連ドラ主演はタイミング的に早いと思います。なので、まずは『トクサツガガガ』の続編でもう一度テレビに帰ってきてもらいたいところ。また、明るく元気なイメージとは真逆な、暗く影のある役もぜひ見てみたいです。なによりまだ21歳の若さですから、決して焦らず、じっくりとキャリアを積み重ねるだけで、彼女の女優としてのポジションは揺るぎないものになっていくでしょう。もしかすると朝ドラのヒロインに抜擢されることも十分あり得るかもしれません。大阪出身でネイティブな関西弁を話せるので、大阪制作の朝ドラにうまくハマると、大ブレイク間違いなしでしょう」  たしかな演技力と抜群の存在感で「朝ドラヒロイン最有力候補」とまで言われるようになった小芝風花。彼女が“第二の上戸彩”を継承し、ヒット作を連発する日も、そう遠くないのかもしれない。(ライター・藤原三星)
dot. 2019/03/28 11:30
「生きていたら41歳。きっと孫も…」桶川ストーカー殺人事件から20年 被害者の父が語る思い
野村昌二 野村昌二
「生きていたら41歳。きっと孫も…」桶川ストーカー殺人事件から20年 被害者の父が語る思い
埼玉県上尾市の自宅の居間の一角には、詩織さんが好きだったヒマワリの花や、笑顔の写真がたくさん飾られている。今も命日には友人たちが来てくれるという(撮影/倉田貴志) 父親の憲一さん。「あっという間の20年でした」。二度とストーカーによる事件は起きてほしくないと語る(撮影/倉田貴志) 過去の主なストーカー事件(AERA 2019年3月25日号より) 全国の警察へのストーカー相談件数の推移(AERA 2019年3月25日号より)  ストーカー規制法が生まれるきっかけとなった、桶川ストーカー殺人事件から20年。警察が把握したストーカー被害は5年連続で2万件を超え、いまも増え続ける。娘を亡くして以来、講演を続ける父親に思いを聞いた。 *  *  *  埼玉県桶川市のJR桶川駅。西口駅ビル前に、いまも誰かがそっと小さな花束を供えていく。20年前、ストーカー被害を受けていた猪野詩織(いのしおり)さん(当時21)が、交際を断った男の仲間たちによって命を落とした場所だ。 「ずっと毎日毎日、いま詩織が生きていたら、と考えます。夢のある子に育ってほしい、そんな願いを込め『詩織』と名づけました。本当に家族思いのやさしい子で、生きていれば41歳。結婚して子どももいて……。私と妻は、孫の面倒をみているのではないかと」  父親の憲一さん(68)が静かな語り口で心の内を吐露する。同県上尾市の自宅の居間には、詩織さんの遺骨を納めた骨壺がある。いまだに墓に埋葬する気持ちになれず、憲一さんと妻京子さん(68)は居間に布団を敷き、毎晩一緒に寝ている。  1999年10月26日。  当時大学生だった詩織さんは、JR桶川駅前で元交際相手の男の兄やその仲間に刺殺された。交際を断られて逆恨みした男は事件前、仲間と共謀して詩織さんを中傷するビラを自宅周辺の電柱に貼ったり、憲一さんの職場に送りつけたりしていた。名誉毀損容疑の告訴を受理した警察が捜査に乗り出さなかったことや、調書の「告訴」を「届け出」と改竄し、告訴の取り下げを要請していたことが大きな社会問題となった。詩織さんの名誉を傷つけるような報道もされた。  事件はストーカー被害を見直す契機となり、詩織さんの死から約半年後の2000年5月、ストーカー規制法が超党派による議員立法で成立した。ストーカー行為を明確に「犯罪」と定め、警察による警告などの行政措置を盛り込んだ。法律は改正を重ね、現在はLINEなどSNSを使ったメッセージを繰り返し送りつけるといった行為にも規制の対象が広がっている。罰則はストーカー行為が懲役1年以下か罰金100万円以下、禁止命令に違反してストーカー行為をした場合は懲役2年以下か罰金200万円以下と、以前よりは多少厳しくなった。 ●全国のストーカー被害は、5年連続で2万件超  だが、さまざまな形でストーカーによる被害は続いている。全国の警察が把握したストーカー被害は17年に2万3079件と、5年連続で2万件を超え、ストーカー規制法が成立して以来、過去最多を記録した。