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森友事件、赤木さんが失望する石破氏の冷ややか対応 首相になる前は「再調査すべきだ」と言っていたのに一転
森友事件、赤木さんが失望する石破氏の冷ややか対応 首相になる前は「再調査すべきだ」と言っていたのに一転 判決後、赤木俊夫さんの遺影を持って大阪高裁前で記者の取材に応じる妻の雅子さん=1月30日(photo 朝日新聞社)   勝てるんちゃうかな――。朝、起きたとき、窓から差し込む日差しを見てそう思った。 「勝ってくるよ! と言って家を出ました。夫も喜んでいると思います」  赤木雅子さん(53)はそう話す。  学校法人森友学園(大阪市)への国有地売却をめぐる財務省の公文書改ざん問題。大阪高裁は1月30日、雅子さんの請求を退けた一審・大阪地裁判決を覆し、不開示決定を取り消した。 財務省近畿財務局の職員だった夫の赤木俊夫さん(当時54)は、国有地売却をめぐり行政文書の改ざんに加担させられたことを苦に、2018年3月に自ら命を絶った。 真実を知りたい。 雅子さんは、夫がどのような指示系統で改ざんを強いられたのか知るため、財務省と近畿財務局が検察庁に任意提出した文書を開示するよう求めた。文書には、財務省が改ざんした経緯や関わった職員を調べた記録などが書かれているとみられている。だが、財務省側は、文書が存在するかどうかも明らかにせず、不開示とする決定をした。 21年10月、雅子さんは不開示決定を取り消すよう求め大阪地裁に提訴。だが、23年9月、「将来の刑事事件の捜査に支障が及ぶおそれがある」として退けられた。雅子さんは判決を不服として、控訴していた。  この日の判決で大阪高裁は、文書がいかなるものか明らかになったとしても、「捜査機関の方針や意図が明らかになるとはいえない」として、不開示決定を取り消すよう国に命じたのだ。 「主文、原判決を取り消す」 裁判長が逆転勝訴を告げた瞬間、法廷では拍手が湧き起こった。雅子さんは涙を流し、隣に座る弁護士と握手を交わした。雅子さんは言う。 「初めての勝利でしたから、嬉しかったです」  雅子さんは、夫が改ざんを強いられた背景を知りたくて複数の裁判を起こしてきたが、連敗していた。国に損害賠償を求めた裁判では21年12月、国は反論せず賠償金だけ払う「認諾」で終結した。「改ざんの方向性を決定づけた」とされた、佐川宣寿(のぶひさ)・元財務省理財局長に賠償を求める裁判では、大阪地裁・高裁ともに認められず敗訴し、最高裁に上告している。今回、初めての勝訴だった。 「改ざんは誰の指示で何のためだったのか、真実を知りたいです。国は上告をしないでほしい」  同時に、雅子さんは、石破茂首相にも強い思いをぶつける。 財務省近畿財務局職員だった赤木俊夫さん。「私のことをすごく大事にしてくれ、面白くて優しい人でした」と雅子さん(photo 赤木雅子さん提供)    もともと石破氏は、森友事件に関し一貫して真相解明を唱え、再調査の必要性を主張してきた。それを知った雅子さんは21年9月、東京・永田町の議員会館で石破氏と面会した。石破氏は「再調査するべきだ」と言ってくれたという。  その後も、石破氏からは、励ます携帯電話のショートメールが何度か届いた。昨年3月の俊夫さんの命日にも、ショートメールが来た。そこには、 「森友事件の真実が明らかになりますよう、微力ながら努力を重ねて参ります。いつか必ず正義が実現することを信じて」 と書かれていた。  それが、首相になると一転した。  昨年11月、雅子さんは首相に就任した石破氏に再調査を求める手紙を、秘書を通じて届けた。間もなく石破氏からメッセージが来たが、そこには「手紙は読みました」くらいで、再調査を実行するとは書かれていなかった。翌12月、衆院本会議で、再調査の必要性を問われた石破氏は「今後とも丁寧に説明していく必要がある」と明言を避けた。  今回の判決は不開示を違法としたものの、文書の開示までは命じていない。国の対応が焦点となる。 判決翌日の1月31日、衆院予算委員会で、立憲民主党の今井雅人氏から上告を断念するよう求められた石破氏は、「判決内容を精査し、財務省や法務省とも相談しながら適切に対処する」と述べた。  石破氏の変節に雅子さんは失望しながらも、訴える。 「再調査をして、黒塗りのない文書を開示してほしいです」

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