■商業施設はどうか?

 このことを踏まえたうえで、主な施設の注意ポイントを見ていこう。

 全国各地に点在している、商業施設はどうだろうか? 専門店が集まるショッピングモールやデパート、映画館、広々とした庭園など、一つの街のような大規模なものが多く、フォトジェニックな場所の宝庫でもある。こうした施設では、撮影に関する注意書きを掲げていることが多いため、それに従うことになる。

 ただし、「撮影禁止」と明記されていなくても、施設内店舗の商品ディスプレーや商品そのもの、ブランドロゴなどを寄りで撮るのは避けたほうが無難だ。

 また、大型施設では、公道につながるデッキ部分や公開空地などがある。こういう場所は、登記上は私有地であっても、公道に近い位置づけのため、「撮影禁止」の明示がなければ問題ないだろう。

■店内での料理撮影は?

 最近、SNSの普及に伴い、カフェやレストランで注文した料理を撮影する人が非常に多い。これは施設管理権の一環で、レストラン側が撮影を禁じていなければ問題ない。一方で、店側は「店内や他の客の写真はNGだが、自分が注文した料理のみ撮影OK」「SNSでの拡散大歓迎!」などと、自由にルールを設定できる。最近では、SNSの拡散力に期待して、積極的に“インスタ映え”するメニューに力を入れる店も増えている。

■寺社仏閣は?

 全国各地に点在する寺社仏閣は、自然豊かで歴史的な建物が多く、撮影スポットとして根強い人気がある。ここも施設管理者によって定められるルールに従うこととなる。

 たとえば、敷地内に巨大な仏像があり、外からも見えることがある。これを公道から撮影しても問題ない。仏像自体の著作権は仏師の死後50年が経過していれば問題はなく、管理者が有する権利は所有権のみ。それだけでは「公道から撮影禁止」ということはできないからだ。

■いざ撮影、その前に!

 スナップ写真を撮りたいと思った場所が撮影しても問題ないことが明らかになったところで、いよいよ撮影だ。ここでチェックしておきたい主な権利やルールは次のとおり。
(1)肖像権
(2)プライバシー権
(3)著作権、パブリシティー権
(4)迷惑防止条例

(1)の肖像権については、街を行き交う人々の一瞬を切り取りたいと思っている写真愛好家にとっては、いちばん気になるものだろう。

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プライバシー権ってなに?