殺人に至るような事件も後を絶たない(表参照)。  13年10月に東京都三鷹市の高校3年の女子生徒が元交際相手の男に刺殺された事件や、17年1月に長崎県諫早市の女性(当時28)が元夫に刺殺された事件も、被害者がつきまとい行為を警察に相談していたが、未然に防ぐことはできなかった。なぜいまも、被害は増え続けているのか。  ストーカー問題に詳しい常磐大学元学長の諸澤英道(もろさわひでみち)さん(被害者学)は、「これまで表に出にくかった被害が顕在化したことが背景にある」と見る。ストーカー行為から発展した凶悪事件がメディアで報道され、社会の意識も徐々に高まり、隠されていた被害が掘り起こされた結果だと言う。 「しかも、表面化しないものを含めると、5倍近いストーカー被害者がいると考えられます。山に例えると、支援を受けられるのは8合目から上にいる被害者、それが2万3千人という数なのです」(諸澤さん)  残りの被害者が駆け込める「受け皿」がほとんどないことが問題だと、諸澤さんは言う。各都道府県に被害者支援センターは置かれているが、積極的な対応に欠けることが多いという。かと言って、警察が全ての相談に応じるのは物理的に難しい。 「支援窓口の設置、日常生活の支援、住まいや仕事の安定……。被害者にとって最低条件となる支援をどこでも等しく受けられることが必要で、そのためには、都道府県レベルでの条例の制定が不可欠です。条例をつくることで、いままでNPOやボランティアに頼ってきた被害者支援を行政が担うようになる」(同) ●1千通超のメール送信でも、違法性を問えなかった  また、ストーカーを取り締まるストーカー規制法には致命的な欠陥がある、と諸澤さんは指摘する。  同法第2条は、つきまとい、監視、面会や交際の要求など八つの行為を「つきまとい等」とし、それを反復して行うと「ストーカー行為」と定義した。警察が加害者にやめるよう警告し、逮捕することもできる。しかし、八つの行為に限定したことによって、条文に明記されていない行為はストーカー行為に当たらないという運用になっている点だ。  12年11月、神奈川県逗子市で当時33歳の女性が元交際相手の男(当時40)に刺殺され、男は直後に自殺した。この「逗子ストーカー殺人事件」で、男は「結婚を約束したのに別の男と結婚した。契約不履行で慰謝料を払え」などと書いた1千通を超えるメールを女性に送りつけていた。  だが、当時ストーカー規制法では電話やファクスで繰り返す嫌がらせについては禁じていたが、メールは対象外だった。担当した神奈川県警逗子署はすぐに違法性を問えないとして、捜査を終了。その後もパトロールを続けたものの事件を防ぐことはできなかった。  この事件などを機に13年、ストーカー規制法は改正され、メールを繰り返し送る行為も「つきまとい行為」の対象となった。 「ストーカー行為を限定的に定義したことで、警察の介入をきわめて消極的にしてしまった。すべてのストーカー行為に対応できるよう、さらに法律を改正すべきです」(諸澤さん) ●「娘に代わってしゃべる」その使命感で人前に出る 「娘は見殺しにされた」という思いを抱いていた詩織さんの父憲一さんは長い間、警察では講演をしてこなかった。だが、いつか現場の人たちに思いを伝えたいという気持ちもあった。初めて警察で体験を語ったのは、17年9月。京都府警察学校で200人近い警察官や警察学校の生徒らを前に、命を奪われた娘と家族が強いられた苦しみを語り、市民の嘆きや悲しみを聞いてほしいと訴えた。犯人と直接対峙し、捕らえることができるのは警察だけなのだ、と。  約13年前に胆管がんが見つかったとき、「もう死んでもいいと思っていた」と憲一さんは振り返る。 「当初は法律ができたから何なんだ、そんなことよりも娘を返してくれ、という思いが強かった。それが徐々に、じゃあ娘のために親として何ができるのか、と考えるように心が変わっていきました」  被害を食い止めるには捜査を通じた対応だけでは限界があるとして、警察庁は16年4月から加害者に、精神科医による治療やカウンセリングを勧める取り組みを始めた。  こうした加害者の更生支援について、憲一さんはどう考えているのか。 