田中教授によると、暦年齢と体力年齢の差は、最大プラスマイナス30歳ほど幅があるそうです。つまり、自分の子どもと同等の体力年齢の高齢者もいれば、若者でも自分の親と同等の体力年齢の人もいるというほどに、人によって差が出てくるのです。

「体力は、若い時と同じレベルに戻すことは無理でも、適切な運動を始めることによって何歳からでも向上させることができます。日常生活の基本行動をしっかりおこない、ウォーキングやストレッチなど簡単な運動に日々取り組んでいけば十分でしょう。体力年齢を若く保つことにより、老後も長く活き活きと自立した生活を楽しむことができます。身体活動の増加による長生き効果は老年期に入ってからの取り組みでも認められます。もちろん研究では中年期から開始した方がより効果的であることも示されています」(田中教授)

■「もう歳だから」とあきらめずに、取り組みを

 定期的に体力年齢を測っていけば、年齢とともに体力レベルがどのように変化したのかがわかるほか、運動を継続した後の効果を知るための指標にすることもできます。

 また、体力とは別の指標として、「活力年齢」というものもあります。活力年齢は動脈硬化や生活習慣病の促進に関わる血圧、中性脂肪、コレステロール、腹囲、ヘマトクリット(血液中の赤血球の割合)、骨の強度に加えて、心肺機能(持久力)、敏捷性、平衡性などのデータを元にして算出される総合的な健康度指標です。こちらについては、次回に紹介していきます。

「もう歳だから」とあきらめずに、体力低下が気になったその日から、健康寿命や活力寿命を延ばすための取り組みを始めていきましょう。

(取材・文/坂井由美)

【取材した専門家】
筑波大学名誉教授 田中喜代次先生