盗撮、肖像権、プライバシー権… いまさら聞けないスナップ撮影の「落とし穴」 (3/3) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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盗撮、肖像権、プライバシー権… いまさら聞けないスナップ撮影の「落とし穴」

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吉川明子dot.#アサヒカメラ
公道であれば問題ない(写真/getty images)

公道であれば問題ない(写真/getty images)

アサヒカメラ特別編集「写真好きのための法律&マナー」から

アサヒカメラ特別編集「写真好きのための法律&マナー」から

 まず、知っておきたいのは人に気づかれないように街を撮影すること自体は犯罪行為ではないということ。ストリートスナップを撮っている人なら、「盗撮された!」と被害を訴える通行人とのトラブルに見舞われたことがあるかもしれない。しかし、犯罪行為ではないので、堂々としていればいい。それが公道での出来事ならなおさら。公道では不特定多数の人の目にさらされる状態が当然であり、そうした場所を歩いていながら、何でもかんでも「私を撮らないで」と主張するには無理があるからだ。

 ただし、街を行き交う人々には肖像権がある。広角レンズで街の風景を撮った際、人の顔が写ることがある。“風景の一部”としてみなされるレベルであれば、個々の人たちの肖像権侵害とはなりにくい。逆に望遠レンズで見知らぬ人の顔をアップで撮影した場合は、後で本人から「肖像権侵害だ」と訴えられてもおかしくはない。

■プライバシー権に注意!

 前出(2)のプライバシー権は、人がその私生活や私事をみだりに他人の目にさらされない権利のことを指す。前述のように、公道を歩いている際にこの権利を主張することは難しいが、自宅で過ごしているとなると別。例えば個人宅でベランダに洗濯物を干しているところや、室内でくつろいでいる様子を外から撮影したとする。撮影場所が公道からであったとしても、その人のプライバシー侵害に当たるので撮影は控えたほうがいい。

■広告には気をつけよう

(3)の著作権、パブリシティー権は、街のいたるところに掲示される広告が写り込むときに注意したい権利だ。

 あるタレントが出ている広告ポスターをアップで撮影した場合、タレントのパブリシティー権や、広告を制作した会社の著作権、タレントを撮影した写真家の著作権侵害になるので注意が必要だ。

 ただし、人のスナップ同様、街の風景の一部としてたまたま広告が写り込んでいた程度であれば問題ないだろう。

 また、あえてフォトジェニックな広告を入れて、その手前を行き交う人と絡めて撮影するケースもあるだろう。この場合は、二次的著作物として尊重され、違法ではないと判断される場合が多い。

■「盗撮」の意味を知る

 最後に(4)の迷惑防止条例について。これは、いわゆる痴漢やわいせつ目的の“盗撮”を取り締まるためのものだ。細かい条文は異なるものの、47都道府県で同様の条例を制定。<人を著しく羞恥させ、または人に不安を覚えさせるような方法>で<通常衣服で隠されている><下着または身体>を<撮影した><撮影目的でカメラを差し向けた>場合、条例違反となる。実は盗撮で違法とされるのはこれらの条件を満たしたもの。それ以外の盗み撮りは違法にならない。

 もっとも、善良な写真愛好家であっても、路上で撮影していて盗撮犯と間違えられるリスクはゼロではない。もし職務質問をされた場合、素直に応じるのがいいだろう。「任意だから協力できない」などと下手に抵抗すると、警察としても疑いを強くする一方で、双方にとっていいことがない。場合によっては、撮影した写真を見せるなどして自分がわいせつ目的で盗撮していないことを証明したほうが得策だ。

■独自のルールを把握

 最後に法律とは別に、「仲間内のルール」が存在し、それを知らずに破ると、被写体やそのコミュニティーに迷惑をかける場合がある。

 たとえばコスプレーヤーの世界。コスプレ大会などで定められたルールは異なるものの、「必ず本人の許可を得る」「下着目当てや盗撮、ポーズ指定時の身体接触など、コスプレーヤーに迷惑がかかる方法での撮影は禁止」といった基本的なルールがある。

 また、着替え中や休憩中などのオフショットを撮られることを嫌がるコスプレーヤーが大半だ。コスプレという文化を尊重する意味でも、相手のルールに従ったうえで「撮影させてもらう」といった気持ちで臨むべきだろう。

(文/吉川明子)

※「アサヒカメラ」11月号から抜粋


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