「治療によって治るのであれば治してほしい。被害者を増やさないために、強く反対しない立場をとっている。ただ、加害者に言いたいのは、愛していようが何だろうが、相手はお前の持ち物じゃないということ。このことを理解できなかったら、何をしてもだめです。それを擁護するような考えを持つ人間を強く恨みます」  事件から20年経ついまも、憲一さんは学校や行政機関などで講演を続け、「命」の大切さを訴えている。人前で話すのは勇気がいる。だが娘はもっと苦しい思いをした。それに比べれば人前で話すくらい何でもない、と力を込めた。 「いまは、娘に代わってしゃべらないといけないんだという使命感で話しています。ストーカー被害で苦しむ人がいる限り、活動していきます。それが、かけがえのない私たちの娘、詩織との約束でもあります」  21歳の無念に、私たち社会も応えていかなければいけない。(編集部・野村昌二) ※AERA 2019年3月25日号
AERA 2019/03/25 11:30
関ジャニ“Theモーツァルト”カラオケ王No.1決定戦、新妻聖子に純烈・後上翔太ほか4名が挑む
関ジャニ“Theモーツァルト”カラオケ王No.1決定戦、新妻聖子に純烈・後上翔太ほか4名が挑む
関ジャニ“Theモーツァルト”カラオケ王No.1決定戦、新妻聖子に純烈・後上翔太ほか4名が挑む 関ジャニ∞やグランドマイスター・葉加瀬太郎がMCを、井ノ原快彦らが見届け人を務めるテレビ番組『関ジャニ∞のTheモーツァルト 音楽王No.1決定戦』が、4月5日よる8:00~9:48に放送。絶対女王・新妻聖子に挑む4名が明らかになった。  結婚・出産を経て再び【Theモーツァルト】のステージに復帰する新妻聖子は、第6回大会で王座返還したことにより今回、1回戦から参戦。そんな過去5回の大会で一度も負けなしの彼女に挑むのは、スーパー銭湯アイドル“純烈”の最年少メンバー・後上翔太(32)、今年1月の『音楽チャンプ~歌うま日本一決定戦~』で話題となった15歳の現役女子高生・三阪咲、3年前の決勝戦でのリベンジに執念を燃やすシンガーソングライター・erica、そして前回大会で女王・新妻不在の中、葉加瀬太郎がその歌唱力を絶賛し見事優勝を勝ち取ったミュージカル歌手・松原凜子の4人だ。  なお、新妻聖子の過去の名勝負を振り返る『Theモーツァルト・特別編』の放送も決定。『関ジャニ∞のTheモーツァルト 音楽王No.1決定戦 特別編』が3月26日24:20から(関東ローカル)、『関ジャニ∞のTheモーツァルト 音楽王No.1決定戦 特別編 女王・新妻聖子が復活!』が3月31日11:00から(全国ネット)、それぞれ放送される予定だ。 ◎番組情報 『関ジャニ∞のTheモーツァルト 音楽王No.1決定戦』 【放送日】2019年4月5日(金) 夜8:00~9:48 【出 演】 MC:関ジャニ∞ 村上信五、安田章大、大倉忠義 グランドマイスター: 葉加瀬太郎 見届け人:井ノ原快彦 ほか
billboardnews 2019/03/25 00:00
男の子の子育てはカブトムシの飼育と一緒? 高濱正伸さんと藤原和博さんに聞く
男の子の子育てはカブトムシの飼育と一緒? 高濱正伸さんと藤原和博さんに聞く
「子育て未来ミーティング」で対談する藤原和博さん(右)と高濱正伸さん(撮影/深澤友紀)  AERAとDMM英会話のコラボレーションイベント「子育て未来ミーティング」が3月21日に東京・六本木のDMM.com本社で開催され、「AERA with Kids」に連載を持つ学習塾「花まる学習会」代表の高濱正伸さんと、東京都初の民間人校長で教育革命家の藤原和博さんが公開の場で対談した。男の子と女の子の育て方について、情報を編集する力を身につけるためにはどうしたらいいか、などを縦横無尽に語り合った。 *  *  *  藤原さんは対談の冒頭、「いま、ものすごい激動期にある」と指摘。子どもたちが大人になる10~20年後には、AI社会が到来し、憧れていた職業がなくなることもあると語った。小学校でも英語やプログラミングが導入され、大学入試でも思考力や判断力がより重要になっていく。 