公道であれば問題ない(写真/getty images)
公道であれば問題ない(写真/getty images)
アサヒカメラ特別編集「写真好きのための法律&マナー」から
アサヒカメラ特別編集「写真好きのための法律&マナー」から

 肖像権問題はその微妙な性格から多くの誤解を生み、スナップ撮影の萎縮ムードをもたらしている。今回はスナップの「撮影」と「発表」のシーンで注意すべき点をピックアップ。「アサヒカメラ」11月号では、「スナップ撮影をする際に気をつけたいこと」を特集。弁護士・三平聡史氏監修のもと、肖像権や施設管理権など、順を追って解説する

【盗撮の定義、知ってますか? ひと目でわかるチャートはこちら】

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■撮影場所のルールを確認

 街を歩いていて、ある場所でスナップ写真を撮ろうと立ち止まった。この時点で、最初のチェックポイントがある。撮影しようとしている場所自体が、「撮影禁止」かどうかを確認することだ。

 公道であれば問題ない。公道を管理するのは国土交通省や地方自治体だが、公道は広義の意味で国民の共有財産とも言えるため、誰かが「撮影するな」と言うことはできない。ただし、私道は別だ。その道の所有者が施設管理権(後述)に基づいて禁じることはできる。

 では、公園ならどうか。国や地方自治体が管理し、誰もが自由に出入りできる公園では、「撮影禁止」と明示されていない限り特に問題ない。

 ただし、商業目的の撮影となれば別。国や地方自治体が管理している公園でも、商業目的で撮影をする場合は事前の申請書の提出や、使用料が設定されていることが多い。事前に公園の管理事務所に確認しておいたほうが無難だ。

■施設管理権を知ろう

 続いて、さまざまな場所別に撮影ができるかどうかを考えていこう。その前に知っておきたい権利が「施設管理権」だ。これは、さまざまな建築物や土地などの所有者が、その場を包括的に管理する権利のこと。

 私的な場所はもちろん、駅や空港、港などのように公共性が高い場所でも管理者による管理権はある。この権利行使によって、「施設内は撮影禁止」「三脚とストロボの使用は禁止」「スマートフォンでの撮影はご遠慮ください」というように、施設内のルールを設定することができる。

 これらに反して無断で撮影する人がいれば、管理者は施設管理権を侵害されたとみなし、注意することができる。場合によっては、退去を求めることも可能だ。

 仮に「撮影禁止」と書かれていなかったとしても、何をしてもいいわけではない。一般的にはスマートフォンなどで記念撮影をする程度であれば問題ないだろう。ただし、他の来場者の妨げになるような撮影となると話は別。ましてや商業目的は論外だ。

 いずれにせよ、判断に迷う場合は、店や施設のスタッフに聞くのが一番だ。

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