現侍ジャパンの監督を務める稲葉篤紀(ヤクルト日本ハム)も、FA移籍した新天地での活躍でより多くの名声を手にした男だ。04年オフにFA宣言。メジャー移籍を断念して北の大地に足を踏み入れると、1年目から主軸活躍。2年目の06年には打率.307、26本塁打、75打点と奮闘してリーグ優勝、日本一に貢献し、日本シリーズMVPにも輝いてファンの心を掴んだ。さらに翌07年には首位打者、最多安打と自身初の個人タイトルを獲得。その後も類まれな勝負強さ、常に変わらない野球への姿勢、情熱でファンから愛され、プレーヤーとしても日本代表として五輪やWBCに出場するなど大きく羽ばたいた。

 その他、和田一浩(西武中日)、小笠原道大(日本ハム→巨人)、内川聖一(横浜→ソフトバンク)といった面々も、FA移籍後の新天地で活躍した選手として名前が挙がる。彼らに共通するのは、比較的若い年齢で移籍し、加入後の早い段階でチームのリーグ優勝に貢献したこと。そして晩年になって以降も成績を落とすことなく、長く活躍したことが挙げられるだろう。果たして、今オフにFA移籍を決断した4選手が新天地で成功を収め、ファンからの信頼を勝ち取ることができるのか。その意味でも、移籍初年度の“掴み”は非常に大事になる。