「決定的に言えるのは、(未来は)現在のお母さんお父さんが経験した成功パターンじゃないということです」(藤原さん)  そうした時代に必要な能力について、高濱さんは「人ができないことができる人こそ飯が食える」と応じ、 「誰もが思いつかなかった課題設定ができた人のトップがノーベル賞受賞者ですが、彼らはほぼ田舎育ちです。東京の中心で一番いい塾に行っても、情報の処理の仕方は学べても、誰もが思い浮かばないことを思いつくことはできない。それができるのは、遊びを山ほどやり込んだ人」  と遊びの効用を強調した。藤原さんも、 「10歳ぐらいまでにどれほど豊かに遊んだかがベースになる」  と話し、 「子どもは遊ぶとき、例えば、雨が降ってきたらどうする? 小学校2年生の弟がついてきちゃったけどどうルール変更したら一緒に遊べる?などと、その日その日の状況に対応している。この遊びを奪ってどうするの。10歳ぐらいまで徹底的に遊ばせないと、いくら情報処理能力を高めたってつながっていかない。情報編集力のあるホリエモンや落合陽一くん、キングコングの西野(亮廣)くんも自分で遊びを作り出していた」  と、遊ぶことの大切さを訴えた。  話題は「男の子と女の子の育て方」についても及んだ。「決定的に違う」と話す藤原さんの意見に、高濱さんも同調し、 「お母さんたちは、大人の女性の感性を持っているので息子を理解できず、たいがい生まれ持ったエネルギーをポキって折ることをやっちゃう。男の子を育てるということは、カブトムシを飼育していると思ってくれればいいです」 と断言。続けて、 「一番危ないのは中学受験。母子分離がうまくいかないケースがある」 と高濱さんが言うと、藤原さんも、 「受験勉強のためにお母さんが横について問題を解いて教える中で、息子とお母さんの共依存が進むわけですよ。受験に成功しちゃったりすると、母子の関係が切れない。お母さんが男の子の男性性をつぶすことも起こっています」  と話した。  女の子の育て方については、高濱さんが4~9歳の幼児期と、11~18歳の思春期で対応を変えることの大切さを強調。 「幼児期は家族に無条件で愛され、何かに没頭するという経験を大事にしてほしい。でも女の子は特に、小学校5、6年生からは、ランドセルをしょってるけど頭の中はすっかり大人。お母さんと子どもではなく、大人と大人の関係を築かないといけない。会社に入ってきた新人OLだと思ってください。5年生女子を子ども扱いして『宿題しなさい』っていうのは、さなぎからすっかりチョウチョになったのに『葉っぱ食べなさい』って言っているようなもの。娘はもうチョウなんだから、『いや、蜜です。私だいぶ前から蜜です』って言いますよ」(高濱さん)  二人の歯に衣着せぬ発言と絶妙なたとえに会場に集まった親子連れからは、大笑いや拍手が起こった。(AERA編集部・深澤友紀) ※AERAオンライン限定記事
出産と子育て
AERA with Kids+ 2019/03/22 17:57
フィギュア女子山下「表彰台に乗れるなんて」豪快ジャンプで世界と戦う
フィギュア女子山下「表彰台に乗れるなんて」豪快ジャンプで世界と戦う
山下真瑚(16)/14歳で迎えた全日本ジュニアで2位、昨季の世界ジュニア選手権ではロシアの強豪女子に交ざり3位に。今季はスケートカナダで2位 (c)朝日新聞社 横井ゆは菜(18)/今季全日本ジュニア選手権優勝。全日本選手権にも出場し7位に入る。フィギュアの盛んな名古屋市出身。来季はシニアデビュー (c)朝日新聞社 本田紗来(11)/今季チャレンジカップのアドバンスドノービス女子で国際大会初優勝。姉の真凜、望結もフィギュアスケーター。子役としても活躍 (c)朝日新聞社  今季シニアデビューし、いきなり世界で活躍する紀平梨花。だが、期待の若手は紀平だけではない。選手層の厚い日本女子にはまだまだ逸材がいる。 *  *  *  日本女子はシニアが強豪ぞろい。その豪華メンバーに入るには、シニアデビューと共に国際大会で目立たなければならない。そんな厳しい戦いのなかでキラリと光る若手がいる。  今季シニアデビューし、GPシリーズ初戦スケートカナダで銀メダルを獲得したのが、16歳の山下真瑚だ。荒川静香のイナバウアーに感動し、スケートを始めたという。浅田真央や宇野昌磨と同じ、山田満知子コーチの門下生として、小さいころから伸び伸びと育てられてきた。  山下の特長はジャンプの高さ。小学生のころから、女子とは思えない豪快なジャンプを跳ぶ。頭角を現したのは13歳で出場したジュニアGP横浜大会。ジュニアデビューの国際大会で、いきなり3位に入った。 「表彰台に乗れるなんて思いませんでした」  とあどけない表情で語る山下の横で、山田はこう話した。 「私が教えてきたなかでも、とにかく目立ってジャンプの能力が高い子。海外のコーチからも『すごいねジャンプ』と言われました。でも普段の練習ではもっとジャンプ高いんですよ」  山下は、チームメートで“お兄さん”的存在の宇野を常にお手本として追い掛けてきた。 「目標は昌磨君。ジャンプもクルクルって跳ぶし、スケーティングもすごい迫力なんです。それに昌磨君はすごく表情をつけて踊るので見習っています。昌磨君はいろいろお話もしてくれて、フリップジャンプの跳びかたとかも教えてくれます」  今季はスケートカナダで200点を超えての銀メダル。 「表彰台に乗ろうと思って演技するよりは、内容が大切だと思っています。すごい選手にたくさん会って、見て学ぶことを楽しみに試合をしていきたいです」  来季は4回転の習得も目指す。まだまだ粗削りなところが残るだけに、伸びしろも大きい。雄大なジャンプを武器に、さらなる高みを目指してほしい。  ジュニアにも強気のジャンパーがいる。トリプルアクセルに挑戦している横井ゆは菜(18)だ。力強い滑りと、キレのある演技で観客を楽しませる。18歳はジュニアでは最年長となるが、全日本ジュニア女王のタイトルを取ることを目標にあえてジュニアに残り、有言実行。世界ジュニア選手権は9位だった。来季のシニアデビューに向け期待が高まっている。  また11歳ながら早くも芽を出しているのが、本田紗来だ。真凜や望結ら、本田5人きょうだいの末っ子。子役としても活躍しながら、スケートの練習にも励む。姉妹の間でも「紗来が一番、才能がある」と言われ、ジャンプ、演技、スケーティングすべての面でバランスがいい。2月のチャレンジカップでは、アドバンスドノービス部門で国際大会初優勝。実力を証明した。  日本女子の層が厚いのは素晴らしいお手本が目の前にいるから。新星の誕生を心待ちにしたい。(ライター・野口美恵) ※AERA 2019年3月25日号
AERA 2019/03/20 17:00
学校現場の大問題

学校現場の大問題

クレーム対応や夜間見回りなど、雑務で疲弊する先生たち。休職や早期退職も増え、現場は常に綱渡り状態です。一方、PTAは過渡期にあり、従来型の活動を行う”保守派”と改革を推進する”改革派”がぶつかることもあるようです。現場での新たな取り組みを取材しました。AERAとAERA dot.の合同企画。AERAでは9月24日発売号(9月30日号)で特集します。

学校の大問題
働く価値観格差

働く価値観格差

職場にはびこる世代間ギャップ。上司世代からすると、なんでもハラスメントになる時代、若手は職場の飲み会なんていやだろうし……と、若者と距離を取りがちですが、実は若手たちは「もっと上司や先輩とコミュニケーションを取りたい」と思っている(!) AERA9月23日号では、コミュニケーション不足が招く誤解の実態と、世代間ギャップを解消するための職場の工夫を取材。「置かれた場所で咲きなさい」という言葉に対する世代間の感じ方の違いも取り上げています。

職場の価値観格差
ロシアから見える世界

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プーチン大統領の出現は世界の様相を一変させた。 ウクライナ侵攻、子どもの拉致と洗脳、核攻撃による脅し…世界の常識を覆し、蛮行を働くロシアの背景には何があるのか。 ロシア国民、ロシア社会はなぜそれを許しているのか。その驚きの内情を解き明かす。

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